Journals

(更新日 2009年11月30日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
17 November 2009 Volume 151 Issue 10
(監修:塩田哲也,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
肺塞栓症の診断を改善させる携帯用コンピュータ化意思決定支援システム:無作為化試験
A Computerized Handheld Decision-Support System to Improve Pulmonary Embolism Diagnosis: A Randomized Trial
Pierre-Marie Roy, Pierre Durieux, Florence Gillaizeau, Catherine Legall, Aurore Armand-Perroux, Ludovic Martino, Mohamed Hachelaf, Alain-Eric Dubart, Jeannot Schmidt, Mirko Cristiano, Jean-Marie Chretien, Arnaud Perrier, and Guy Meyer
Royと同僚らは,移動式携帯装置を用いて肺塞栓症の診断を導くプログラムを開発した.研究者らは,その装置を用いた意思決定支援システムか,診断手順を示したポスターおよびポケットに入るカードのいずれかを活用するよう,フランス国内の20か所の救急診療部に無作為に割り当てた.肺塞栓が疑われた患者に対して,同装置に基づいたプログラムは,論文のガイドラインのみに比べてより適切な検査を促進した.
(翻訳:松浦喜房)
高血圧コントロール改善のための2つの自己管理介入法について:無作為化試験
Two Self-management Interventions to Improve Hypertension Control: A Randomized Trial
Hayden B. Bosworth, Maren K. Olsen, Janet M. Grubber, Alice M. Neary, Melinda M. Orr, Benjamin J. Powers, Martha B. Adams, Laura P. Svetkey, Shelby D. Reed, Yanhong Li, Rowena J. Dolor, and Eugene Z. Oddone
この研究は,636例高血圧患者を対象として無作為に通常管理群と,看護師が電話で生活習慣の指導を行う群,家庭血圧自己測定群,その両者を行う群に分けて行われた.通常管理群に比べて,24か月での適正血圧達成率が生活習慣管理群で4.3%,家庭血圧測定群で7.6%,両者に介入した群では11.0%改善した.両者の介入により,血圧コントロール達成率改善だけでなく収縮期・拡張期血圧そのものも通常管理群に比べてさらに低下した.
(翻訳:川名正敏)
持続的陽圧呼吸患者のアドヒアランスに対するエスゾピクロン(ルネスタ®)の短期的効果:無作為化試験
Effects of a Short Course of Eszopiclone on Continuous Positive Airway Pressure Adherence: A Randomized Trial
Christopher J. Lettieri, Anita A. Shah, Aaron B. Holley, William F. Kelly, Audrey S. Chang, Stuart A. Roop, and for the CPAP ASAP (CPAP Promotion and Prognosis-The Army Sleep Apnea Program) Trial
Lettieriと共同研究者らは,短期的なエスゾピクロンの使用が,持続的陽圧呼吸(CPAP)患者の長期的アドヒランスを改善するか否かの検討を行った.研究者らは重度の閉塞型睡眠時無呼吸患者160名をエスゾピクロン群とプラセボ群に無作為に割り付けた.CPAPの初期導入開始後14夜に投与試験を行い,患者のCPAPのアドヒランスを24週にわたり毎週測定した.エスゾピクロン群では非投与群に比較してCPAP中断率が低い傾向と,CPAPの継続日数と一夜当たりの使用時間が長い傾向が認められた.
(翻訳:中村浩士)
レビュー(Reviews)
系統的レビュー:初発乳癌のリスクを抑える薬剤の比較効果
Systematic Review: Comparative Effectiveness of Medications to Reduce Risk for Primary Breast Cancer
Heidi D. Nelson, Rongwei Fu, Jessica C. Griffin, Peggy Nygren, M. E. Beth Smith, and Linda Humphrey
Nelsonと同僚らは,臨床試験あるいは,観察研究についてのレビューを行い,女性におけるタモキシフェン(ノルバテックス®),ラロキシフェン(エビスタ®),チボロン(Livial®)の初発乳癌のリスクを抑えることについての有益性と有害性についてまとめた.タモキシフェン,ラロキシフェン,チボロンともに,それぞれプラセボと比較した場合に浸潤性乳癌の発症リスクを抑える作用がある.タモキシフェンとラロキシフェンはエストロゲン受容体陽性の乳癌ではリスクを軽減させるが,エストロゲン受容体陰性の乳癌あるいはそれによる死亡についてはリスクを軽減できない.全ての薬は骨折のリスクを軽減するが,血栓塞栓イベント(タモキシフェン,ラロキシフェン),子宮内膜癌(タモキシフェン),脳卒中(チボロン)のリスクを上昇させる.
(翻訳:加藤 健)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
乳癌のスクリーニング:U.S.Preventive Services Task Forceの勧告
Screening for Breast Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
U.S. Preventive Services Task Force
今回更新されたU.S. Preventive Services Task Force(USPSTF 訳注:米国予防医療サービス専門作業部会)による勧告は,50歳〜74歳の女性に対して2年ごとにマンモグラフィ検診を行うよう勧めている(推奨度B).USPSTFは40歳〜49歳の女性に画一的にマンモグラフィ検診を行うことには反対であり(推奨度C),医師が女性に乳房自己診察法を教えることにも反対している(推奨度D).最後に,75歳以上の女性に対するマンモグラフィ検診の有用性について,40歳以上の女性では医師による乳房診察がマンモグラフィ検診より優れているかについて,およびスクリーニング検査としてデジタルマンモグラフィあるいはMRIがフィルムマンモグラフィの代替となるかについては,USPSTFは評価のためのエビデンスが不十分であると結論づけている(Iステートメント).
(翻訳:渡邊祐子)
乳癌のスクリーニング:U.S.Preventive Services Task Forceの最新版
Screening for Breast Cancer: An Update for the U.S. Preventive Services Task Force
Heidi D. Nelson, Kari Tyne, Arpana Naik, Christina Bougatsos, Benjamin K. Chan, and Linda Humphrey
乳癌のスクリーニングについて,U.S.Preventive Services Task Force(USPSTF 訳注:米国予防医療サービス専門作業部会)の勧告を報告するために,Nelsonと共同研究者らは,平均的なリスクを有する女性においてマンモグラフィによるスクリーニングが,乳癌死亡率を減少させるかどうかの有効性について,医師による乳房診察と自己乳房診察での有効性について,スクリーニング法の有害性について,各々のエビデンスをレビューした.彼らによると,マンモグラフィ検診は,39〜69歳女性における乳癌死亡率を減少させたが,より高齢の女性ではデータが不十分であった.また,特により若い女性において,結果が偽陽性となることと画像検査が追加されることは珍しくなかった.医師による乳房診察と自己乳房診察は有益ではない.
(翻訳:井田弘明)
異なる乳癌検診スケジュールのもとでのマンモグラフィ検診の効果:潜在的な有益性と有害性のモデル予測
Effects of Mammography Screening Under Different Screening Schedules: Model Estimates of Potential Benefits and Harms
Jeanne S. Mandelblatt, Kathleen A. Cronin, Stephanie Bailey, Donald A. Berry, Harry J. de Koning, Gerrit Draisma, Hui Huang, Sandra J. Lee, Mark Munsell, Sylvia K. Plevritis, Peter Ravdin, Clyde B. Schechter, Bronislava Sigal, Michael A. Stoto, Natasha K. Stout, Nicolien T. van Ravesteyn, John Venier, Marvin Zelen, Eric J. Feuer, and for the Breast Cancer Working Group of the Cancer Intervention and Surveillance Modeling Network (CISNET)
乳癌検診についてのUSPSTF(訳注:U.S.Preventive Services Task Force:米国予防医療サービス専門作業部会)の勧告を知らせるために,Mandelblattと同僚らは,米国における乳癌の発症率や死亡率について6つのモデルを発展させ,20のマンモグラフィ検診戦略全体で有益性と有害性について予測した.モデルは隔年検診がより欠点が少なく,年次検診検査としてもっとも効果があった.最良の乳癌検診戦略についての決定はプログラムや個人の目標,有益性,有害性,資源配慮についての重点に依存する.
(翻訳:鈴木克典)
論評(Editorials)
便利な診療現場ですぐ行える臨床意思決定支援
Handy Point-of-Care Decision Support
Jeffrey M. Rothschild
この号では,Royと同僚らは,フランスの救急医療部門20か所において,手のひらに収まる臨床意思決定支援システムが肺塞栓症の診断率改善に寄与するか否かを研究した.携帯コンピュータにより,意思決定支援ツールへのアクセスを改善する鍵となるリソースの提供が可能となり,よりよい患者管理決断につながった.Royと同僚らの業績は,患者管理の改善という本質的なゴールに向けての有望なスタートであるといえよう.
(翻訳:紺谷 真)


根拠に基づいた乳癌予防:個人個人が持つリスクが重要である
Evidence-Based Breast Cancer Prevention: The Importance of Individual Risk
Karla Kerlikowske
米国では過去25年間,マンモグラフィ検診を広く行うことが乳癌予防の主要な方法であった.この号では,USPSTF(訳注:U.S.Preventive Services Task Force:米国予防医療サービス専門作業部会)は乳癌スクリーニングに関する勧告に大きな変更を行った.同時に掲載されている3つの論文ではそれぞれ,スクリーニングの有益性と有害性を概説し,現行と違ったスクリーニング戦略を提示し,乳癌のリスクを軽減する薬物についてまとめている.この勧告と新しい情報によって臨床医たちは,現在米国で行われている予防策が現時点で入手可能なエビデンスに沿ったものかどうか検証することを迫られるであろう.
(翻訳:紺谷 真)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
閉塞性睡眠時無呼吸に対する持続的陽圧呼吸(CPAP)のより良い使用法
Improving Use of Continuous Positive Airway Pressure for Obstructive Sleep Apnea
(翻訳:西岡亮治)
乳がんのスクリーニング:U.S.Preventive Services Task Forceの勧告
Screening for Breast Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendations
(翻訳:村島美穂)
ACP Journal Club
The Best New Evidence for Patient Care
患者ケアのための最良の新しいエビデンス
論評:エビデンスに基づく医療ケアの難しい計算:E×KT2=ROI
Editorial: The tough math of evidence-based health care: E × KT2 = ROI
フィブリン溶解後の早期の血管造影がST上昇型心筋梗塞を伴う患者の虚血のイベントを減少させた.
Early transfer for angiography after fibrinolysis reduced ischemic events in patients with STEMI
レビュー:ビタミンDとカルシウムの心血管疾患のアウトカム,がん,および死亡の減少に対するエビデンスは限られている.
Review: Evidence for the effectiveness of vitamin D and calcium for reducing CV outcomes, cancer, and death is limited
レビュー:高血圧症における低い血圧設定は死亡率や心血管のイベントを減少させない.
Review: Low BP targets do not reduce mortality or CV events in hypertension
糖尿病非合併の高血圧症患者における厳格な血圧コントロールは左室肥大を減少させる.
Tight BP control reduced left ventricular hypertrophy in nondiabetic patients with hypertension
非小細胞肺癌でのPET-CTを用いた術前の病期診断は,既存の病期診断よりも無用なな開胸術を減少させた.
Preoperative staging using PET-CT reduced futile thoracotomies more than conventional staging in non-small-cell lung cancer
無症候性の成人に対してアルツハイマー病の遺伝的なリスクを開示することは,不安やうつ症状を増加させなかった.
Disclosure of genetic risk for Alzheimer disease did not increase anxiety or depression in asymptomatic adults
心房細動に対する経皮的な左心耳の閉鎖はワーファリンに劣らなかった.
Percutaneous closure of the left atrial appendage was noninferior to warfarin in atrial fibrillation
カプセル内視鏡は大腸病変に対する検出感度は低く,粗大病変に対する特異性は高かった.
Capsule endoscopy had low sensitivity for detecting colonic lesions and high specificity for large lesions
高齢の糖尿病患者における抗精神病薬の使用は高血糖増加の危険性と関連した.
Use of antipsychotic drugs was associated with increased risk for hyperglycemia in older patients with diabetes
PR間隔の延長は心房細動や,ペースメーカー植込み,および死亡率の増加の危険性と関連していた.
Prolonged PR intervals were associated with increased risk for atrial fibrillation, pacemaker implantation, and mortality
レビュー:妊娠期におけるPPIの使用は先天性奇形,自然流産,もしくは早産の増加とは関連しなかった.
Review: PPI use in pregnancy was not associated with increased congenital malformations, spontaneous abortion, or preterm delivery
65歳から74歳までの男性に対する腹部大動脈瘤(AAA)のスクリーニングは,10年間のAAAの死亡率に対して費用対効果があった.
Screening for abdominal aortic aneurysm (AAA) in men 65 to 74 years of age was cost-effective for AAA mortality at 10 years
用語解説
Glossary
(翻訳:上野義之)

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