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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
免疫化学的便潜血検査
Immunochemical Fecal Occult Blood Tests
3 February 2009 | Volume 150 Issue 3 | Pages I-34
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

下記の「まとめ」は「大腸腺腫検出のための免疫化学的便潜血検査の比較評価」というタイトルの論文からのものです.
何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
大腸がんスクリーニング検査は,がんになる前の病変(腺腫)や早期,もしくは治療可能な時期のがんを発見することで大腸がん死のリスクを減らすことができます.大腸病変に対するスクリーニング検査としてよく用いられるものに,便潜血検査(FOBT)があります.古典的なグアヤック法は,腺腫やがんから糞便に漏れ出る血液量を試験紙上で化学反応させます.グアヤック法では,出血性病変がなくても,例えば,加熱が不十分な肉類を最近口にした方は陽性となる事があります(偽陽性).また,ビタミンCサプリメントをとっておられる方では,出血性病変があっても陰性となることがあります(偽陰性).
新しい免疫化学的便潜血検査では,糞便中の血液量を発見するためにヒト血液成分に対する特異抗体を用いています.これらの新しい検査は,グアヤック法よりも偽陽性や偽陰性を減らすことができるかもしれません.しかしながら,多くの免疫化学的便潜血検査では血液成分に対し,異なる抗体を用いており,すべての検査が同じ様に,前駆病変から漏れ出る血液を糞便中から検出できるのかについては知られていません.

この研究の目的は何ですか?
大腸がんの平均的なリスクのある成人で,大腸腺腫を確認するために,6種類の定性的免疫化学的便潜血検査と1種類のグアヤック法の特性を比較検討しました.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
スクリーニング大腸内視鏡検査を受診した1319例の成人です.大腸がんの徴候はどなたにもみられませんでした.

どのような研究がおこなわれましたか?
全ての患者さんに,グアヤック試験紙と自宅で採取した糞便サンプルを診療所へ持ってきてもらいました.医師助手が試験紙を分析しました.糞便サンプルは凍結し,免疫化学的に解析するために中央検査室へ送られました.全ての患者さんは,ポリープやがんを見つけるために大腸内視鏡による大腸検査を完結しました.便潜血検査を解析した技師は大腸内視鏡検査の結果を知りませんでした.大腸内視鏡検査をした医師は便潜血検査の結果を知りませんでした.

この研究からどのような結論が出ましたか?
便潜血反応検査は,大腸内視鏡検査で発見される腺腫を同定する能力に大きな差がありました.6種類の免疫化学的検査では,進行した腺腫を検出するための感度,特異度はそれぞれ25〜72%,70〜97%でした.グアヤック法では,進行した腺腫を検出するための感度,特異度は9%,96%でした.

この研究にはどのような限界がありますか?
糞便サンプルは1日から数日経ったものが用いられました.免疫化学的検査をするまでは糞便は凍結されていました.患者さんの中には,大腸内視鏡検査で大腸がんや大きなポリープが見過ごされた方もいたかもしれません.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
定性的な免疫化学的便潜血検査は,前がん病変の大腸病変を発見する能力として,個々で大きな差があります.全てではありませんが,これら新しい検査のうちのいくつかは,グアヤック法に取って代わる有望な方法となるかもしれません.

(翻訳:勝田秀紀)

English Abstract

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