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原著(ARTICLE)
大学運動選手の心血管スクリーニングにおける心電図の意義:横断研究
Cardiovascular Screening in College Athletes With and Without Electrocardiography: A Cross-sectional Study
Aaron L. Baggish, Adolph M. Hutter, Jr., Francis Wang, Kibar Yared, Rory B. Weiner, Eli Kupperman, Michael H. Picard, and Malissa J. Wood
2 March 2010 | Volume 152 Issue 5 | Pages 269-275
背景: 競技スポーツに参加する前には心血管スクリーニングを行うことが推奨されているが,12誘導心電図(ECG)の役割は明らかではない.現在までにECGの有無により心血管スクリーニングを比較した前向き研究結果は報告されていない.

目的: 競技スポーツ参加前の心血管スクリーニングの際に,病歴と身体診察だけにした場合とこれにECGを加えた場合のパフォーマンスの違いを比較すること.

デザイン: スクリーニング方法の違いによる比較横断研究

セッティング: University Health Services,Harvard University,Cambridge,Massachusetts(訳注:ハーバード大学保健学科,ケンブリッジ,マサチューセッツ州)

対象: 競技スポーツ参加前に心血管スクリーニングを受けた510名の大学運動選手.

測定: それぞれの対象者は通常の病歴聴取と診察だけのスクリーニングとECG検査を受けた.彼らはさらに競技スポーツ参加に支障となるような心臓の異常を除外する目的で経胸壁心臓超音波検査(TTE)を受けた.病歴聴取と診察のみによるスクリーニングとこれにECGを加えたスクリーニングのパフォーマンスを比較した.

結果: TTE検査により,510名の参加者のうち11名で競技スポーツ参加に支障となる心臓の異常が認められた(有病率:2.2%).病歴と診察だけによるスクリーニングによりこの異常が検出できたのは11名中5名であった(感度45.5%[95%CI,16.8%〜76.2%];特異度,94.4%[CI,92.0%〜96.2%]).ECGを加えることで,さらに5名の参加者で心臓の異常を検出でき(全体として11名中10名),これによりスクリーニング全体の感度は90.9%(CI,58.7%〜99.8%)に向上した.しかしながら,ECGを加えることにより特異度が82.7%(CI,79.1%〜86.0%)に低下して,偽陽性率が16.9%(病歴と診察のみの場合は5.5%)と増加した.

研究の限界: ECGを加えることにより,突然死予測にどれだけ効果があるかについての明確な結論は得られなかった.

結論: 病歴と身体診察にECGを加えると,競技スポーツ参加前の運動選手に対する心血管病スクリーニングの感度を上昇させることができる.しかしながら,現在のECG診断基準を用いると,この方法は偽陽性率を上昇させる.

主たる資金提供源: なし

(翻訳:川名正敏)

English Abstract

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