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(更新日 2010年5月31日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
18 May 2010 Volume 152 Issue 10
(監修:塩田哲也,総合監修:宇野久光)
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原著(Articles)
限局性前立腺癌に対してアンドロゲン除去療法を受ける男性の骨折予防の費用対効果
Cost-Effectiveness of Fracture Prevention in Men Who Receive Androgen Deprivation Therapy for Localized Prostate Cancer
Kouta Ito, Elena B. Elkin, Monica Girotra, and Michael J. Morris
アンドロゲン除去療法(ADT)は前立腺癌罹患男性の骨折リスクを増加させる.この費用対効果解析において,ADTを受ける70歳以上の男性前立腺癌患者が二重X線吸収測定法によるスクリーニングに引き続いて骨粗鬆症の治療を行うことは,すべてのADT治療患者を治療すること,またはスクリーニングも治療も行わないことのいずれよりも費用対効果に優れていることを,Itoと同僚らは見出した.このモデルはさらに,大腿骨骨折のリスクが非常に高い男性に対しては,スクリーニングなしのルーチンのアレンドロネート使用が正当化されるかもしれないことも示唆している.
(翻訳:小池竜司)
冠動脈疾患における非侵襲的検査の診断精度と臨床的有用性
Diagnostic Accuracy and Clinical Utility of Noninvasive Testing for Coronary Artery Disease
Annick C. Weustink, Nico R. Mollet, Lisan A. Neefjes, W. Bob Meijboom, Tjebbe W. Galema, Carlos A. van Mieghem, Stamatis Kyrzopoulous, Rick Neoh Eu, Koen Nieman, Filippo Cademartiri, Robert-Jan van Geuns, Eric Boersma, Gabriel P. Krestin, and Pim J. de Feyter
冠動脈疾患の診断における冠動脈CTの役割には不明な点が多い.Weustinkと同僚らは負荷試験と冠動脈CTの診断精度を517例の侵襲的冠動脈造影検査を受けた胸痛患者で検討した.冠動脈病変を有する例を識別するに当たり,冠動脈CTは診断前確率が中等度の例で最も有用であった.冠動脈疾患の低リスク例,高リスク例については,全体として冠動脈CTの有用性は低かった.
(翻訳:川名正敏)
冠動脈疾患における死亡率と,線維芽細胞成長因子23,非カルボキシル化マトリックスGla蛋白質との関係:Heart and Soul研究
The Associations of Fibroblast Growth Factor 23 and Uncarboxylated Matrix Gla Protein With Mortality in Coronary Artery Disease:The Heart and Soul Study
Benjamin D. Parker, Leon J. Schurgers, Vincent M. Brandenburg, Robert H. Christenson, Cees Vermeer, Markus Ketteler, Michael G. Shlipak, Mary A. Whooley, and Joachim H. Ix
線維芽細胞成長因子23(FGF23),非カルボキシル化マトリックスGla蛋白質(ucMGP)やfetuin-Aはミネラル代謝の調節因子であり,血管石灰化の阻害物質である.これらの因子は末期腎疾患を有する患者において心血管疾患(CVD)や死亡率と関連している.安定期の冠動脈疾患患者833名を検討した今回の試験で,Parkerと同僚らは,従来の危険因子やC反応性蛋白値,腎機能を調整後,FDF23高値やucMGP低値の患者でCVD発症率や死亡率が高いことを見い出した.これらの関係をより理解することにより,CVDの新治療法を導ける可能性がある.
(翻訳:赤真秀人)
患者診療の質の改善(Improving Patient Care)
個々の医師の医療費特性に与える医師分類の影響
The Effect of Different Attribution Rules on Individual Physician Cost Profiles
Ateev Mehrotra, John L. Adams, J. William Thomas, and Elizabeth A. McGlynn
医療保険は患者にかけた医療費によって医師を分類している.Mehrotraと同僚らはマサチューセッツ州の4つの民間医療保険プランにおいて,個々の医師に医療費を支払うための12の医師分類について検討した.別の分類を使用すれば,17〜61%の医師が初期設定による分類とは異なる医療費区分に分類されたと考えられる.医師分類方法の選択はその医師が分類される医療費区分に実質的な影響を及ぼす可能性がある.医療保険会社は診療費用をもとにしてどのように医師を分類しているのかを情報公開すべきである.また,医師によって発生する医療費を再現性高く算出する方法が求められている.
(翻訳:鈴木 昌)
最新情報(Updates)
血液・腫瘍学における最新情報
Update in Hematology and Oncology
Reed E. Drews and Lawrence N. Shulman
この血液・腫瘍学における最新情報は,臨床と高い関連性を持っていると著者らが判断した,2009年に出版された16編の論文を特集している.血液学の話題には,ダビガトランの投与,深部静脈血栓症患者における抗凝固療法,ワルファリン投与量の見積り,過度の抗凝固療法に対する経口ビタミンK投与,そして赤血球生成促進薬の副作用が含まれる.腫瘍学の話題には,前立腺癌および乳癌のスクリーニング,ホルモン補充療法と乳癌のリスク,癌ゲノム学と標的療法,癌治療の短期的および長期的な心臓への影響,そして癌患者への緩和ケアが含まれる.
(翻訳:松浦喜房)
展望(Perspectives)
ハイチに帰省した医師
A Doctor Heads Home to Haiti
Lionel J. Malebranche
2年目のレジデント医師が,母国であるハイチに,2010年1月12日の地震の直後に戻った.彼は生まれた町であるポルトープランスの荒廃と膨大な人々の苦しみを目の当たりにした.この貧しい国の傷ついた人々に医療を提供する際の,精神面かつ物資面での挑戦について,彼は述べている.
(翻訳:川上寿一)


医療制度改革の確実性と不確実性
The Certitudes and Uncertainties of Health Care Reform
Robert B. Doherty
3月23日にオバマ大統領が署名し成立した2010年医療保険改革法案(The Patient Protection and Affordable Care Act,PPACA)は,政策の専門家と国民に多くの議論をおこしている.Dohertyは,PPACAにより,ほとんどのアメリカ人に手ごろな費用で健康保険が提供され,プライマリ・ケアへの受療を向上し,コストを低下させることについて説明し,法律の多く重要な規定と,それが医師と患者の双方にどう影響するかを述べている.
(翻訳:川上寿一)
NIHカンファレンス(NIH Conferences)
National Institutes of Healthの科学的現状の会議における声明:大腸直腸癌検診受診率と質の向上に関して
National Institutes of Health State-of-the-Science Conference Statement:Enhancing Use and Quality of Colorectal Cancer Screening
Donald Steinwachs, Jennifer Dacey Allen, William Eric Barlow, R. Paul Duncan, Leonard E. Egede, Lawrence S. Friedman, Nancy L. Keating, Paula Kim, Judith R. Lave, Thomas A. LaVeist, Roberta B. Ness, Robert J. Optican, and Beth A. Virnig
毎年,およそ150,000人が大腸直腸癌の診断を受けて,50,000人がその病気で死んでいる.スクリーニング検査は大腸直腸癌の死亡率を減少させるが,多くの適応となる患者はスクリーニング検査を受けていない.そのために,National Cancer Institute(訳注:[米]国立癌研究所)とOffice of Medical Applications of Research of the National Institutes of Health(訳注:[米]国立衛生研究所の研究医学対応局)は,標準リスクの米国住民に対する大腸直腸癌スクリーニング検査の導入や測定,評価方法についての包括的評価をするために科学の現状に関する会議を開催した.この論文では,有用なエビデンスと勧告の委員会評価を掲載している.
(翻訳:金原秀雄)


系統的レビュー:大腸直腸癌検診受診率と質の向上に関して
Systematic Review:Enhancing the Use and Quality of Colorectal Cancer Screening
Debra J. Holden, Daniel E. Jonas, Deborah S. Porterfield, Daniel Reuland, and Russell Harris
本系統的レビューはNational Cancer Institute(訳注:[米]国立癌研究所),Office of Medical Applications of Research of the National Institutes of Health(訳注:[米]国立衛生研究所の研究の医療応用局)に集められたエビデンスを要約するものである.これらの施設は大腸直腸癌検診の適正利用,質に関する最新のカンファレンスを行っている.著者らは,大腸直腸癌検診の過少施行,過剰施行,誤施行や,不十分な臨床検討に関するエビデンスを同時に見出した.いくつかの患者側因子は受診率の低下に独立して関与していた.患者への通知,個別対応,構造的な障壁の撤廃,システム改革などが検診実施率向上に効果的であった.
(翻訳:今村隆明)
論評(Editorials)
ミネラル代謝マーカーと心血管疾患
Markers of Mineral Metabolism and Cardiovascular Disease
Brendan M. Everett
ミネラル代謝の異常は,心血管疾患の発症原因に関与する可能性がある.Everettは,ミネラル代謝の3つのマーカー(FGF23,ucMGPとfetuin-A)と心血管再発イベントリスクや心血管疾患患者の全死亡率との関連性に対する本号でのParkerと同僚らの知見について,論じている.論評では,炎症,脂質蓄積やミネラル代謝間の相互作用を調査する重要性について強調しており,心血管疾患のメカニズムの深い理解や最善の治療方法をもたらす可能性がある.
(翻訳:金原秀雄)
患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
心臓病診断のためのCT検査の意義について
The Role of Computed Tomography for Diagnosing Heart Disease
(翻訳:田村功一)
ACP Journal Club
患者ケアのための最良の新しいエビデンス
ニコチン飴をニコチンパッチに併用するとプラセボより禁煙率が上昇した.
Nicotine patch plus nicotine lozenges increased smoking cessation rate more than placebo
安定した虚血性心疾患においてACE阻害薬には優れた有用性が認められたが,アンギオテンシン受容体拮抗薬では少なかった.
Good evidence supports use of ACE inhibitors in stable ischemic heart disease;little evidence exists for ARBs
経皮的冠動脈インターベンションの実施を予定されている急性冠症候群患者においてチカグレロールはクロピドグレル(プラビックス®)より有用であった.
Ticagrelor was more effective than clopidogrel in acute coronary syndromes with planned invasive treatment
敗血症性ショックに対する副腎皮質ステロイドと強化インスリン療法の併用治療は,通常インスリン療法併用群と比較しても死亡率は減らさなかった.
Intensive insulin therapy did not reduce mortality more than conventional therapy in septic shock treated with corticosteroids
再発寛解型多発性硬化症に対する経口フィンゴリモドはインターフェロン筋注よりも有効であった.
Oral fingolimod was more effective than intramuscular interferon for relapsing-remitting multiple sclerosis
再発寛解型多発性硬化症に対する経口フィンゴリモドはプラセボ比較試験にて有効性を示した.
Oral fingolimod was more effective than placebo for relapsing-remitting multiple sclerosis
再発寛解型多発性硬化症に対する経口クラドリビンはプラセボ比較試験で有効性を示した.
Oral cladribine was more effective than placebo for relapsing-remitting multiple sclerosis
黄色ブドウ球菌の鼻腔内保菌者に対する入院時の鼻孔と皮膚の除菌による院内感染の予防効果.
Decolonization of nostrils and skin of nasal carriers of S. aureus at admission prevented hospital-associated infection
レビュー:造影剤誘発性腎症の予防を目的とした重炭酸ナトリウムの静注効果は不明である.
Review:Evidence on the effectiveness of sodium bicarbonate regimens to prevent contrast-induced nephropathy is unclear
レビュー:下肢の末梢神経障害の診断時における神経伝導速度検査の精度は一定ではない.
Review:Accuracy of monofilament testing for diagnosing peripheral neuropathy of the feet varies
有害な結果関連した2個以上の医療過誤は,2.6%の集中治療室患者に影響を与え,死亡率を増加させる.
2 or more medical errors with adverse consequences, affecting 2.6% of patients, increased mortality in intensive care units
抗TNFα抗体療法は関節リウマチ患者における短中期癌リスクを増加させなかった.
Anti-TNFα therapy did not increase short- or medium-term risk for cancer in patients with rheumatoid arthritis
用語解説
Glossary
(翻訳:中村浩士)

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