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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
2型糖尿病を有する患者さんにおける血糖コントロールと心血管系疾患発症の関係には併存疾患が影響しているようです.
Chronic Health Problems Seem to Influence the Relationship of Blood Sugar Control and Cardiovascular Events in Patients With Type 2 Diabetes
15 December 2009 | Volume 151 Issue 12 | Pages I-54
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
2型糖尿病を有する人々は,心臓発作や脳卒中というような心血管系疾患発症に対する大きなリスクを持っています.幸い,このリスクは高血圧や高コレステロール血症といった危険因子をコントロールする治療により減じることができるようになりました.血糖コントロールが患者さんの自覚症状や糖尿病の合併症を改善しているにもかかわらず,厳格な血糖コントロールが心血管系疾患発症のリスクを減じるかについて,専門家たちの間で確認されていません.ある研究では厳格な血糖コントロールが心血管系疾患発症を減じるといっていますが,減じないという研究もあるのです.年齢や併存疾患などの因子の影響で,厳格な血糖コントロールが,ある患者さんには利益をもたらし,他の患者さんには利益をもたらさないために,混乱が生じているのだと専門家たちは考えています.

この研究の目的は何ですか?
2型糖尿病を有する患者さんにおける厳格な血糖コントロールと心血管系疾患発症の関係は,併存疾患によって違ってくるのかどうかを調べることです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
イタリアの205箇所の診療所で治療を受けている2,613人の2型糖尿病患者さんが対象となりました.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究開始時点での患者さんの血糖コントロールに関する情報が集められました.ヘモグロビンA1c値が6.5または7未満の場合が厳格な血糖コントロールと定義されました.心疾患,呼吸器疾患,心不全,尿路疾患,関節炎,足の疾患,消化器系疾患の持病についての情報が患者さんから集められ,併存疾患として軽症から中等症または重症までに分類されました.その後,患者さんを約5年間にわたり追跡調査し,新たな心血管系疾患を発症するかどうかを調べました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
厳格な血糖コントロールは,軽症から中等症の併存疾患を有する患者さんにおいては新たな心血管系疾患発症のリスクを減少させましたが,重症の併存疾患を有する患者さんにおいては減少させませんでした.

この研究にはどのような限界がありますか?
この研究は,2型糖尿病の患者さんの血糖を下げることが心血管系疾患の発症を減少させたのだという証明ではありません.また,心血管系疾患だけに注目したものであり,血糖コントロールがもたらす腎合併症や眼合併症の予防といった他の利益については注目していません.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
2型糖尿病を有する患者さんにおいて,併存疾患の存在が,厳格な血糖コントロールと心血管系疾患発症の関係に影響を与えているようです.良好な血糖コントロールと心血管系疾患減少という関係は軽症から中等症の併存疾患を有する患者さんにおいては成り立ちますが,より重症な併存疾患を抱えている患者さんにおいては成り立たないのです.

(翻訳:浦野哲哉)

English Abstract

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