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(更新日 2010年3月1日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
16 February 2010 Volume 152 Issue 4
(監修:松浦喜房,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
パイプと葉巻きたばこの喫煙とコチニン濃度,肺機能,気道閉塞との相関:横断的研究
The Association of Pipe and Cigar Use With Cotinine Levels, Lung Function, and Airflow Obstruction: A Cross-sectional Study
Josanna Rodriguez, Rui Jiang, W. Craig Johnson, Barbara A. MacKenzie, Lewis J. Smith, and R. Graham Barr
パイプと葉巻きたばこの喫煙と肺機能との相関についてはあまり調査されていない.紙巻きたばこではなく,パイプもしくは葉巻きたばこの喫煙者は非喫煙者と比較して気道閉塞を来しやすいことが大規模研究により証明された(オッズ比 2.31[95%CI,1.04〜5.11]).パイプと葉巻きの喫煙は尿中コチニン濃度を上昇させ,閉塞型肺疾患に合致した肺機能低下と相関した.医師はパイプと葉巻き喫煙も,紙巻きたばこ喫煙歴にかかわらず中止を勧めるべきである.
(翻訳:中村浩士)
エストロゲン・プロゲスチン併用療法を受ける閉経後患者の冠動脈疾患:危険性の増大はもうなくなった?:無作為化試験
Coronary Heart Disease in Postmenopausal Recipients of Estrogen Plus Progestin Therapy: Does the Increased Risk Ever Disappear?: A Randomized Trial
Sengwee Toh, Sonia Hernández-Díaz, Roger Logan, Jacques E. Rossouw, and Miguel A. Hernán
ホルモン補充療法を受けている閉経後の女性の中には,冠動脈疾患の危険性の増加しているものもいる.Women's Health Initiative(訳注:女性の健康イニシアチブ)からのデータで,エストロゲン・プロゲスチン療法の時期と期間が冠動脈疾患の危険性に影響を与えるかを検討した.筆者らは,ホルモン剤使用により最初の数年間はリスク増大の可能性があるが,閉経後の年月によって限定された女性のサブグループにおいては有意差がなかったと報告している.閉経後10年以内の女性は,治療開始後およそ6年目以降であるが,心保護効果が認められた.閉経後症状の一時的寛解を求めてホルモン補充療法を考慮している女性のほとんどは,冠動脈疾患からの保護効果を期待すべきではない.
(翻訳:小出優史)
表在静脈血栓症と静脈血栓塞栓症:大規模,前向き疫学試験
Superficial Venous Thrombosis and Venous Thromboembolism: A Large, Prospective Epidemiologic Study
Hervé Decousus, Isabelle Quéré, Emilie Presles, François Becker, Marie-Thérèse Barrellier, Myriam Chanut, Jean-Luc Gillet, Hervé Guenneguez, Christine Leandri, Patrick Mismetti, Olivier Pichot, Alain Leizorovicz, and for the POST (Prospective Observational Superficial Thrombophlebitis) Study Group
Decoususと同僚らはフランスにおいて静脈の専門家により診断された表在静脈血栓症を有する844人の患者において静脈血栓塞栓症の発現と頻度を評価した.およそ25%の患者は症例組み入れ時に深部静脈血栓症を有し,およそ10%はそれから3か月以内に血栓塞栓の合併に進展した.表在静脈血栓症は一般に信じられているほど良性ではないのかもしれない,そしてより臨床的に重大な血栓塞栓のリスクの指標であるかもしれない.
(翻訳:山内高弘)
患者診療の質の改善(Improving Patient Care)
診療の質評価基準に対する医学的例外判断が不適切な頻度
Frequency of Inappropriate Medical Exceptions to Quality Measures
Stephen D. Persell, Nancy C. Dolan, Elisha M. Friesema, Jason A. Thompson, Darren Kaiser, and David W. Baker
一部の電子カルテは,医師が入力した指示が質的ガイドラインに合致するか否かをチェックし,ガイドラインと不一致がある場合はそれを医師に知らせ,臨床的状況がガイドラインの例外である場合医師が確認するようになっている.16種類の慢性疾患および予防・スクリーニングに関するガイドラインの質評価基準に対し医師が例外と判断した650件の状況について同僚医師からなる審査委員会が評価を行った:例外判断のうち94%が適切と評価され,3%が不適切,3%が適切性不明確と評価された.
(翻訳:紺谷 真)
レビュー(Reviews)
ナラティブ・レビュー:重症喘息とその表現型への治療におけるTh2免疫経路調節の役割
Narrative Review: The Role of Th2 Immune Pathway Modulation in the Treatment of Severe Asthma and Its Phenotypes
Stewart J. Levine andSally E. Wenzel
標準的な治療に難渋する重症喘息患者に,新しい治療的アプローチが必要である.遺伝学的およびトランスレーション研究と臨床試験は,重症喘息の病理生物学が,T-ヘルパー2(Th2)型CD4陽性T細胞によって動かされる免疫経路によって仲介されることを示唆している.Th2免疫経路の生物学的製剤は,標準的な治療では十分なコントロールがつかない場合,重症喘息に対して,加えることができる新しい治療の発展のための合理的なアプローチである.しかしながら,将来的には臨床研究によって,Th2免疫経路の生物学的製剤の効果と安全性を明らかに確立する必要がある.
(翻訳:井田弘明)
系統的レビュー:乳腺の診断における,針生検と切開生検の有用性の比較検討
Systematic Review: Comparative Effectiveness of Core-Needle and Open Surgical Biopsy to Diagnose Breast Lesions
Wendy Bruening, Joann Fontanarosa, Kelley Tipton, Jonathan R. Treadwell, Jason Launders, and Karen Schoelles
Brueningと同僚らは,触診可能なあるいは触診不能な病変を乳房にもった女性の癌の診断において,針生検を用いる場合および切開して行う場合の正確性と害について比較検討した.多くの研究において,ステレオガイド下,または超音波ガイド下の針生検は,切開による生検とほぼ同じくらい正確であり,合併症のリスクが低いと報告されていた.また,針生検により癌と診断された女性は,切開による生検によって診断された女性よりも,より一期的手術が行われる頻度が高かった.
(翻訳:加藤 健)
メタ解析:プライマリ・ケア医と専門医間の双方向的コミュニケーションの効果
Meta-analysis: Effect of Interactive Communication Between Collaborating Primary Care Physicians and Specialists
Robbie Foy, Susanne Hempel, Lisa Rubenstein, Marika Suttorp, Michelle Seelig, Roberta Shanman, and Paul G. Shekelle
23の研究について行われたこのメタ解析は,プライマリ・ケア医と精神科医または内分泌医との双方向的なコミュニケーションによって,患者の精神状態や糖尿病に関連したアウトカムが改善することを明らかにした.実際の連携内容は,直接面談によるコンサルテーション,プライマリ・ケア診療チームへの専門医の参加,定期的な電話によるディスカッション,そして電子カルテの共有などであった.筆者は,双方の間で交わされる情報の質を向上させること,および連携の重要性を再認識できるような連携モデルの創設を呼びかけている.
(翻訳:山本智清)
論評(Editorials)
あらゆる名前の喫煙はやはり致死的である
Tobacco Smoke by Any Other Name Is Still as Deadly
Michael B. Steinberg andCristine D. Delnevo
この号では,Rodriguezと同僚らが,喫煙は,紙巻タバコ,パイプ,または葉巻のいずれであっても,最も依存度の高い化学物質のひとつとして知られているニコチンの吸収をもたらし,測定可能な傷害を引き起こすことを示している.あらゆるタバコ製品が引き起こす真の傷害と,より大きな公衆衛生上の戦いにおいてタバコ製品が果たしている役割について,喫煙者および医療従事者のどちらも十分に理解する必要がある.
(翻訳:小池竜司)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
パイプおよび葉巻の喫煙が肺機能に及ぼす影響
Pipe and Cigar Smoking and Lung Function
(翻訳:渡邊祐子)
エストロゲンとプロゲスチンによる併用療法の冠動脈疾患に与える影響について
The Effect of Estrogen Plus Progestin on Coronary Heart Disease
(翻訳:田村功一)
浅い下肢静脈血栓と深い下肢静脈血栓の関係についての観察研究
Observations of the Relationship Between Surface and Deep Leg Blood Vein Clotting
(翻訳:川上寿一)
ACP Journal Club
患者ケアのための最良の新しいエビデンス
レビュー:心停止後の低体温療法は,神経学的アウトカムと生存退院率を改善させる.
Review: Therapeutic hypothermia improves neurologic outcome and survival to discharge after cardiac arrest
レビュー:心血管イベントに対して早期に亜硝酸薬ないしACE阻害薬で治療することは,短期死亡を減少させる.
Review: Early treatment of a cardiovascular event with nitrates or ACE inhibitors reduces short-term mortality
高二酸化炭素血症患者において,気管チューブ抜管後の非侵襲的人工換気は,呼吸不全と90日以内の死亡を減少させた.
Noninvasive ventilation after extubation reduced respiratory failure and 90-day mortality in hypercapnic patients
より強化した持続腎機能補助療法は,腎障害を有する重症患者の死亡を減少させなかった.
Higher-intensity continuous renal-replacement therapy did not reduce mortality in critically ill patients with kidney injury
内科的治療に血管再疎通治療を追加することは,粥状硬化性腎動脈狭窄症の腎機能を改善させなかった.
Adding revascularization to medical therapy did not improve renal function in atherosclerotic renal artery stenosis
レビュー:39歳から69歳の女性において,乳房撮影によるスクリーニングは乳癌による死亡を減少させる.
Review: In women 39 to 69 years of age, screening with mammography reduces breast cancer mortality
エストロゲンとプロゲスチンの併用は閉経女性において肺癌による死亡を増加させたが,発生率は増加させなかった.
Estrogen plus progestin increased lung cancer mortality but not incidence in postmenopausal women
頚椎カラーまたは理学療法は,頚椎脊髄根症の疼痛が早期に緩和されることにおいて,経過観察よりは勝っていた.
A cervical collar or physiotherapy was better than a wait-and-see policy for early pain relief in cervical radiculopathy
レビュー:ベル麻痺においてステロイド薬に抗ウイルス薬を追加することは,顔面筋の回復を改善させなかった.
Review: Adding antiviral drugs to steroids did not improve facial muscle recovery in Bell palsy
レビュー:ノイラミニダーゼ阻害薬は,健康成人患者のインフルエンザ症状を緩和し,検査で確定されるインフルエンザを減少させる.
Review: Neuraminidase inhibitors relieve influenza symptoms and reduce laboratory-confirmed influenza in healthy adults
コレステロールまたはアポリポプロテイン濃度は心血管疾患のリスク評価に利用できるが,トリグリセリドは有用ではない.
Either cholesterol or apolipoprotein levels can be used to determine risk for CVD; triglycerides are not useful
高齢者において,ピオグリタゾンは有害な心血管イベントのリスクとの相関が,ロシグリタゾンよりも低かった.
Pioglitazone was associated with lower risk for adverse cardiovascular events than rosiglitazone in older patients
用語解説
Glossary
(翻訳:小池竜司)

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