Journals

患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
乳がんのスクリーニング:U.S.Preventive Services Task Forceの勧告
Screening for Breast Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendations
17 November 2009 | Volume 151 Issue 10 | Pages I-44
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

誰がこのガイドラインを策定しましたか?
U.S.Preventive Services Task Force(USPSTF,訳注:米国予防医療サービス専門作業部会)は出版された研究をレビューして,予防医学についての勧告を策定する医療専門家のグループです.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
乳がんのスクリーニングの目的は乳がんを早期,かつ治療可能な段階で発見することです.乳がんのスクリーニング方法としては,自己乳房診察,医師による乳房診察,マンモグラフィなどがあります.マンモグラフィは乳房のレントゲンで,触診でわかるくらい腫瘍が大きくなる前に,しばしば腫瘍がレントゲン写真に写ることがあります.それにはいくつかのタイプのスクリーニング方法があります.それらは以前より行われていたフィルムマンモグラフィ,デジタルマンモグラフィ,および核磁気共鳴法(MRI)などです.USPSTFは2002年の勧告を今回最新版に更新しています.

USPSTFはこの勧告をどのようにして策定しましたか.
USPSTFは3種類の乳がんのスクリーニング方法について,前回の勧告の後に出版された,研究を吟味しました.また,USPSTFは研究者に依頼してコンピュータ・シミュレーション・モデルを使って期待される健康への効果や,マンモグラフィを異なった年齢で開始したり中止したり,あるいは異なった頻度(毎年あるいは2年ごと)で行った場合に必要とされる資源を比較しました.

著者らは何を見い出しましたか?
スクリーニング目的のマンモグラフィを受けた女性は,受けなかった女性に比べて乳がんで死亡する確率が減ることを,USPSTFは見出しました.しかし,有益性と有害性の差は,40-49歳の女性では小さいことも見出しました.有益性は,年齢が上がり乳がんのリスクが上がるにつれて,増加します.しかし,75歳以上の女性におけるマンモグラフィの研究はあまりありません.マンモグラフィの考えうる有害性としては,偽陽性による不安,手技,コストや,女性が生きている間には見つからなかったであろうがんの診断をされその治療を受けることなどです.マンモグラフィを2年ごとに行うと毎年行うのとほとんど同じくらい有益であるということが見出されました.一方で有害性は約半分になると予想されます.また,自己乳房診察や医師による乳房診察では乳がんの死亡率は下がらないこともわかりました.

USPSTFから,患者さんと医師が何をしたらいいか提案がありますか?
スクリーニング目的のマンモグラフィを40〜49歳の女性全員にルーチンに行うべきではありません.女性とその医師は乳がんのリスクと有益性と有害性のバランスを考えて50歳未満でマンモグラフィを始める決定をすべきです.50歳から74歳の女性は2年ごとにマンモグラフィを受けることが推奨されます.74歳以降でスクリーニング目的のマンモグラフィを行うべきかどうかについてUSPSTFが勧告を出すには,さらなる研究が必要です.USPSTFは患者さんに自己乳房診察を指導することは推奨しません.入手可能な研究データによると,経験ある医療関係者による乳房診察がマンモグラフィ以上の情報をもたらすかどうかはわかりません.新しいタイプのマンモグラフィ(デジタルマンモグラフィやMRI)が通常のフィルムマンモグラフィに比べて優れているかどうかについても十分な情報はありません.

この勧告に関する注意点は何ですか?
新たな研究結果で,この勧告は変わることがあります.

(翻訳:村島美穂)

*訳者注
偽陽性:本当はがんではないのにがんではないかという結果がでること

English Abstract

▲このページのTOPへ