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レビュー(Review)
系統的レビュー:虚血性心疾患に対するアンジオテンシン変換酵素阻害薬あるいはアンジオテンシンII受容体拮抗薬の比較効果
Systematic Review: Comparative Effectiveness of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors or Angiotensin II-Receptor Blockers for Ischemic Heart Disease
William L. Baker, PharmD; Craig I. Coleman, PharmD; Jeffrey Kluger, MD; Kurt M. Reinhart, PharmD; Ripple Talati, PharmD; Robert Quercia, MS; Olivia J. Phung, PharmD; and C. Michael White, PharmD
15 December 2009 | Volume 151 Issue 12 | Pages 861-871
背景: 心室機能が保たれている虚血性心疾患の患者では,標準的治療にも関わらずかなり多くの発病や死亡がみられる.

目的: 心室機能が保たれた安定した虚血性心疾患の成人において,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARBs)またはその併用療法の有益性と有害性を比較すること

情報源: MEDLINE,EMBASE(訳注:Elsevier Science社が作成する医学・薬学文献データベース),Cochrane Central Register of Controlled Trials(訳注:英国のCochrane Collaborationが医療情報を収集,提供しており,Cochrane Central Register of Controlled Trialsは,適切にデザインされた臨床試験についての文献を集積したものである),コクラン系統的レビューデータベース(2009年7月最早日)が言語制限なしに探索された.

研究の選択: 独立した2名の研究員が,ACE阻害薬,ARBs,併用療法とプラセボまたは実薬を少なくとも6か月にわたって比較し,何らかの臨床アウトカムを報告した臨床試験の文献をスクリーニングした.

データ抽出: 標準化されたプロトコルを用いて,2名の研究員が,研究の特徴,エビデンスの質と強さを評価した.意見の相違は合意を諮って解決された.

データ合成: 41個の研究が採択基準に合致した.中等度から高度に強力なエビデンス(7個の試験,対象者32,559名)として,ACE阻害薬がプラセボと比べて,総死亡(RR,0.87[95%CI,0.81〜0.94])および非致死性心筋梗塞(RR,0.83[95%CI,0.73〜0.94])の相対リスク(RR)を低下させ,失神(RR,1.24[95%CI,1.02〜1.52])および咳(RR,1.67[95%CI,1.22〜2.29])の相対リスクを上昇させることが示された.低い強度のエビデンス(1個の試験,対象者5,926名)としては,ARBsが心血管死,非致死性心筋梗塞,脳卒中からなる複合エンドポイントの相対リスク(RR,0.88[95%CI,0.77〜1.00])を低下させるが,個々の相対リスクを低下させないことが示唆された.中等度に強力なエビデンス(1個の試験,対象者25,620名)として,ACE阻害薬と比べて,併用療法では,総死亡(RR,1.07[95%CI,0.98〜1.16])および心筋梗塞(1.08[95%CI,0.94〜1.23])に同様な効果が示されたが,低血圧(p<0.001)や失神(p=0.035)による中断がみられた.

研究の限界: 多くの研究が,体系的な方法で有害性を評価および報告していなかった.多くの研究が,多様な患者のサブグループごとに有益性と有害性を適切に報告していなかった.

結論: 標準治療にACE阻害薬を加えることは,安定した虚血性心疾患で心室機能が保たれている患者では,死亡や心筋梗塞に対するリスクを低下させるなどアウトカムを改善する.ARBによる治療の有益性を支持するエビデンスは少なく,併用療法の効果はACE阻害薬のみの治療とまったく変わらないようであり,有害性を増大させる.

主たる資金提供源: Agency for Healthcare Research and Quality(訳注:米国ヘルスケア研究・品質局;AHRQ)

(翻訳:吉田 博)

English Abstract

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