Journals

(更新日 2009年9月14日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
1 September 2009 Volume 151 Issue 5
(監修:安藤聡一郎,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
心房細動におけるワルファリン抗凝固療法による臨床的実益
The Net Clinical Benefit of Warfarin Anticoagulation in Atrial Fibrillation
Daniel E. Singer, Yuchiao Chang, Margaret C. Fang, Leila H. Borowsky, Niela K. Pomernacki, Natalia Udaltsova, and Alan S. Go
心房細動における抗凝固薬の処方に関するガイドラインは,治療による利益と損失の均衡を図っているべきものである.Singerと同僚らは,ワルファリンの内服例と非内服例合わせて13,359名の成人において,6年間の虚血性脳梗塞率(利益)と頭蓋内出血率(損失)を計算した.治療による実際的な便益は,脳梗塞の既往のある人,年齢が84才以上,脳梗塞の危険性の高いグループの患者で最も高かった.血栓塞栓症と頭蓋内出血の両方の危険性を含んだ危険度評価をすることで,心房細動患者での抗血栓療法についての意思決定を押しすすめることが出来る.
(翻訳:小出優史)
地中海式ダイエットが新規に診断された2型糖尿病患者に対する経口糖尿病治療薬の必要性に及ぼす効果:無作為化試験
Effects of a Mediterranean-Style Diet on the Need for Antihyperglycemic Drug Therapy in Patients With Newly Diagnosed Type 2 Diabetes: A Randomized Trial
Katherine Esposito, Maria Ida Maiorino, Miryam Ciotola, Carmen Di Palo, Paola Scognamiglio, Maurizio Gicchino, Michela Petrizzo, Franco Saccomanno, Flora Beneduce, Antonio Ceriello, and Dario Giugliano
Espositoと同僚らは,新規に2型糖尿病と診断された215人の過体重患者に対して,低炭水化物の地中海式ダイエットと低脂肪のカロリー制限食が経口糖尿病治療薬の必要性に与える効果を比較した.4年後,地中海式ダイエット群の44%および低脂肪ダイエット群の70%が薬物治療を必要とし,地中海式ダイエット群では体重減量効果が大きく,いくつかの血糖コントロール関連指標と冠動脈リスクがより大きく改善していた.
(翻訳:渡邊祐子)
リテールクリニックの地理的分布,所有権,診療費,診療範囲
The Geographic Distribution, Ownership, Prices, and Scope of Practice at Retail Clinics
Rena Rudavsky, Craig Evan Pollack, and Ateev Mehrotra
Rudavskyと共同研究者らは,リテールアウトレットの中に立地する診療所の特徴を記述している.米国のリテールアウトレッと内の982診療所のうちほぼ半分が5つの州にある.その全てが咽喉炎治療を施行し,そして95%以上が皮膚病治療,ワクチン接種,妊娠テスト,脂質や糖尿病スクリーニングを提供していた.ほぼ全てが民間保険とメディケア出来高払いを扱っていた.
(翻訳:土屋直隆)
患者診療の質の改善(Improving Patient Care)
3つの一般的な疾患に対するケアのコストと質のリテールクリニックとその他の医療機関での比較
Comparing Costs and Quality of Care at Retail Clinics With That of Other Medical Settings for 3 Common Illnesses
Ateev Mehrotra, Hangsheng Liu, John L. Adams, Margaret C. Wang, Judith R. Lave, N. Marcus Thygeson, Leif I. Solberg, and Elizabeth A. McGlynn
Mehrotraと同僚らは,中耳炎,咽頭炎,および尿路感染に関して,一般外来,急患センターと救急診療部に比べ,リテールクリニックでは,総合的なコストが実質的に低いことをみいだした. 処方箋コスト,質のスコア,および受けられる予防ケアはリテールクリニック,一般外来,および急患センターで同様だった.
(翻訳:鈴木克典)
医学と臨床(Academia and Clinic)
治療の有効性に関する比較観察研究のための電子カルテに基づくネットワーク
An Electronic Practice-Based Network for Observational Comparative Effectiveness Research
Wilson D. Pace, Maribel Cifuentes, Robert J. Valuck, Elizabeth W. Staton, Elias C. Brandt, and David R. West
The Distributed Ambulatory Research in Therapeutics Networkは,8つの医療機関における,患者にして40万人分,臨床医にして500人分の電子カルテから得られるデータを連合したネットワークである.Paceと同僚らはこの論文のなかで,経口糖尿病治療薬の有効性を比較検討するうえで,このネットワークから得られる大量の情報がどういった知見を与えるかについて述べている.
(翻訳:山本智清)

医療データの全米的なネットワークの構築
Design of a National Distributed Health Data Network
Judith C. Maro, Richard Platt, John H. Holmes, Brian L. Strom, Sean Hennessy, Ross Lazarus, and Jeffrey S. Brown
Paceとその同僚らの論文の関連論文として,ここでは広範な電子カルテのネットワークの構築および潜在的活用法,そしてその有用性について追補的に述べる.このようなネットワークは,治療の有効性の比較や最良の診療の模索,ある医療技術がどれほど普及しているかの検討,および診療の質や医療製品の安全性を補完的に評価すること,などを可能にするかもしれない.
(翻訳:山本智清)

レビュー(Reviews)
系統的レビュー:原発性アルドステロン症における片側性と両側性の副腎病変の鑑別診断の方法について
Systematic Review: Diagnostic Procedures to Differentiate Unilateral From Bilateral Adrenal Abnormality in Primary Aldosteronism
Marlies J.E. Kempers, Jacques W.M. Lenders, Lieke van Outheusden, Gert Jan van der Wilt, Leo J. Schultze Kool, Ad R.M.M. Hermus, and Jaap Deinum
原発性アルドステロン症に対する的確な治療がなされるように,片側性アルドステロン過剰分泌を両側性過剰分泌から鑑別することを目的として,コンピュータ断層撮影法(CT)検査,核磁気共鳴映像法(MRI)検査,および副腎静脈サンプリング(AVS)がおこなわれる.Kempersと同僚らが計950名の患者を対象とした38研究を解析したところ,38%の患者においてAVSでの診断結果がCT検査やMRI検査の結果と一致しないことが明らかになった.それによれば,もしCT検査もしくはMRI検査単独で副腎病変の局在診断がなされた場合には,15%の患者は適応のない副腎摘出術を受けることになり,19%の患者が適切な副腎摘出術を受けられず,また4%の患者が本来ならば摘出すべきではない側の副腎の摘出術がおこなわれた可能性があるという結果であった.
(翻訳:田村功一)
展望(Perspectives)
「すべて」を望む患者とどの治療を優先するかについて議論する
Discussing Treatment Preferences With Patients Who Want "Everything"
Timothy E. Quill, Robert Arnold, and Anthony L. Back
重症の病気と対峙する際に治療には限界があることについて問われた時,患者とその家族はしばしば「すべて」を望むと返答する.臨床医は額面どおりにこの要求にこたえるべきではなく,むしろそのかわりに「すべてをおこなう」とは患者にとってなにを意味するのかについてより広い議論となるようなあしがかりとして,この要望に対するようにすべきだ.Quillと同僚らは,何が医学的に達成可能かという見地から,患者と家族の意向を最も尊重するような治療計画を,患者,家族そして臨床医が展開できるような取り組み方について述べている.
(翻訳:山内高弘)
医療の歴史(History of Medicine)
John F. Kennedyの健康歴における内分泌や自己免疫疾患の見地
Endocrine and Autoimmune Aspects of the Health History of John F. Kennedy
Lee R. Mandel
John F. Kennedyは,選挙中や大統領在任中をとおして,若さと健康の典型として現されていた.しかし,歴代アメリカ大統領の誰よりも,最も複雑な病歴をもっていた.Kennedyのホワイトハウスの医療記録やその他の情報源を合わせた最近のレビューは,彼の健康歴は,自己免疫と内分泌を合わせた疾患に関連して説明できることを示唆している.
(翻訳:川口鎮司)
論評(Editorials)
現行のガイドラインにより心房細動を有する患者でワルファリン抗凝固の過剰投与となるか?
Do Current Guidelines Result in Overuse of Warfarin Anticoagulation in Patients With Atrial Fibrillation?
Robert G. Hart and Jonathan L. Halperin
この号では,Singerと同僚らは,心房細動を有する患者の少なくとも半数,その1/3は中等度の脳卒中のリスクを有していたとみなされるが,そのような患者にとっての用量を調整したワルファリンの正味の臨床的便益について問うている.もし彼らの知見が他の大規模コホート研究により確認されたならば,致死的な脳出血の小さいリスクを考慮した場合,抗凝固療法が推奨されている心房細動の患者が正味の臨床的恩恵を受けやすくなることを担保できるように勧告は修正されるべきだ.
(翻訳:山内高弘)


原発性アルドステロン症−「百聞は一見に如かず」とはいかない
Primary Aldosteronism -One Picture Is Not Worth a Thousand Words
William F. Young Jr.
この号では,Kempersと同僚らは,CTやMRIにおける副腎の形態的特徴が,原発性アルドステロン症患者における,片側性か両側性かのようなアルドステロン過剰の原因を必ずしも正確に同定できるわけではないと報告している.論説委員は,副腎静脈サンプリング(AVS)を成功させることが鍵であると述べており,AVSを行うのがより実用的なアプローチであると提案している.
(翻訳:増田浩三)


研究や診療の質を改善するために臨床データを再利用することについて:始まりの終わり?
Toward Reuse of Clinical Data for Research and Quality Improvement: The End of the Beginning?
Mark G. Weiner and Peter J. Embi
この号では,Paceと同僚らの論文とMaroと共同研究者らの論文を試金石として用いて,論評委員らは,分散した健康データネットワークにおける莫大な量のデータを入手したり,広めたりすることの課題と利益について議論している.
(翻訳:増田浩三)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
心房細動におけるワルファリンの真のメリット
Net Benefit of Warfarin in Atrial Fibrillation
(翻訳:市堰 肇)
地中海式ダイエットの2型糖尿病の治療の必要性におよぼす効果
The Effects of a Mediterranean Diet on the Need for Type 2 Diabetes Treatment
(翻訳:郷間 巌)
クリニックにて(In the Clinic)
膣炎と子宮頚管炎
Vaginitis and Cervicitis
(翻訳:増田浩三)
Annals Home Page

▲このページのTOPへ