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レビュー(Review)
系統的レビュー:ビタミンDとカルシウム補充の心血管イベントの予防効果
Systematic Review: Vitamin D and Calcium Supplementation in Prevention of Cardiovascular Events
Lu Wang, JoAnn E. Manson, Yiqing Song, and Howard D. Sesso
2 March 2010 | Volume 152 Issue 5 | Pages 315-323
背景: ビタミンDとカルシウムは独自に且つ相互的に心血管系に影響を与える可能性がある.

目的: ビタミンDサプリメント並びにカルシウムサプリメントが成人における心血管イベントのリスクを低減するかどうかを評価すること.

情報源: 1966年から2009年7月までにMEDLINE,EMBASE(訳注:Elsevier Science社が作成する医学・薬学文献データベース),Cochrane Central Register of Controlled Trials(訳注:英国の Cochrane Collaborationが医療情報を収集,提供しており,Cochrane Central Register of Controlled Trialsは,適切にデザインされた臨床試験についての文献を集積したものである)において英語で出版された研究.

研究の選択: 2名の研究者が独自に,ビタミンDの補充,カルシウムの補充,または両者の補充とその後の心血管イベントについて調査した17の前向き研究と無作為化試験を選択した.

データ抽出: 3名の研究者が研究デザイン,対象者,暴露または介入,アウトカム,データの質に関して抽出し,チェックを行った.

データ合成: 透析中の患者に関する5つの前向き研究および一般住民に関する1つの研究では,ビタミンDサプリメントの投与を受ける成人において心血管疾患(CVD)死亡率は一貫して低減していた.元来健常者における4つの前向き研究では,カルシウムサプリメントの投与を受けた者と受けていない者とでCVDの頻度に差はみられなかった.8つの無作為化試験における二次解析の結果では,中等量〜高用量(約1000 IU/d)のビタミンDの補充でプラセボと比較してCVDリスクの僅かな低減を認めたが,統計的に有意差はみられなかった(統合相対リスク,0.90(95%CI,0.77〜1.05).カルシウムの補充(統合相対リスク,1.14(CI,0.92〜1.41),またはビタミンDとカルシウムの両者の補充(統合相対リスク,1.04(95%CI,0.92〜1.18)ではCVDリスクの低減はみられなかった.

研究の限界: 心血管イベントのアウトカムについて報告した英文論文のみが算入された.研究の数が少数であること,心血管系のアウトカムに関する一次効果を評価するために特化してデザインされた研究が欠如していること,そして,重要な研究間の異種性などが明確な結論を引き出す妨げとなった.

結論: 限られたデータからのエビデンスでは中等量〜高用量のビタミンDサプリメントはCVDリスクを低減する可能性があることが示唆されるのに対し,カルシウムサプリメントの心血管への効果は最小限に止まる様である.これらのサプリメントのCVD予防における役割の解明にはさらなる研究が必要である.

主たる資金提供源: The American Heart Association,(訳注:米国心臓協会),National Heart,Lung,and Blood Institute(訳注:米国立心肺血液研究所)

(翻訳:高田 徹)

English Abstract

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