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(更新日 2009年8月3日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
21 July 2009 Volume 151 Issue 2
(監修:菅野義彦,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
抗レトロウイルス療法中のHIV感染症患者における,HIV薬剤感受性検査と生存率の関連:コホート研究
The Association of HIV Susceptibility Testing With Survival Among HIV-Infected Patients Receiving Antiretroviral Therapy: A Cohort Study
Frank J. Palella Jr., Carl Armon, Kate Buchacz, Stephen R. Cole, Joan S. Chmiel, Richard M. Novak, Kathleen Wood, Anne C. Moorman, and John T. Brooks, for the HOPS (HIV Outpatient Study) Investigators
薬剤感受性試験は抗レトロウイルス薬の選択の基準となる.遺伝子型の薬剤感受性検査によりHIV-1の抗レトロウイルス薬への耐性変異を確認することができる.一方,表現型の薬剤感受性検査は薬剤の存在下でのウイルス複製を測定することができる.これらの検査が生存に与える影響はこれまで不明であった.この観察研究においてPalellaと同僚らは,HIV-1の薬剤感受性検査を行った患者では検査を行っていない患者に比して死亡が少ないことを見出した.検査を行った患者においてより良い治療の選択によるものなのか,交絡によるものなのかは不明である.
(翻訳:加藤哲朗)
妊娠中の深部静脈血栓症の予測:完全に間違っているのか?
Predicting Deep Venous Thrombosis in Pregnancy: Out in "LEFt" Field?
Wee-Shian Chan, Agnes Lee, Frederick A. Spencer, Mark Crowther, Marc Rodger, Tim Ramsay, and Jeffrey S. Ginsberg
深部静脈血栓症(DVT)の臨床的予測因子は,一般の集団でよく知られているが,妊婦では明らかでない.7年間にわたり,血栓症の臨床専門家は,カナダ国内の5つの医療機関でDVTを疑われた194人の妊婦を登録して評価し,下肢静脈圧迫法による超音波検査を実施した.17人(8.8%)の女性がDVTに罹患していた.すべての例で,少なくとも1つの以下の臨床予測因子,すなわち,左足の症状,2cm以上の下腿最大周囲径の違い,および妊娠初期にあること,である.これらの3つの因子が,妊娠中のDVT診断の精度を改善させるかもしれない.
(翻訳:小野広一)
親密なパートナーによる暴力と支配に対するコンピュータを用いたスクリーニング法:無作為化試験
Computer-Assisted Screening for Intimate Partner Violence and Control: A Randomized Trial
Farah Ahmad, Sheilah Hogg-Johnson, Donna E. Stewart, Harvey A. Skinner, Richard H. Glazier, and Wendy Levinson
親密なパートナーによる暴力と支配(IPVC)は,しばしば,医療制度の中で気づかれずに進行し,見つけ出すのが難しい.Ahmadと共同研究者らは,カナダの家庭医療クリニックで,成人女性に対して,コンピュータによるIPVCの質問票や通常のケアについて,ランダムに割り振り調査した.この回答をコンピュータで詳細に解析した結果をカルテに添付すると,家庭医らはIPVC関する問診を行い明らかにする姿勢がみられた.このIPVCスクリーニング法は,多忙な外来診療で,IPVCの発見頻度を上昇させた.
(翻訳:板東 浩)
初回大腸内視鏡検査結果を用いた,高リスク腺腫再発予測
Using the Results of a Baseline and a Surveillance Colonoscopy to Predict Recurrent Adenomas With High-Risk Characteristics
Douglas J. Robertson, Carol A. Burke, H. Gilbert Welch, Robert W. Haile, Robert S. Sandler, E. Robert Greenberg, Dennis J. Ahnen, Robert S. Bresalier, Richard I. Rothstein, Bernard Cole, Leila A. Mott, and John A. Baron
Robertsonと共同研究者は初回の大腸内視鏡にて腺腫が認められ,その後2回の大腸内視鏡による検索を受けた564名の患者について検討を行った.初回検査と,第2回目の検査の結果により,3回目の内視鏡における,高リスク腺腫の予測を行った.初回に低リスク腺腫が認められ,かつ第2回目の検査において腺腫が認められなかった患者では,3回目の検査において高リスク腺腫を認める割合は4.9%であった.それに対し,初回に高リスク腺腫が認められ,かつ第2回目の検査において腺腫が認められなかった患者では,12.3%の高リスク腺腫が認められた.ポリープ切除後フォローアップ大腸内視鏡の検査間隔を決定する際には,初回検査の結果を考慮にいれるべきである.
(翻訳:加藤 健)
患者診療の質の改善(Improving Patient Care)
インターネットを用いた自己管理・教育と通常のケアを喘息で比較する:無作為化試験
Internet-Based Self-management Plus Education Compared With Usual Care in Asthma: A Randomized Trial
Victor van der Meer, Moira J. Bakker, Wilbert B. van den Hout, Klaus F. Rabe, Peter J. Sterk, Job Kievit, Willem J.J. Assendelft, and Jacob K. Sont, for the SMASHING (Self-Management in Asthma Supported by Hospitals ICT Nurses and General Practitioners) Study Group
この無作為化試験は200人の成人喘息患者を対照として,インターネットを用いた喘息自己管理と通常のケアを比較した.van der Meerと同僚らはわずかな喘息コントロールと呼吸機能の改善をインターネット介入に見いだしたが,喘息増悪を減らさず,12か月においての喘息関連クオリティ・オブ・ライフ(QOL)の変化は臨床的に有意では無かった.インターネットを用いた自己管理はいくつかの喘息評価項目を改善したが,その改善はわずかで,そして増悪の回数に影響しなかった.
(翻訳:吉澤弘久)
レビュー(Reviews)
メタ解析:ヘリコバクター・ピロリ除菌治療は胃癌のリスクを減少させうるか?
Meta-analysis: Can Helicobacter pylori Eradication Treatment Reduce the Risk for Gastric Cancer?
Lorenzo Fuccio, Rocco Maurizio Zagari, Leonardo Henry Eusebi, Liboria Laterza, Vincenzo Cennamo, Liza Ceroni, Diego Grilli, and Franco Bazzoli
ヘリコバクター・ピロリ感染は胃癌のリスク増加と関連している.Fuccioと共同研究者らは,ピロリ陽性患者における除菌治療と無治療を比較し,その後の胃癌や前癌病変出現について評価した7つの無作為化比較試験をレビューした.全体で,治療を受けた患者3,388人のうち37人(1.1%)で胃癌を発症し,一方で無治療の対照群では3,307人のうち56人(1.7%)であった.6つの研究のプール解析において,胃癌の相対リスクは0.65(95%CI,0.43〜0.98)であった.ヘリコバクター・ピロリの除菌治療は胃癌のリスクを減少させるようである.
(翻訳:渡邊清高)
展望(Perspectives)
クリニックを越えたコレステロールのコントロール:ニューヨーク市のトランス脂肪規制
Cholesterol Control Beyond the Clinic: New York City's Trans Fat Restriction
Sonia Y. Angell, Lynn Dee Silver, Gail P. Goldstein, Christine M. Johnson, Deborah R. Deitcher, Thomas R. Frieden, and Mary T. Bassett
コレステロールのコントロール活動が,消費者教育と医療とで焦点を当てられている.人工トランス脂肪が飲食店で規制された際,ニューヨーク市保険精神衛生局が行った取り組みは食品質を変えることである.予備的な解析では,人工トランス脂肪を置き換えることで結果的に製品をより健康的な脂肪酸組成をもったものに変化させた.Angellと同僚らはその合理性や,この規制が導入された経緯,実行した際の経験を論じている.
(翻訳:勝田秀紀)
論評(Editorials)
コホート,試験,エビデンス:抗レトロウイルス耐性試験のガイドラインにおける信頼を拡大させる
Cohorts, Trials, and Evidence: Expanding Our Confidence in Guidelines for Antiretroviral Resistance Testing
Paul Volberding
この号で,Palellaと同僚らは,医師が実施した耐性試験が遺伝子型か表現型かによる患者生存率を解析して,HIV薬剤耐性試験の有用性を調査した.彼らの報告は教育的で,無作為臨床試験と比較した場合の観察研究の有効性と限界を強調した.彼らの結果はHIV治療における薬剤耐性試験に関する最新のガイドラインを推奨し支持するものであった.
(翻訳:金澤雅人)


健康な心臓のための安全な脂質:人工的なトランス脂肪酸摂取を排除した症例
Safer Fats for Healthier Hearts: The Case for Eliminating Dietary Artificial Trans Fat Intake
Julie Louise Gerberding
本号で,Angellと同僚らは,ニューヨーク市保健精神衛生局のトランス脂肪酸規制プログラムを説明する.成功した介入は,重要政策の疑問を提起する:全ての地域社会の人々において,安全な食事脂肪の潜在的な健康上の利益を保証するために広域連邦政府の尽力を始める時なのであろうか?この問いに答えるため,私たちは健康上の利益に関するエビデンスと,(粗悪な食事脂肪を)国家的に排除する実現性と,連邦政府介入の必要性を評価しなくてはならない.
(翻訳:金澤雅人)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
妊娠中の深部静脈血栓症の予測
Predicting Deep Venous Thrombosis in Pregnancy
(翻訳:大島康雄)
インターネットを用いた喘息のケアにおける支援プログラム
Internet-Based Program to Assist Patients in Asthma Care
(翻訳:新谷英滋)
ACP Journal Club
The Best New Evidence for Patient Care
患者ケアのための最良のエビデンス
論評:悪魔は細部に宿る?個別患者データ(IPD)メタ分析入門.
Editorial: The devil is in the details...or not? A primer on individual patient data meta-analysis
経口抗凝固剤は心房細動を有する高齢者において脳卒中を安全に予防した.
Oral anticoagulant therapy safely prevented stroke in older patients with atrial fibrillation
がん治療におけるワルファリンによる血栓予防は,カテーテル関連血栓症のリスクを減少させなかった.
Warfarin thromboprophylaxis in cancer did not reduce risk for catheter-related thrombosis
レビュー:降圧治療は透析患者における心血管系罹患率と死亡率を低下させる.
Review: Blood pressure-lowering treatments reduce CV morbidity and mortality in patients receiving dialysis
非ST上昇性急性冠症候群において,フォンダパリナックスはエノキサパリンに比べて出血の発生頻度が低下した.
Fondaparinux led to less bleeding than enoxaparin in patients with non-ST-elevation acute coronary syndromes
レビュー:多枝冠動脈疾患において,冠動脈バイパスと経皮的冠動脈インターベンションの長期的死亡率には差がない.
Review: CABG and percutaneous coronary intervention do not differ for long-term mortality in multivessel coronary artery disease
重症冠動脈疾患において経皮的冠動脈インターベンションは冠動脈バイパスほど効果的ではなかった.
Percutaneous coronary intervention was not as effective as CABG for severe coronary artery disease
レビュー:大うつ病に対する12種類の新世代抗うつ剤は,効果と受容性において相違がある.
Review: Differences in efficacy and acceptability exist for 12 new-generation antidepressants for major depression
レビュー:ニコチンガムとバレニクリンは禁煙者の再喫煙を減らすが,行動療法による介入では減らさない.
Review: Nicotine gum and varenicline, but not behavioral interventions, reduce relapse in persons who have stopped smoking
2型糖尿病において,インスリン療法へのメトフォルミンの追加は細小ならびに大血管病変の複合エンドポイントを改善しなかった.
Adding metformin to insulin did not improve a composite of microvascular and macrovascular disease in type 2 diabetes
レビュー:褥創に対して,保護材・減圧マットの種類,あるいは栄養補助剤に関するエビデンスはほとんど存在しない.
Review: Little evidence exists for type of dressing or support surface or for nutritional supplements for pressure ulcers
ステージBのアルコール性肝硬変における全生存率に関して,肝移植の迅速登録は通常治療と差がなかった.
Immediate listing for liver transplantation did not differ from usual care for overall survival in stage B alcoholic cirrhosis
赤身肉と加工肉の大量摂取は死亡率増加と関連していた.
High consumption of red meat and processed meat was associated with increased risk for mortality
用語解説
Glossary
(翻訳:佐藤 顕)

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