Journals

患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
脚長の左右差と変形性膝関節症
Unequal Leg Length and Knee Osteoarthritis
2 March 2010 | Volume 152 Issue 5 | Pages I-46
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
変形性関節症は,疼痛または障害に至る関節の変化として普通にみられる状態です.変形性関節症の原因は不明ですが,膝は冒されやすい部位です.変形性関節症でいつ,どうして疼痛がひどくなるのかについてより良く知ることは,我々にとってより良い治療を発展させる助けとなるでしょう.これまでの研究では,脚の長さに左右差のある人は左右差のない人よりも変形性膝関節症を発症しやすいことが示されています.しかしながら,これらの研究では,時間の経過により関節炎にどういう影響があるかを解明できるような研究デザインになっておりませんでした.

この研究の目的は何ですか?
変形性膝関節症がある場合や時間の経過に伴い変形性膝関節症が悪化する場合,時間の経過に伴い新しい変形性膝関節症が発達する場合のそれぞれで,脚長の左右差が関連しているかどうかを知るためです.研究者たちは,変形性関節症のリスクについて,脚長が短ければ短いほど高くなるのか,あるいは長ければ長いほど高くなるのかも知りたがっていました.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
50歳から79歳までの症例3,026名です.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者たちは,脚の全長のX線写真を用いて,全ての対象者の脚長を測定しました.研究者たちは,その後その写真を用いて,おのおのの患者さんで変形性膝関節症の所見がみられるかを評価し,研究の開始時と30か月以上後に変形性関節症の症状がみられるかを評価しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
研究の開始時において,脚長が少なくとも1cm左右差のある人では,脚長がほぼ等しい人に比べて変形性関節症の症状があり,画像上も変形性関節症の所見がみられました.研究の開始時には全く変形性関節症の症状がなかった患者さんでも,少なくとも1cmの脚長の左右差があると,30か月以上後には変形性関節症を発症する傾向がみられました.短い場合も長い場合もともに,関節炎のリスクが高いことがわかりました.研究の開始時から変形性関節症のあった人では,脚長の左右差のない人よりも脚長の左右差のある人の方が30か月以上後に変形性関節症が悪化している傾向がみられました.

この研究にはどのような限界がありますか?
この研究は,30か月しか行われていません.また,臨床的に脚長を実測するよりも正確であるとはいいながら,X線写真を用いた測定でも測定誤差の問題は回避できておりません.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
脚長の左右差は,変形性膝関節症に関連しています.今後は,靴の中敷きあるいはその他の手段で脚長を補正することで,変形性膝関節症を減らすことができるか否かに関する研究が必要です.

(翻訳:西岡亮治)

English Abstract

▲このページのTOPへ