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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
皮膚がんのスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会の勧告
Screening for Skin Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation
3 February 2009 | Volume 150 Issue 3 | Pages I-40
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

下記のまとめは「皮膚癌のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会の推奨勧告」および「皮膚癌のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会の最新のエビデンス」というタイトルの論文からのものです.
誰がこのガイドラインを策定しましたか?
米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF)は予防医療分野の勧告を作成する医学専門家のグループです.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
皮膚がんは米国で最も頻度の高い悪性腫瘍です.皮膚がんには基底細胞癌,扁平上皮癌,メラノーマなどいくつかの異なるタイプがあります.その中では基底細胞癌はもっとも頻度が高く,患者さんは治療を受ければ深刻な結果になることは余りありません.一方,皮膚がんの中でメラノーマの頻度は低いのですが,治療が難しく死に至ることもあります.皮膚がんの患者さんはよく,皮膚の変化を患者さん自身が気づいて病院を訪れます.皮膚がんのスクリーニングを行うということは,患者さん自身が気づかない皮膚の変化があるかどうか,医師が全身の皮膚をくまなく診察する,ということになります.そうすることで,患者さん自身が気づかないような早期の皮膚がんを発見するという,潜在的な利益があります.一方で,皮膚がん以外の些細な皮膚の変化を見出すことにより,不必要な精密検査や処置が行われる危険性も秘めています.そこで,USPSTFはこの件に関して2001年に,症状のない皮膚がんの定型的な全身スクリーニングを推奨する十分な根拠はない,と結論付けました.USPSTFがこの結論を出した当時の研究結果では,医師が全身の皮膚を診察し,正確に皮膚がんを診断することができず,また,スクリーニングにより早期に皮膚がんを発見すると治療結果が改善するという根拠も有りませんでした.

USPSTFはこの勧告をどのようにして策定しましたか?
USPSTFは,プライマリ・ケア医による全身の皮膚がんスクリーニングの正確さと,医師あるいは患者さん自身による皮膚がんの自己検診のもたらす利益に関する,公開された論文をレビューしました.

著者らは何を見い出しましたか?
USPSTFによりますと,メラノーマで皮膚に異常所見がある場合にはプライマリ・ケア医による診断は比較的正確でしたが,医師あるいは患者さん自身による現実の全身の診察が正確であるという研究結果は今回も得られませんでした.著者らはまた,スクリーニングを行うことで,皮膚がんの治療結果が改善することを示す直接の根拠を見出すことはできませんでした.

USPSTFから,患者さんと医師が何をしたらいいか提案がありますか?
USPSTFは,プライマリ・ケア医あるいは患者さん自身が成人の早期皮膚がんを発見するために,全身皮膚の定型的な診察を行うことで得られる利益と危険性のバランスを評価するための十分な情報が得られなかったと結論を下しました.医師も患者さん自身も,予防医学の一部として全身の皮膚の診察を行うかどうか決めるときには,個々の患者さんの危険因子や特質を十分考慮する必要があります.

この勧告に関する注意点は何ですか?
この勧告は皮膚がんのリスクが標準の一般の成人に対するものです.スクリーニングによってもたらされる利益と危険性のバランスは,皮膚がんの病歴や危険因子など個々の患者さんの特質ごとに異なります.

(翻訳:大島康雄)

English Abstract

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