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(更新日 2009年5月18日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
5 May 2009 Volume 150 Issue 9
(監修:林 正樹,総合監修:吉田直之)
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原著(Articles)
超音波検査上の残存血栓をガイドに深部静脈血栓症患者の抗凝固療法期間を決定:無作為化試験
Residual Thrombosis on Ultrasonography to Guide the Duration of Anticoagulation in Patients With Deep Venous Thrombosis: A Randomized Trial
Paolo Prandoni, Martin H. Prins, Anthonie W.A. Lensing, Angelo Ghirarduzzi, Walter Ageno, Davide Imberti, Gianluigi Scannapieco, Giovanni B. Ambrosio, Raffaele Pesavento, Stefano Cuppini, Roberto Quintavalla, and Giancarlo Agnelli, for the AESOPUS Investigators
Prandoniと同僚らは,3か月間抗凝固療法を行った近位深部静脈血栓症(DVT)患者538名を無作為に割付け,所定の期間抗凝固を受けるグループと超音波検査の結果に応じて投与期間を決めるグループとを比較した.経過観察中に所定の期間治療するグループでは17%,超音波検査ガイド下に治療するグループでは12%に血栓塞栓症の再発を認めた.一方,大出血イベントはそれぞれ0.7%と1.5%であった.DVTに対する抗凝固療法の治療期間を個別化することにより,静脈血栓塞栓症(VTE)の再発頻度を減らせる可能性がある.
(翻訳:白山武司)
医療施設関連自然弁心内膜炎:非病院内感染の重要性
Health Care-Associated Native Valve Endocarditis: Importance of Non-nosocomial Acquisition
Natividad Benito, José M. Miró, Elisa de Lazzari, Christopher H. Cabell, Ana del Rio, Javier Altclas, Patrick Commerford, Francois Delahaye, Stefan Dragulescu, Helen Giamarellou, Gilbert Habib, Adeeba Kamarulzaman, A. Sampath Kumar, Francisco M. Nacinovich, Fredy Suter, Christophe Tribouilloy, Krishnan Venugopal, Asuncion Moreno, Vance G. Fowler, Jr., and the ICE-PCS (International Collaboration on Endocarditis Prospective Cohort Study) Investigators
病院以外の医療施設において感染した自然弁心内膜炎は,市中あるいは病院内感染とは異なっているのであろうか?この研究では,病院外での感染は医療施設関連心内膜炎全症例の約半数を占めており,臨床的な特徴と予後は病院内発症の心内膜炎に類似していた.臨床医は病院外で感染する医療施設関連自然弁心内膜炎の問題を警戒するべきである.
(翻訳:加藤哲朗)
前立腺癌の分子マーカーと死亡率
Molecular Markers and Death From Prostate Cancer
John Concato, Dhanpat Jain, Edward Uchio, Harvey Risch, William W. Li, and Carolyn K. Wells
生体分子マーカー(バイオマーカー)は,前立腺癌のうちで悪性度の低いものと高いものを区別できるだろうか?今回の米国退役軍人の観察研究によると,細胞周期制御のバイオマーカー(bcl-2とp53)ならびに診断時における生検検体中の微小血管密度の高さは,前立腺癌による死亡と関連していることが分かった.著者らは,予後に関連する可能性のある臨床的因子とバイオマーカーを組み合わせた場合に,予後予測因子としてさらなる価値を持つかどうかについては検討しなかった.
(翻訳:泉谷昌志)
新しい糸球体濾過量の推算式
A New Equation to Estimate Glomerular Filtration Rate
Andrew S. Levey, Lesley A. Stevens, Christopher H. Schmid, Yaping (Lucy) Zhang, Alejandro F. Castro, III, Harold I. Feldman, John W. Kusek, Paul Eggers, Frederick Van Lente, Tom Greene, and Josef Coresh, for the CKD-EPI (Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration)
MDRD studyの推算式は軽度腎障害を持つ患者の糸球体濾過量(GFR)を過小評価する.そのため,Leveyと同僚らは,慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI)の推算式を開発し,有効性を示した.CKD-EPIは特にGFRの高い症例において,MDRD studyの推算式よりもいくらか正確で,厳密である.
(翻訳:石田真実子)
アカデミックメディカルセンターからのプレスリリースについて:さほどアカデミックではないか?
Press Releases by Academic Medical Centers: Not So Academic?
Steven Woloshin, Lisa M. Schwartz, Samuel L. Casella, Abigail T. Kennedy, and Robin J. Larson
プレスリリースは一般メディアの科学知見に関する誇張された記事の情報源になっている可能性がある.米国において20施設のメディカルセンターから出された200報のプレスリリースについて調べると,人を対象とした研究に関する95報の内23%では研究サイズが省略され,33%では結果の詳細が述べられていない.更に,人を対象とした試験のうち40%では研究デザインが非常に貧弱とされ,58%では関連する注意点が抜けていた.
(翻訳:前田正彦)
レビュー(Reviews)
ナラティブ・レビュー:カリウムホメオスターシスと低カリウム血症に関する進化した概念
Narrative Review: Evolving Concepts in Potassium Homeostasis and Hypokalemia
Megan Greenlee, Charles S. Wingo, Alicia A. McDonough, Jang-Hyun Youn, and Bruce C. Kone
このレビューでは近年発見されたカリウムホメオスターシス調節に注目する.血中カリウム濃度が正常範囲内であっても,体がカリウム摂取減少を感知するとフィードフォーワードホメオスターシスの反応が活性化することが示唆されている.言い換えれば,血中カリウム濃度が減少する際には,腎でのカリウム保持というゆっくりとしたフィードバック機構の活性化とは独立して,カリウムホメオスターシスを温存するための迅速機構が活性化する.
(翻訳:勝田秀紀)
医学の歴史(History of Medicine)
Ibn Sina*と臨床試験
Ibn Sina and the Clinical Trial
Mohammad M. Sajadi, Davood Mansouri, and Mohamad-Reza M. Sajadi
この記事はIbn Sina ---西側ではAvicennaとして知られる--- の生涯と業績の概要を示し,彼が学術論文の中に記した薬物評価と近代的な臨床試験や薬理学の概念が類似していることを論じている.
(翻訳:大島康雄)
* 訳者注:アラビアの医師・哲学者,アブー=アリー・アル=フサイン・イブン=アブドゥッラーフ・イブン=スィーナー
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
神経管欠損予防としての葉酸に関して:米国予防医療サービス専門作業部会の勧告
Folic Acid for the Prevention of Neural Tube Defects: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
U.S. Preventive Services Task Force
米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF)は1996年に発表された妊娠可能年齢の女性に対しての葉酸補充療法に関してのレビューを改定した.本勧告では,妊娠を計画している,ないし妊娠可能な女性全てが0.4mgから0.8mg(400から800μg)の葉酸を含んだサプリメントを毎日服用することを推奨している(推奨度A).
(翻訳:今村隆明)
神経管欠損予防のための葉酸補充療法:米国予防医療サービス専門作業部会におけるエビデンスの最新情報
Folic Acid Supplementation for the Prevention of Neural Tube Defects: An Update of the Evidence for the U.S. Preventive Services Task Force
Tracy Wolff, Catherine Takacs Witkop, Therese Miller, and Shamsuzzoha B. Syed
本号における米国予防医療サービス専門作業部会の勧告を支持するため,筆者らは児の神経管欠損のリスク低減のために葉酸を摂取することの利益と害に関する新たなエビデンスをレビューした.4つの観察研究では葉酸摂取に関連した神経管欠損症のリスク低減効果について報告していた.葉酸摂取による害について検討した唯一の研究では,以前に報告された双生児妊娠と葉酸摂取との関連性は妥当ではないことを示した.
(翻訳:小河秀郎)
論評(Editorials)
静脈血栓塞栓症後の抗凝固療法の最適な治療継続期間:エビデンスに基づく固定期間か個別の柔軟な期間か?
Optimal Duration of Anticoagulation After Venous Thromboembolism: Fixed and Evidence-Based, or Flexible and Personalized?
Samuel Z. Goldhaber
この記事において,Prandoniと共同研究者らは,抗凝固療法を静脈の再還流が得られるまで継続することで,反復性の静脈血栓症の頻度が低下したことを報告している.しかしながら,この結果は現在の治療方針を変えるほど充分確定的とはいえない.現時点では,多くの治療戦略は現行のガイドラインに従うことになる.すなわち,続発性の静脈血栓塞栓症に対しては一定期間の抗凝固療法,特発性の静脈血栓塞栓症には無期限の抗凝固療法となる.
(翻訳:大島康雄)


前立腺癌における臨床的に有意義な予後因子:その探索は続く
Clinically Relevant Prognostic Markers for Prostate Cancer: The Search Goes On
Edward P. Gelmann and Susan M. Henshall
この記事において,Concatoと同僚らは,bcl-2, p53と前立腺生検標本における微小血管が高密度であることが,前立腺癌による死亡の高リスクと関連すると結論している.これらの3つのマーカーは,腫瘍のグレードやステージあるいはその両方と良く相関するが,それぞれ単独では比較的弱い予後因子である.充分に識別力のあるマーカーが得られるまで,エビデンスに基づいた治療方針を決定する事はできない.
(翻訳:大島康雄)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
残存血栓をガイドに抗凝固療法期間を決定する
Residual Thrombosis to Guide the Duration of Anticoagulation
(翻訳:吉澤弘久)
小児神経管欠損の予防としての葉酸:米国予防医学サービス専門作業部会の勧告
Folic Acid for the Prevention of Infant Neural Tube Defects: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation
(翻訳:川口鎮司)
クリニックにて(In the Clinic)
腹部大動脈瘤
Abdominal Aortic Aneurysm
本号では腹部大動脈瘤の臨床について,予防,スクリーニング,診断,治療,診療の進歩,患者情報に焦点をあてて概説している.
(翻訳:今村隆明)
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