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レビュー(Review)
ナラティブ・レビュー:血小板増多症,真性多血症,そしてJAK2遺伝子変異:慢性骨髄増殖性疾患の表現型の相同性
Narrative Review: Thrombocytosis, Polycythemia Vera, and JAK2 Mutations: The Phenotypic Mimicry of Chronic Myeloproliferation
Jerry L. Spivak
2 March 2010 | Volume 152 Issue 5 | Pages 300-306
 骨髄増殖性疾患である真性多血症,本態性血小板増加症,原発性骨髄線維症は,多能性造血幹細胞から生じたクローン性疾患であり,異常幹細胞の産物である赤血球・白血球・血小板それぞれの,あるいは複数の無秩序な増加が起こり,動脈・静脈の血栓傾向,骨髄線維症,脾腫,急性白血病への進展などを,広く様々な頻度でひき起こす.JAK2(Janus kinase 2)遺伝子はエリスロポエチン,トロンボポエチン,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)それぞれの血液細胞受容体で用いられているチロシンキナーゼである.JAK2の活性化型変異(V617F)がこれらの3疾患の共通の臨床的特徴を説明しえる.恒常的なJAK2の活性化が遺伝子異常を有するクローンの血液細胞に増殖・生存の優位性をもたらす.変異型キナーゼは正常細胞のシグナル伝達経路を用いるため,結果として正常形態の血液細胞が増加するが,進行は緩徐であり,(本態性血小板増多症においては)生命予後には影響しない.エリスロポエチン,トロンボポエチン,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)それぞれの血液細胞受容体は恒常的に活性化されていることから,真性多血症はJAK2遺伝子のV617F変異の究極の臨床表現型を呈している可能性があり,当然の帰結として,3疾患のうち最も日常的に遭遇する.JAK2 V617F変異を発現している細胞数(遺伝子座の定量化)は臨床表現型と相関しているようである.変異キナーゼ活性の阻害剤の臨床試験の先行研究結果によれば,脾腫の縮小と夜間盗汗,疲労感,掻痒感などの自覚症状の改善が観察されている.

(翻訳:湯地晃一郎)

English Abstract

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