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NIHカンファレンス(NIH Conferences)
系統的レビュー:ありふれた疾患のリスク評価における家族歴
Systematic Review: Family History in Risk Assessment for Common Diseases
Brenda J. Wilson, BSc, MB, ChB, MSc; Nadeem Qureshi, MBBS, MSc, DM; Pasqualina Santaguida, BSc, PT, PhD; Julian Little, MA, PhD; June C. Carroll, MD; Judith Allanson, MB, ChB; and Parminder Raina, BSc, PhD
15 December 2009 | Volume 151 Issue 12 | Pages 878-885
背景: プライマリ・ケアの診療場面においてルーチンに家族歴を聴取することの有用性については明らかにされていない.

目的: プライマリ・ケアを受ける患者に対して家族歴を聴取することの有益性と有害性について評価すること.また家族歴がどれほどよく疾患のリスクを予知するか,どれほど正確に患者が家族歴を報告するかを評価する.

情報源: 1995年から2009年3月までの間に,MEDLINE,EMBASE(訳注:Elsevier Science社が作成する医学・薬学文献データベース),CINHAL(訳注:看護学の基本的データベース),Cochrane Central Register of Controlled Trials(訳注:英国の Cochrane Collaborationが医療情報を収集,提供しており,Cochrane Central Register of Controlled Trialsは,適切にデザインされた臨床試験についての文献を集積したものである)およびPsycoINFOに収載された英語論文

研究の選択: 二人の独立したレビュアーが,今回の研究上の疑問に合致するような適格基準を満たした論文を選択した.つぎのような論文が選択された.すなわち,系統的な家族歴聴取を行い,(疾病に対する)予防的介入をすることの有用性と有害性を検証した比較対照あるいは非比較対照試験,家族歴と疾病頻度に関して検証した縦断あるいは横断研究,患者から聴取した家族歴が,その血縁者が真に有する疾患に照らしてどの程度信頼性があるかを検証した研究,などである.

データ抽出: 統一化されたプロトコルに従って,研究の質,研究が行われた環境,そして研究結果が抽出された.

データ合成: 二つの非比較対照試験が,家族歴を尋ねることで患者のアウトカムが改善するかどうかを評価するための弱いエビデンスを示した.一つの無作為化比較試験と二つの非比較対照試験は,家族歴を聴取することに関連して一部の患者は,一時的で短期間ではあるが不安をより強く感じる,という不十分なエビデンスを示した.41件の研究によると,家族歴をどう定義するかによって,疾病リスクを検知することの感度と特異度がそれぞれ0から0.51までと,0.66から1.00までとなってしまうことが判明した.また,一般的な疾患の存在を検知することの感度・特異度はそれぞれ0から0.83,0.48から1.00となることも同様に判明した.また23件の研究は,患者は血縁者が疾患を有していることよりも有していないことをより正確に述べ,また患者から得られる情報については一親等血縁に関する情報が,より遠縁の血縁者に関する情報より正確であることを示した.

研究の限界: 関心のある,特定の問題を扱うように計画された研究はほとんどなかった.

結論: プライマリ・ケアの診療場面においてどのようにして正確に家族歴を聴取するかといったことや,家族歴を聴取することがどのように患者のアウトカムに影響するかといったことを評価したエビデンスは充分にはなかった.患者は血縁者に関しては,疾患が存在することよりも疾患が存在しないことをより正確に述べるようである.

主たる資金提供源: Agency for Healthcare Research and Quality(訳注:米国ヘルスケア研究・品質局(AHRQ))

(翻訳:山本智清)

English Abstract

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