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(更新日 2009年12月14日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
1 December 2009 Volume 151 Issue 11
(監修:板東 浩,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
65歳まで保険未加入だった成人のメディケア支出額
Medicare Spending for Previously Uninsured Adults
J. Michael McWilliams, Ellen Meara, Alan M. Zaslavsky, and John Z. Ayanian
65歳になる前から保険に加入することによって,メディケア被保険者となった後の医療費を節約できるのではないかと仮説を立てている政策立案者もいる.McWilliamsと同僚らは,継続して保険に加入していた64〜74歳の2,951人のメディケアへの調整年間支出額($4,773)は,65歳まで保険に加入していなかった1,616人の調整年間支出額($5,796)より低額だったことを見出した.保険未加入だった成人では,心血管系疾患,糖尿病の合併症および,関節置換術による調整年間入院率も高かった.
(翻訳:安藤聡一郎)
特発性肺線維症への両側肺移植対片側肺移植の術後生存
Survival After Bilateral Versus Single-Lung Transplantation for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Gabriel Thabut, Jason D. Christie, Philippe Ravaud, Yves Castier, Gaëlle Dauriat, Gilles Jebrak, Michel Fournier, Guy Lesèche, Raphaël Porcher, and Hervé Mal
終末期特発性肺線維症(IPF)の患者において,片側よりも両側での肺移植例が次第に増加してきている.この研究によると,ベースラインの差異の補正後生存率が片側肺移植を受けたIPF患者2,146名と両側肺移植の1,181名とで差がなかった.ただし,死因は異なっていた.片側肺移植は短期の生存の恩恵を受けられるが長期的な欠点があった.一方,両側肺移植では短期的な悪影響があるものの,長期的な生存の恩恵が受けられた.
(翻訳:郷間 巌)
糖尿病リスクの患者用自己評価スコアの開発と実行可能性の検証
Development and Validation of a Patient Self-assessment Score for Diabetes Risk
Heejung Bang, Alison M. Edwards, Andrew S. Bomback, Christie M. Ballantyne, David Brillon, Mark A. Callahan, Steven M. Teutsch, Alvin I. Mushlin, and Lisa M. Kern
米国のガイドラインでは,どのような人々に未診断の糖尿病をスクリーニングするべきか,意見の一致が得られていない.既存の糖尿病リスクスコアには,高度に一般化されているものや広く知られているものはない.Bangと共同研究者らは,人々が糖尿病のリスクを自己評価できるような新しいスクリーニングスコアを開発した.このスコアは使いやすく既存の方法よりも実行しやすいように思われる.実際の現場で,さまざまな人々に対してこのスコアを評価する研究が必要である.
(翻訳:増田浩三)
医学と臨床(Academia and Clinic)
キャリア開発助成金を受けた研究者の独立研究資金獲得における性差
Sex Differences in Attainment of Independent Funding by Career Development Awardees
Reshma Jagsi, Amy R. Motomura, Kent A. Griffith, Soumya Rangarajan, and Peter A. Ubel
医学研究において女性研究者が男性と同様に成功しているか否かについての関心が高まっている.Jagsiと同僚らは,1997年から2003年までにK08助成金1を受けた1,919人の31.4%,およびK23助成金2を受けた865人の43.7%が女性であったにも関わらず,5年間にR01助成金3を受けたのは男性が24.8%に対して女性が18.8%と少なかったことを明らかにした.この差は10年間にわたって持続していた.K助成金の種類,助成受給年,基金,研究機関,および専門領域によって調整を行った多変量解析において,性別は継続してR01助成金獲得の独立した予測因子であった.
(翻訳:鈴木 昌)
訳者注1:Mentored Clinical Scientist Development Awardsをさし,MDが基礎研究を始めるためのグラントと位置付けられている.
訳者注2:Mentored Patient-Oriented Research Career Development Awardsをさし,若手研究者が臨床研究を始めるためのグラントと位置付けられている.
訳者注3:Independent Research Project Grantsを指し,最も一般的なグラントとされる.このグラントに採択されると一人前の研究者として認知される.採択率は低く,実績の少ない若い研究者の取得は困難なため,若手研究者が独立して研究を行うためのグラントとしてKカテゴリ(Career Development Awards,タイトルではキャリア開発助成金と翻訳)が用意されている.
展望(Perspectives)
青年および若年成人の咽頭炎診断パラダイムの拡張
Expand the Pharyngitis Paradigm for Adolescents and Young Adults
Robert M. Centor
最近のデータによると,青少年および若年成人において,Fusobacterium necrophorumがA群β溶血性レンサ球菌と同等の割合で流行性咽頭炎の原因となることを示している.論文発表された疫学的データに基づき,著者は青少年の咽頭炎の診断パラダイムをF. necrophorumまで広げて考慮することを示唆している.菌血症症候を伴う青少年および若年成人のF. necrophorum感染に対して強力な抗菌薬療法を行うこと,そしてこの菌群による咽頭炎が危険な病態 (レッドフラッグ) であると内科医は認識すべきことを主張している.
(翻訳:小池竜司)
(訳注:Fusobacterium necrophorum;口腔や咽頭に常在する嫌気性グラム陰性桿菌.時に口腔周囲の膿瘍性疾患の原因となる.本論文では特にLemierre症候群(口腔咽頭感染症が重症化し,内頚静脈の血栓性静脈炎,菌血症,肺膿瘍などの遠隔播種を伴った病態)の原因として重要であることを指摘している.)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
成人うつ病のスクリーニング:U.S. Preventive Services Task Forceによる勧告声明
Screening for Depression in Adults: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
U.S. Preventive Services Task Force
U.S. Preventive Services Task Force(USPSTF;訳注:米国予防医療サービス専門作業部会)は,的確な診断,効果的な治療,そして確実な経過観察のため,スタッフが介助するうつ病看護支援の環境が整っている状況で,成人うつ病のスクリーニングを推奨している(グレードB推奨).スタッフ介助のうつ病看護支援環境が整っていない状況で,成人うつ病を規定通りにスクリーニングすることには反対している.個々の患者でうつ病のスクリーニングの支援も考慮されるかもしれない(グレードC推奨).
(翻訳:石塚尋朗)
プライマリ・ケアでの成人うつ病スクリーニング:系統的エビデンスレビュー
Screening for Depression in Adult Patients in Primary Care Settings: A Systematic Evidence Review
Elizabeth A. O'Connor, Evelyn P. Whitlock, Tracy L. Beil, and Bradley N. Gaynes
本号のUSPSTF(訳注:米国予防医療サービス専門作業部会)の勧告声明を支持するために,O'Connorと同僚らはプライマリ・ケアでの成人うつ病スクリーニングのエビデンス,高齢成人でのうつ病の治療効果,抗うつ薬の有害性についてレビューした.プライマリ・ケアでのうつ病スクリーニングとスタッフによる支援があるケア管理プログラムは,うつ病の反応と寛解を増加させる可能性がある.うつ病ケアに対して,スタッフの支援がないスクリーニングプログラムは,利点がみられなかった.抗うつ薬治療は自殺による死亡を増加させるとは思われない.自殺行動のリスクは若年成人で抗うつ薬(特にparoxetine(訳注:パキシル®))の処方例で増加するが,高齢成人では減少した.
(翻訳:川上寿一)
論評(Editorials)
高齢間近の人*の医療保険加入:いったいどれほどメディケアは節約できるのか?
Insuring the Near-Elderly: How Much Would Medicare Save?
Jay Bhattacharya
本号で,McWilliamsと同僚らは,医療保険に未加入の高齢期間近の人へ医療保険を提供すれば,彼らがメディケアに加入後最初の10年間でメディケアを980億ドル節約できるだろうと算出している.しかし,論評委員は,この研究に用いられたデータと方法は原因の解釈を支持するものではなく,メディケアの節約は予想ほど大きくはないであろうと強く主張している.
(翻訳:小出優史)
訳注: the near-elderly adult - 65歳以上の高齢期に達する前の55-64歳程度の年代層の人々を指す.

漏れの多いパイプ,ファウストのジレンマ,自身の居場所:我々は学問の成功につながる柔軟性に富むパイプラインを構築できるだろうか?
Leaky Pipes, Faustian Dilemmas, and a Room of One's Own: Can We Build a More Flexible Pipeline to Academic Success?
Amy C. Justice
本号で,Jagsiと同僚らは,男性は女性よりも25%〜30%も頻回にR01基金を得ていると報告している.論評員はこの「漏れの多いパイプライン」の原因となっている社会的文化的因子について解説する.
(翻訳:小出優史)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
糖尿病スクリーニングのための新しい点数表
A New Diabetes Screening Score
(翻訳:田村功一)
成人うつ病のスクリーニング:U.S. Preventive Services Task Forceからの勧告
Screening for Depression in Adults: U.S. Preventive Services Task Force Recommendations
(翻訳:山内高弘)
クリニックにて(In the Clinic)
甲状腺機能低下症
Hypothyroidism
(翻訳:金原秀雄)
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