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レビュー(Review)
系統的レビュー:初発乳癌のリスクを抑える薬剤の比較効果
Systematic Review: Comparative Effectiveness of Medications to Reduce Risk for Primary Breast Cancer
Heidi D.Nelson,MD,MPH; Rongwei Fu,PhD; Jessica C.Griffin,MS; Peggy Nygren,MA; M.E.Beth Smith,DO;and Linda Humphrey,MD,MPH
17 November 2009 | Volume 151 Issue 10 | Pages 703-715
背景: いくつかの試験は,薬剤により浸潤性乳癌のリスクを減少する効果があることを示している.

目的: 初発乳癌のリスクを減少させることについて,タモキシフェン,ラロキシフェン,およびチボロンの有益性と有害性についてまとめる.

情報源: 開始から2009年1月までのMEDLINE,コクランライブラリデータベース,Web of Science,臨床試験登録,企業情報より集めた.

研究の選択: あらかじめ定めた適格規準を用いて試験の選択を行った.すなわち,英文により報告された,有益性を検証するための無作為化比較試験,あるいは有害性を比較する目的で行われた,無作為化比較試験または観察研究を含めた.

データ抽出: 2人のレビュアーにより,試験データ,質,適用可能性について評価された.

データ統合: 7つのプラセボコントロール無作為化比較試験,1つの薬剤対薬剤の試験の結果が主なアウトカムに使用された.タモキシフェン(リスク比,0.70[95%CI,0.59〜0.82];4試験),ラロキシフェン(リスク比,0.44[CI,0.27〜0.71];2試験),チボロン(リスク比,0.32[CI,0.13〜0.80];1試験)は,プラセボと比較して,1年間に1,000名の女性あたり,7〜10名の割合で,浸潤性乳癌のリスクを下げる.タモキシフェンとラロキシフェンは,エストロゲン受容体陽性乳癌を抑えるが,エストロゲン受容体陰性乳癌,非浸潤性乳癌,それによる死亡を抑えることはできない.全ての薬剤は,骨折のリスクを抑える.タモキシフェン(リスク比,1.93[CI,1.41〜2.64];4試験),ラロキシフェン(リスク比,1.60[CI,1.15〜2.23];2試験)は,1年間に1000名の女性あたり4〜7名の割合で,血栓塞栓症を増加させ,ラロキシフェンは,タモキシフェンよりもよりイベントが少ない.タモキシフェン(リスク比,2.13[CI,1.36〜3.32];3試験)はプラセボと比較して,1年間に1,000名の女性あたり4名の割合で子宮内膜癌のリスクを上昇させ,ラロキシフェンよりもより白内障を起こさせる.チボロンは高齢女性において,脳卒中を引き起こす.

研究の限界: バイアス,試験の不均質性,薬剤対薬剤の試験の不足が,この研究の限界である.今回のデータでは,薬剤の用量や期間,タイミングの情報はなく,長期間での影響,非白人,閉経前女性に対する影響などについては不明である.

結論: 3つの薬剤は初発乳癌のリスクを減少させるが,血栓塞栓症(タモキシフェン,ラロキシフェン),子宮内膜癌(タモキシフェン),脳卒中(チボロン)のリスクを上昇させる.

主たる資金提供源: Agency for Healthcare Research and Quality(AHRQ 訳注:米国ヘルスケア研究・品質局)

*訳者注:それぞれの薬の適応は,タモキシフェン(ノルバテックス);乳癌,ラロキシフェン(エビスタ);閉経後骨粗鬆症,(米国;乳癌の発症リスクの高い女性における浸潤性乳癌の発症リスク減少,チボロン(日本未発売,海外ではLivial);(海外;骨粗鬆症,閉経後症状の改善),となっており,日本において,乳癌予防にこれらの薬を使うことは出来ない.

(翻訳:加藤 健)

English Abstract

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