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原著(ARTICLE)
妊娠中の深部静脈血栓症の予測:完全に間違っているのか?
Predicting Deep Venous Thrombosis in Pregnancy: Out in "LEFt" Field?
Wee-Shian Chan, MD, MSc; Agnes Lee, MD, MSc; Frederick A. Spencer, MD; Mark Crowther, MD, MSc; Marc Rodger, MD, MSc; Tim Ramsay, MSc, PhD; and Jeffrey S. Ginsberg, MD
21 July 2009 | Volume 151 Issue 2 | Pages 85-92
背景: 臨床医の主観的基準か予測規則に基づく検査前確率の判定は,深部静脈血栓症(DVT)の診断の中心項目である.DVT診断のための検査前確率の判定は妊婦では一度も評価されたことがない.

目的: DVT診断のために臨床医の検査前確率の主観的評価の精度を明らかにし,DVTが疑われた妊婦での検査前確率の判定に使用できる予測因子を特定すること.

研究デザイン: 横断研究は7年間にわたって行われた(2000年3月から2007年4月まで).

セッティング: カナダ国内の5つの大学の系列の地域ケアセンター.

患者: 初めてDVTを疑われた,194名の選別されていない妊婦.

介入: DVTの診断は,診察時,または,連続した画像上にて圧迫法による超音波検査で異常があるときに確定された.主観的評価による検査前確率は,各々の患者に結果を知らされる前に,血栓症の専門家によって記録された.

測定: 主観的な検査前確率の判定の感度,特異性,陰性適中率,および尤度比とそれらに対応する95%CIsはDVTの診断に基づいて計算された.彼らが初診時,または,継続した検査時に圧迫法による超音波検査で診断されるか,フォローアップ時に症候性静脈血栓塞栓症があれば,患者をDVT陽性とした.患者診察時に圧迫法による超音波検査で陰性か,フォローアップ時にも静脈血栓塞栓症がなければ,DVT陰性とした.DVTを評価するための予測規則を導き出し,その予測規則の妥当性を調べるために有効性を確認する予備的研究をした.

結果: DVTの発現は8.8%であった.臨床医の検査前確率の主観的評価は患者を2つのグループに分類した:すなわち,DVTの低い発現率(1.5%[95%CI,0.4%〜5.4%])で検査前確率(2/3の患者)も低く,98.5%の陰性適中率(CI,94.6%〜99.6%)であるグループと,より高い頻度(24.6%,[CI,15.5%〜36.7%])でDVTがある,検査前確率の低くないグループである.3つの因子(左足の症状[L],2cm以上の下腿最大周囲径の差[E],および妊娠初期にあること[Ft])は,妊婦のDVT発症を非常に予測しやすい指標である.

研究の限界: DVT発症はわずかであった.研究期間中に,全体で17例の発症が診断された.引き出された予測規則は,実際の臨床に適用する前に,独立した症例で有効性を確認されるべきである.

結論: 検査前確率の主観的評価は,検査前確率が低いときには,DVTを除外できるように思える.そのうえ,3つの予測因子(「LEFt」)が,妊娠におけるDVTの診断の精度を改善するかもしれない.予測の有効性を確認する研究が必要である.

主たる資金提供源: オンタリオ州心臓脳卒中財団.

(翻訳:小野広一)

English Abstract

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