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原著(ARTICLE)
前立腺癌の分子マーカーと死亡率
Molecular Markers and Death From Prostate Cancer
John Concato, MD, MPH; Dhanpat Jain, MD; Edward Uchio, MD; Harvey Risch, MD, PhD; William W. Li, MD; and Carolyn K. Wells, MPH
5 May 2009 | Volume 150 Issue 9 | Pages 595-603
背景: 前立腺癌診断時における,現行の予後予測方法には限界がある.

目的: 細胞周期制御の分子マーカー(bcl-2とp53)ならびに血管新生の分子マーカー(β-3インテグリン,血管内皮細胞増殖因子,微小血管密度)が,前立腺癌に罹患した男性の長期的な死亡リスク増大と関連しているかどうかを調べる.

研究デザイン: 1991年から2006年にわたる観察コホート研究

セッティング: 退役軍人健康管理システム(ニューイングランド地区)

患者: 50歳以上の退役軍人64,545人のうち,1991年から1995年に偶然前立腺癌と診断された患者1,313人が割り出された.1,270人の男性で臨床データが入手可能であり,このうち1,172人の男性で記録が完全であった.

測定: データは診療録から以下の項目について抽出された:患者の年齢,人種,合併症,ならびに腫瘍の解剖学的進展,組織学的グレード(グリーソンスコア),前立腺特異抗原値,症状,受けた治療.診断時における検体の免疫組織化学的解析も,検討対象のマーカーに対する抗体を用いて行われた.これらの因子と,2006年までの前立腺癌による死亡との関連について,比例ハザード分析による評価を行った.

結果: 診断時において,年齢の中央値は72歳,前立腺特異抗原値の中央値は10.0μg/Lであり,大半の腫瘍は中等度の分化度であった.11から16年間のフォローアップ期間中に,71.8%(1,172人中842人)の男性が死亡し,このうち21.5%(842人中181人)の死亡は前立腺癌によるものであった.すべてのマーカーの結果が入手可能であった1,007人の男性において,年齢と臨床的特徴を調整した後,前立腺癌による死亡と関連があったのは,bcl-2(免疫染色陽性対陰性の調整ハザード比[HR],1.61 [95%CI, 1.01〜2.57]; P =0.045),p53(免疫染色陽性対陰性の調整HR,1.48 [CI, 1.06〜2.08]; P =0.022),微小血管密度(血管密度の四分位階級の最高階級対最低階級の調整HR, 3.20 [CI, 1.77〜5.78]; P<0.001)であった.

研究の限界: 結果は残差交絡の影響を受けている可能性がある.臨床記録からの情報や,免疫組織化学染色の情報が得られなかったために(それぞれ7.5%,12.6%),完全な症例解析には含まれなかった患者が存在する.

結論: 前立腺癌診断時の生検検体の免疫組織化学染色においてbcl-2, p53, または高い微小血管密度がみられることは,前立腺癌による長期的な死亡リスクと関連している.

主たる資金提供源: 退役軍人健康機構調査研究部門

(翻訳:泉谷昌志)

English Abstract

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