Journals

(更新日 2009年7月21日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
7 July 2009 Volume 151 Issue 1
(監修:加藤秀章,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
腎機能に対するテルミサルタンの効果:無作為化試験
Effect of Telmisartan on Renal Outcomes: A Randomized Trial
Johannes F.E. Mann, Roland E. Schmieder, Leanne Dyal, Matthew J. McQueen, Helmut Schumacher, Janice Pogue, Xingyu Wang, Jeffrey L. Probstfield, Alvaro Avezum, Ernesto Cardona-Munoz, Gilles R. Dagenais, Rafael Diaz, George Fodor, Jean M. Maillon, Lars Rydén, Cheuk M. Yu, Koon K. Teo, and Salim Yusuf, for the TRANSCEND (Telmisartan Randomised Assessment Study in ACE Intolerant Subjects with Cardiovascular Disease) Investigators
Mannとその同僚らは,心血管疾患はあるがマクロアルブミン尿のない成人5,927例において,テルミサルタンとプラセボの長期的な腎臓への効果を比較した.彼らは透析導入あるいはクレアチニンの倍増,推定糸球体濾過量(GFR)の変化,アルブミン尿の変化に関する複合腎アウトカムを用いた.テルミサルタンを投与された患者群では,プラセボを投与された患者群と複合アウトカムの結果は同じであった.テルミサルタンを投与された患者群では,プラセボを投与された患者群よりもアルブミン尿の増加は少なかったが,推定GFRはテルミサルタンを投与された群でより低下した.結果として,テルミサルタンは,主な腎臓に関するアウトカムにおいて,その効果はプラセボと同等であった.
(翻訳:石田真実子)
糖尿病患者での微量アルブミン尿とアルブミン排泄率に対するカンデサルタンの効果:3つの無作為化試験
Effect of Candesartan on Microalbuminuria and Albumin Excretion Rate in Diabetes: Three Randomized Trials
Rudy Bilous, Nish Chaturvedi, Anne Katrin Sjølie, John Fuller, Ronald Klein, Trevor Orchard, Massimo Porta, and Hans-Henrik Parving
Bilousと同僚らは,正常アルブミン尿である1型糖尿病や2型糖尿病の多数の患者にアンジオテンシン受容体拮抗薬のカンデサルタンとプラセボを投与した場合の腎臓への効果を比較した.主要なアウトカムは微量アルブミン尿の出現とアルブミン尿の変化率であった.カンデサルタンは微量アルブミン尿の出現にはほとんど影響しなかった.アルブミン尿における1年間の変化率はプラセボに比較するとカンデサルタン群で5.53%低値を示した.カンデサルタンは主として正常血圧である1型糖尿病や2型糖尿病患者において,微量アルブミンへの進展を抑制しなかった.
(翻訳:澤木秀明)
先進の電子カルテを用いた医療管理システムにおける新たに発見された大動脈拡張の認識不足
Failure to Recognize Newly Identified Aortic Dilations in a Health Care System With an Advanced Electronic Medical Record
Jennifer R.S. Gordon, Terry Wahls, Ruth C. Carlos, Iraklis I. Pipinos, Gary E. Rosenthal, and Peter Cram
検査結果の認識不足による影響を検討した研究者はほとんどいない.筆者らはCTにて91例の新たに発見された腹部大動脈拡張を有する症例を検討した.放射線科医は,これらの新たな大動脈拡張の5%では,直接臨床チームに告知していた.証拠としてカルテ内のコメントを用いて解析してみると,臨床チームがCT撮影後3か月以内に58%の拡張症例を認識していなかったことが明らかになった.これらの認識不足が実際に合併症や死の原因となることはなかった.これらの結果は検査結果のカルテ記録を確実にするより良い方策の必要性を示唆している.
(翻訳:柳内秀勝)
患者診療の質の改善(Improving Patient Care)
プライマリ・ケア領域の労働条件:医師の反応とケアの質
Working Conditions in Primary Care: Physician Reactions and Care Quality
Mark Linzer, Linda Baier Manwell, Eric S. Williams, James A. Bobula, Roger L. Brown, Anita B. Varkey, Bernice Man, Julia E. McMurray, Ann Maguire, Barbara Horner-Ibler, and Mark D. Schwartz, for the MEMO (Minimizing Error Maximizing Outcome) Investigators
Linzerと同僚らは,プライマリ・ケア領域において,医師の劣悪な労働環境,医師の否定的な反応,患者ケアの質の相関関係について評価した.422人の家庭医及び一般内科医のなかで,半数以上が診療中に時間制約感があると報告し,48.1%は仕事のペースが混乱していると言い,78.4%が仕事をうまくコントロールできていないと感じ,26.5%が燃え尽き症候群と報告した.これらの因子は,医師の低い満足度,強いストレス,燃え尽き症候群,退職企図と強い相関を認めたが,患者ケアの質の低下とは相関していなかった.
(翻訳:湯地晃一郎)
展望(Perspectives)
H1N1インフルエンザのアウトブレイクからの教訓
Lessons From Outbreaks of H1N1 Influenza
Richard A. Stein
この論文では,三種類(訳者注:ヒトインフルザウイルス,トリインフルエンザウイルス,ブタインフルエンザウイルス)の遺伝子の再集合体である新型H1N1 “ブタ”インフルエンザウイルスとの関連の中で,インフルエンザウイルスがパンデミックとなる経緯について論じ,科学者が過去に似た状況から学んだ幾つかの教訓を列挙している.端的に言うと,インフルエンザは人獣共通感染症である.インフルエンザウイルスは,通常,鳥および他の動物の体内に棲息しているが,遺伝子再集合によって,ヒトに感染する能力を獲得しうる.ウイルスがヒト―ヒト間で伝播可能な形態になると,パンデミックが発生しうる.
(翻訳:田 徹)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
高齢者の視力障害のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会による勧告声明
Screening for Impaired Visual Acuity in Older Adults: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
U.S. Preventive Services Task Force
米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF)は,1996年に出された,65歳以上の成人に対する視力障害のスクリーニングについての勧告声明を更新した.結論として,高齢者におけるアウトカムの向上のために,視力障害のスクリーニングによる有益性と有害性のバランスを評価するためには,現在のエビデンスは不十分である,とされた.
(翻訳:川上寿一)
高齢者の視力障害のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会のためのエビデンスのレビュー
Screening Older Adults for Impaired Visual Acuity: A Review of the Evidence for the U.S. Preventive Services Task Force
Roger Chou, Tracy Dana, and Christina Bougatsos
本号での米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF)の勧告を確認するために,Chouとその同僚らは,高齢者の視力障害をスクリーニングすることの有益性と有害性についてのエビデンスを,系統的にレビューした.直接的なエビデンスから,プライマリ・ケアにおける高齢者の視力障害のスクリーニングは,視力の改善やその他の臨床医学的なアウトカムとは関連しないが,転倒のような不慮の事故の増加とは関係がありそうである.Snellen試視力表と眼底検査の正確性については不明である.
(翻訳:菊地基雄)
論評(Editorials)
微量アルブミン尿の予防あるいは治療におけるアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)
Angiotensin-Receptor Blockers in the Prevention or Treatment of Microalbuminuria
Patrick S. Parfrey
今号の2つの記事においてARBの微量アルブミン尿に対する効果を検討している.Mannと同僚らは,既往に心血管疾患あるいは末梢臓器障害を伴う糖尿病でベースラインにアルブミン尿のない成人を研究した,一方,Bilousと同僚らは,早期腎症の糖尿病について研究した.論評委員は,糖尿病の状態に関わらず,血管病変のハイリスク患者には,レニン-アンジオテンシン系抑制薬の使用には,血管あるいは腎病変のリスクの程度とこの薬剤の臓器保護効果が臓器により異なることをふまえた臨床的判断が必要であると結論した.
(翻訳:宮崎泰成)


プライマリ・メディカル・ケアの不確かな未来
The Uncertain Future of Primary Medical Care
David Mechanic
今号においてLinzerと同僚らは,家庭医や一般内科医が時間制約感や診療のペースのハイレベルな不満,労働状況をコントロールする判断の低下,および組織文化の欠如を報告していることを見いだした.必要不可欠な機能としてのプライマリ・ケアはどういった形であれ今後も存続するであろう.今後の課題は,患者・医師両者のニーズを供給し,質を高め,さらにコストをリーズナブルな範囲に収める統合されたシステムの一部としてプライマリ・ケアを組織することである.
(翻訳:宮崎泰成)


医学雑誌の編集:誰が支払うのが妥当か?
Medical Journal Editing: Who Shall Pay?
Harold C. Sox
間もなく任期を終了する本誌Annals of Internal Medicineの編集長は在職中に得た教訓を紹介している.主な教訓は,研究の評価には編集者と統計学者の集中的な取り組みを必要とするということである.医学雑誌は研究の評価を行う主要な社会制度である.そのようなものとして,卓越した医学雑誌の出版は,万人に恩恵をもたらす.しかしながら,この様な公益の提供には費用がかかるのであるが,医学雑誌の財政基盤の将来は不明瞭である.
(翻訳:田 徹)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
テルミサルタンは蛋白尿を呈さない腎疾患を予防しない
Telmisartan Did Not Prevent Renal Disease in Patients Without Proteinuria
(翻訳:山本光孝)
高齢者の視力障害のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会
Screening Older Adults for Eyesight Problems: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation
(翻訳:赤真秀人)
クリニックにて(In the Clinic)
術前評価
Preoperative Evaluation
(翻訳:谷口 誠)
Annals Home Page

▲このページのTOPへ