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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
インフルエンザ拡大予防に関する最良法の評価に関して
Assessing the Best Way to Prevent Spread of Influenza
15 December 2009 | Volume 151 Issue 12 | Pages I-31
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
インフルエンザは,通常寒冷期に熱,くしゃみ,咳,筋肉痛,消耗などの症状を引き起こします.さらにウイルスは絶えず変異し,結果的に通年性に感染力をもったり,強毒性に変化したりします.インフルエンザの中でも容易に伝播し様々な場所で様々な人々に感染するものをパンデミックインフルエンザと呼びます.この中には軽い症状のみで治まるものから,致死的となるものまでが含まれます.世界中の公衆衛生当局はパンデミックインフルエンザの拡大を防ぐためのワクチン,薬剤の使用法についての検討を行っています.当局が恐れているインフルエンザには2種類あり,1つめはヒトにおいて容易に感染拡大する一方で概して毒性が低いH1N1インフルエンザ,ないし豚インフルエンザと呼ばれるものです.
対してもう一方のH5N1インフルエンザ,ないし鳥インフルエンザは,今までのところ人類においては容易には感染拡大はしておりませんが,毒性がより高く,近い内に人類にて簡単に蔓延する可能性があると考えられています.

この研究の目的は何ですか?
パンデミックインフルエンザに備える最良の方法を検討することです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
コンピュータ解析が行われました.すなわち実際の研究参加者はおりません.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者らはコンピュータモデルを用いて,豚インフルエンザや鳥インフルエンザのパンデミック期において,ある時点においてワクチンや薬剤が入手可能,ないし不可能であった場合に,ニューヨークのような都市に住む人々にどのようなことが起きうるかを推測しました.同時にこの推測を用いてワクチンや薬剤,そのタイミングなどの様々な組み合わせ毎の費用と利益を評価しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
鳥インフルエンザの研究においては,免疫応答を増す作用を持つワクチンを多くの人々に接種することが他のワクチンや薬剤の組み合わせよりも優れていることが明らかになりました.一方豚インフルエンザにおいては,数週間でも早くワクチン接種をすることによって罹患や死亡を少なくすることができることが明らかになりました.

この研究にはどのような限界がありますか?
研究が大規模集団においてのみあてはまるということです.すなわち,本研究は個人が医師,診療所にてどのような治療を受けるべきかを示すものではありません.また研究者がワクチンや薬剤と,有効な予防法(手洗い,感染者との接触を避けるなどの)の比較をしている訳ではないことです.また免疫応答を賦活化させるワクチンが米国において未だ一般には入手困難であることや,本研究において,現実のパンデミックでは起こり得ないことを仮定している可能性があります.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
インフルエンザの拡大は,ワクチンと薬剤で予防出来る可能性があります.本研究は,政府や公衆衛生当局にとって,最も効率的なワクチン及び薬剤の使用法に関する指標となる可能性があります.

(翻訳:今村隆明)

English Abstract

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