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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
若年運動選手がスポーツへ参加する前に行う様々な評価法の費用対効果
Cost-Effectiveness of Different Types of Evaluations Before Sports Participation in Young Athletes
2 March 2010 | Volume 152 Issue 5 | Pages I-40
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
米国では,スポーツ競技に参加している若年者の突然死が低頻度ながら発生しています.それまでに診断されていなかった心臓病がこれらの死亡の最大の原因です.大きな医療機関では,若年運動選手は団体スポーツに参加する前に心臓病の評価を受けるように推奨しています.しかしながら,どのような方法で若年運動選手を評価すればよいのかについてはさまざまな勧告があります.American College of Cardiology(訳注:米国心臓病学会)およびAmerican Heart Association(訳注:米国心臓協会)では,病歴と身体診察を行い,病歴あるいは診察で異常があればさらなる検査を行うことを推奨しています.European Society of Cardiology(訳注:欧州心臓病学会)やInternational Olympic Committee(訳注:国際オリンピック委員会)では心電図(ECG)を含めることを推奨しています.この検査は心臓における電気的刺激を記録するもので,心臓のリズム異常やほかの心臓の病気についての情報が得られます.

この研究の目的は何ですか?
若年運動選手に対して行う病歴と身体診察に心電図を加えることで,余命を1人あたり1年間延ばすのに必要な費用がいくらかを調べることです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
研究者らは実際の患者での研究は行いませんでした.そのかわりに,病歴と身体診察だけでスポーツへの参加前の評価を行う場合と,それらに心電図を加えて評価を行う場合において,14歳から22歳の運動競技選手に何が起こるかを見積もるコンピューターシミュレーションを開発しました.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者らはそのコンピューターモデルにもとづいて,どのくらいの心臓病症例が病歴と身体診察のみで,あるいはそれらに心電図を追加して発見されるか,そして心臓病を有する運動選手がスポーツを避けることによって,どのくらいの突然死症例を防ぐことができるのかについて,過去の研究から見積もりを行いました.研究者らはまた,検査や心臓病の治療にかかる費用にも目を向けて,心電図を追加することで余命を1人あたり1年間延ばすのにかかる費用も計算しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
病歴と身体診察のみでのスクリーニングと比べて,心電図を追加することは,延ばすことのできた余命1人1年あたり42,900ドルが追加でかかることとなります.この額は米国社会では一般的に医療的介入にためらうことなく支払われる範囲内です.

この研究にはどのような限界がありますか?
コンピューターシミュレーションでは現実世界で起こることを確実に示すことはできません.このモデルで使われた情報の多くは欧州での一つの研究に由来していますが,心臓病の種類は地域によってさまざまです.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
若年運動選手の病歴と身体診察に心電図を加えるための費用は,米国社会では一般的に医療的検査あるいは治療のためにためらうことなく支払われる額の範囲内でしょう.

(翻訳:増田浩三)

English Abstract

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