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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
残存血栓をガイドに抗凝固療法期間を決定する
Residual Thrombosis to Guide the Duration of Anticoagulation
5 May 2009 | Volume 150 Issue 9 | Pages I-44
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

下記の「まとめ」は「超音波検査上の残存血栓をガイドに深部静脈血栓症患者の抗凝固療法期間を決定:無作為化試験」というタイトルの論文からのものです.
何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
血塊が下肢の大きな静脈で生じるとき,深部静脈血栓症(DVT)は起こります.これらの凝血塊の断片はちぎれて肺に到達し,重病や死をもたらします.医師は凝血塊を溶かし,より多くの凝血塊が形成されるのを防ぐために,抗凝固薬を用います.DVTに対する抗凝固療法の至適期間は明らかとなっていません.

この研究の目的は何ですか?
2つの治療法でどちらが,成人のDVTにおいて長期に凝血塊の再発をより予防できるかを明らかにすることです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
DVTに対して3か月の抗凝固療法を終えた538人の患者です.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者は,患者を所定の期間治療を行う群と,超音波検査を指標とし,治療期間を定めない群に無作為に割り付けしました.DVTの原因によって,所定の期間行う群ではワルファリンによる抗凝固の追加治療を受けない患者さんと3か月の追加治療を受けた患者さんがいました.期間を定めない群では超音波検査で下肢の凝血塊が消失(静脈の再開通)した場合は治療を終了し,繰り返し実施する超音波検査で持続性の凝血塊(残存血栓)を認めるときは,9から21か月間,ワルファリンによる抗凝固療法を継続しました.研究者は,再発性の凝血塊と出血性合併症を評価するために33か月間患者を経過観察しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
所定の期間行う群では,期間を定めない群に比べて凝血塊の再発をより多く認めました(17%対12%).所定の期間行う群では重大な出血性合併症はわずかに少ない様でした(0.7%対1.5%).

この研究にはどのような限界がありますか?
参加者の数が少ないために,出血性合併症において群間に潜在する重要な差を検出できなかった可能性があります.複数のDVTの既往がある患者や永続的な危険因子を持つ患者はこの研究では検討されていないため,これらの結果は当てはまらないかもしれません.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
超音波検査所見は,DVTに対してすでに3か月間の抗凝固療法を受けた患者において,治療継続期間の指標として役立つ可能性があります.

(翻訳:吉澤弘久)

English Abstract

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