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原著(ARTICLE)
パンデミックインフルエンザ(H1N1)2009に対するワクチン接種の有効性と費用対効果
Effectiveness and Cost-Effectiveness of Vaccination Against Pandemic Influenza (H1N1) 2009
Nayer Khazeni, MD, MS; David W. Hutton, MS; Alan M. Garber, MD, PhD; Nathaniel Hupert, MD, MPH; and Douglas K. Owens, MD, MS
15 December 2009 | Volume 151 Issue 12 | Pages 829-839
背景: パンデミック(H1N1)2009ウイルスに対するワクチン接種のタイミングと範囲に関する判断は,複雑で困難である.

目的: パンデミックインフルエンザ(H1N1)ワクチン接種の有効性と費用対効果を,2009年10月接種と11月接種の2通りのシナリオで見積もること

研究デザイン: 感染拡大に関するマルコフモデルと連結させたコンパートメント流行モデル

情報源: 文献と専門家の意見

対象集団: 人口830万人の米国大都市居住者

対象期間: 生涯

展望: 社会的

介入: 2009年10月中旬または11月中旬におけるワクチン接種

結果判定: 予防可能な感染および死亡,コスト,生活の質を調整した生存年(QALYs),増分費用対効果

基本症例分析結果: 各一次感染が1.5名の二次感染を惹き起こすと仮定すると,10月または11月に人口の40%にワクチンを接種するとコストを低減できる.10月中にワクチン接種を実施すると,ワクチン接種を行わない場合と比較して2,051名の死亡を防ぎ,69,679QALYs向上し,46,900万ドルのコスト低減になると推定される.11月にワクチン接種を実施すると1,468名の死亡を防ぎ,49,422QALYs向上し,30,200万ドルのコスト低減になると推定される.

感度分析結果: 潜伏期の延長や感染性の低下,公衆衛生的な介入の実施の増加によってパンデミックのピークまでの時間がより遅くなれば,ワクチン接種でさらに一層のコスト低減が可能となる.逆にもし流行のピークが10月中旬以前になる場合には,死亡者が増え,費用対効果はより低くなる.

研究の限界: このモデルでは感染患者と接触者が均質に混じり合うことを想定している.不均質に混じり合う場合はより速く蔓延し,その後よりゆっくりと蔓延するであろう.感染モデルに含まれない付加的なコストや節減は,ワクチン接種のコストを低減すると推定される.

結論: パンデミック(H1N1)2009ウイルスに対するより早期のワクチン接種でより多くの死亡を防ぎ,コストの低減が可能となる.ウイルスの増殖率を低下させ,パンデミック期間の短縮を促進するのに全人口の集団接種を行う必要はない.

主たる資金提供源: Agency for Healthcare Research and Quality(訳注:米国ヘルスケア研究・品質局;AHRQ)およびNational Institute on Drug Abuse(訳注:米国立薬物乱用研究所)

(翻訳:田 徹)

English Abstract

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