Journals

(更新日 2010年3月29日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
16 March 2010 Volume 152 Issue 6
(監修:石塚尋朗,総合監修:吉田直之)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
クロピドグレルとプロトンポンプ阻害薬の併用によるアウトカム:コホート研究
Outcomes With Concurrent Use of Clopidogrel and Proton-Pump Inhibitors: A Cohort Study
Wayne A. Ray, Katherine T. Murray, Marie R. Griffin, Cecilia P. Chung, Walter E. Smalley, Kathi Hall, James R. Daugherty, Lisa A. Kaltenbach, and C. Michael Stein
プロトンポンプ阻害薬(PPI)とクロピドグレル(プラビックス®)はしばしば同時に処方されるが,併用による利益と害は明らかではない.Rayと同僚らは,大規模観察研究において,冠動脈疾患をもつ患者に対するPPIとクロピドグレルの併用は胃十二指腸出血による入院の減少と関連していることを明らかにした(ハザード比,0.50[95%CI,0.39〜0.65]).信頼区間の上限は臨床的に重要なリスク増加の可能性を含むものであったが,重篤な心血管疾患イベントの明らかなリスク上昇を認めなかった(ハザード比,0.99[CI,0.82〜1.19]).
(翻訳:渡邊清高)
2型糖尿病患者の血糖コントロールに対するサルサラートの効果:無作為化試験
The Effects of Salsalate on Glycemic Control in Patients With Type 2 Diabetes: A Randomized Trial
Allison B. Goldfine, Vivian Fonseca, Kathleen A. Jablonski, Laura Pyle,Myrlene A. Staten, Steven E. Shoelson, and for the TINSAL-T2D (Targeting Inflammation Using Salsalate in Type 2 Diabetes) Study Team
小規模の研究でサルサラートは血糖値を低下させることが示されてきた.Goldfineと同僚らは,無作為に2型糖尿病患者を3つの用量に設定したサルサラート群のうちの1つかプラセボ群に割りつけた.サルサラートはHbA1c値を低下させ,代謝および冠血管リスクの測定値を改善し,尿中アルブミン値を増加させた.副作用は軽微なものであり,用量によって効果が異なるようにはみえなかった.2型糖尿病患者におけるサルサラートの長期間の安全性,とくにその腎機能に対する影響については更なる研究が必要である.
(翻訳:澤木秀明)
生体腎提供への金銭支払い統制:倫理上の問題を実証的に評価する
Regulated Payments for Living Kidney Donation: An Empirical Assessment of the Ethical Concerns
Scott D. Halpern, Amelie Raz, Rachel Kohn, Michael Rey, David A. Asch, and Peter Reese
臓器提供者に金銭を支払うと腎提供を促進するということもあり得るが,非倫理的な腎提供を誘導しかねない.人々は腎提供のリスクをきちんと理解しないかもしれず,経済的に恵まれない人が腎提供への圧力を感じるかもしれず,金銭を授受することが本来の利他的な腎提供を思いとどまらせるかもしれない.Halpernと同僚らは,フィラデルフィア地域の公共交通機関を利用する人々に対して有償もしくは無償の腎提供についての意識調査を行った.その結果から金銭支払いは必ずしも腎提供を促すものではなく,ただ他人を助けるために腎提供をしたいと思う意志を変更するものではないことが分かった.
(翻訳:菅野義彦)
患者診療の質の改善(Improving Patient Care)
医療のプロフェッショナリズムの観点からみた医療の質に応じた診療報酬システム
Pay for Performance Through the Lens of Medical Professionalism
Amir Qaseem, Vincenza Snow, Alice Gosfield, David Gregg, Keith Michl, David Wennberg, Kevin B. Weiss, and Eric C. Schneider
医療の質に応じた診療報酬システム(P4P)は,米国のヘルスケアシステムにおけるケアの質を改善するために提案されてきた.P4Pにおいては,医師の診療報酬の一部は系統的なパフォーマンス指標によって評価されるケアの質に応じて支払われる.多くの識者は,P4Pは医療のプロフェッショナリズムと相反するのではとの見方をしている.Qaseemと同僚らは,P4Pと医療のプロフェッショナリズムとの間で起こりうる対立を検証し,適切にデザインされたP4Pモデルはプロフェッショナルな目的を支持することができると結論している.
(翻訳:土屋直隆)
レビュー(Reviews)
メタ解析:経皮的冠動脈インターベンションと薬物療法の狭心症軽減に対する効果比較
Meta-analysis: Effects of Percutaneous Coronary Intervention Versus Medical Therapy on Angina Relief
Harindra C. Wijeysundera, Brahmajee K. Nallamothu, Harlan M. Krumholz, Jack V. Tu, and Dennis T. Ko
冠動脈疾患を有する患者における経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と薬物療法を比較した狭心症軽減についてのメタ解析で,1年から7年の研究期間を有する14個の無作為化試験を統合したデータによると,薬物療法単独よりもPCI施行後の方で,狭心症が消失する患者数が多いことが示された.しかし,この所見の内訳は単一ではない.強化薬物療法を行ったより最近の研究は,以前の研究と比べると薬剤による治療で狭心症が消失する患者が多くなり,PCIでの薬物療法を上回る利益増加は,ほとんどないか全くないことを示していた.薬剤溶出ステントをテストした試験はほとんどなく,薬剤投与量や長期にわたるアドヒアランスに関するデータは不明であった.
(翻訳:白山武司)
メタ解析:高齢女性および男性における大腿骨近位部骨折後の超過死亡率
Meta-analysis: Excess Mortality After Hip Fracture Among Older Women and Men
Patrick Haentjens, Jay Magaziner, Cathleen S. Colón-Emeric, Dirk Vanderschueren, Koen Milisen, Brigitte Velkeniers, and Steven Boonen
大腿骨近位部骨折後の死亡リスクの上昇はよく立証されているが,この超過死亡率が長期間持続するかは不明瞭である.このレビューおよびモデル化研究では,大腿骨近位部骨折後最初の3か月で5〜8倍の死亡率増加が示された.超過死亡率リスクは最初の2年間は減少するが,10年間経過しても年齢をマッチさせたコントロール群の死亡率までには減少しなかった.この超過リスクは年齢とともに増加し,いかなる年齢においても女性より男性で高かった.
(翻訳:加藤哲朗)
展望(Perspectives)
高級専門医療:1人の“普通の”医師の視点
Concierge Medicine: A "Regular" Physician's Perspective
Michael Stillman
(年会費制の)高級専門医療は,広範な医療を利用する機会と患者個人を大切にした気遣いを前面に打ち出している.これに対して一部の人々は,高級専門医療を提供する医師が二重構造を創り出す点,および受診機会に関連する問題に悪影響を及ぼす点についての懸念を表明してきた.本稿では,患者の傍でより良い医療を行うために医師としての我々に欠けているものを高級専門医療がどのように映し出すかについて論じる.
(翻訳:大島康雄)
論評(Editorials)
多様なレベルのデータに対する傾向スコアを用いた共変量調整法は選択バイアスを減ずることができる
Propensity Score Adjustment With Multilevel Data: Setting Your Sites on Decreasing Selection Bias
Michael E. Griswold, A. Russell Localio, and Cynthia Mulrow
治療法を決定する場合,治療の有益性と害を評価するために,しばしば大規模な多施設の観察研究が利用される.この号でのRayと同僚らの研究からデータを利用し,論説者らはこのような研究には付きものの選択バイアスを減ずることを助ける傾向スコアを用いた共変量調整法の技術について討論する.
(翻訳:浦野哲哉)


生命倫理学における実証的方法:訓話
Empirical Methods in Bioethics: A Cautionary Tale
Clarence H. Braddock III and David Magnus
この号で,生体腎提供を促進するものとして報酬を支払うということに関する考え方についてのHalpernと同僚らの革新的研究は我々を倫理的ジレンマに直面させている.論説者らは規範的倫理と公の秩序を考慮しながら実証的研究について討論し,慎重にこのような研究を続けなければいけないことを強調する.
(翻訳:浦野哲哉)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
2型糖尿病患者さんの血糖コントロールに対するサルサラートの効果
The Effects of Salsalate on Blood Sugar Control in People With Type 2 Diabetes
(翻訳:金澤雅人)
生体腎提供ドナーへの報酬の倫理
The Ethics of Offering Payment to Living People Who Donate a Kidney
(翻訳:新谷英滋)
ACP Journal Club
患者ケアのための最良の新しいエビデンス
医療従事者におけるインフルエンザ予防において,サージカルマスクはN95マスクに劣らなかった.
Surgical masks were noninferior to N95 respirators for preventing influenza in health care providers
レビュー:ノイラミニダーゼ阻害薬による長期化学予防は症候性インフルエンザを予防する.
Review: Extended-duration chemoprophylaxis with neuraminidase inhibitors prevents symptomatic influenza
レビュー:タモキシフェン(ノルバデックス®),ラロキシフェン(エビスタ®),チボロンは原発性浸潤性乳癌を予防するが,副作用のリスクは上昇する.
Review: Tamoxifen, raloxifene, and tibolone prevent primary invasive breast cancer but increase risk for adverse outcomes
レビュー:長時間作用型β2刺激薬に吸入ステロイドを追加しても,安定期COPDのアウトカムは改善しない.
Review: Addition of inhaled corticosteroids to long-acting β2-agonists does not improve outcomes in stable COPD
神経性疼痛の緩和において,ガバペンチン(ガパペン®)とノルトリプチリン(ノリトレン®)の併用は,それぞれを単独投与するよりも有効であった.
Gabapentin and nortriptyline combined was better than either drug alone for relief of neuropathic pain
人工呼吸管理を受けている成人において,必要時に胸部単純X線写真をオーダーすることで,その撮影回数が減少した.
On-demand ordering of chest radiographs reduced the number of chest radiographs in mechanically ventilated adults
静脈注射薬を投与しないことでの,院外心肺停止患者における生存退院率の改善はみられなかった.
Withholding intravenous drugs did not improve survival to hospital discharge in out-of-hospital cardiac arrest
ダルベポエチン(ネスプ®)は,慢性腎臓病,糖尿病,貧血の患者において,輸血と疲労感を減少させるものの,副作用は増加した.
Darbepoetin decreased transfusions and fatigue, but increased adverse effects in patients with chronic kidney disease, diabetes, and anemia
短期間の精神社会行動学的な介入は,通常のケアと比較して脳卒中後のうつ状態を減少させた.
A brief psychosocial-behavioral intervention reduced depression after stroke more than usual care
女性における術後静脈血栓塞栓症のリスクは,12週間にわたり上昇し,手術の種類によって異なっていた.
Risk for postoperative venous thromboembolism in women was increased for 12 weeks and varied by type of surgery
レビュー:術前における脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)レベルは,非心臓手術後の心血管系有害事象の独立した予測因子である.
Review: Preoperative brain natriuretic peptide level is an independent predictor of adverse cardiovascular events after noncardiac surgery
高齢女性における10年間の骨折リスクは,単純なモデルを用いても複雑なFRAXモデルと同程度の正確さで予測可能であった.
Simple models predicted 10-year fracture risk in older women as accurately as more complex FRAX models
用語解説
Glossary
(翻訳:泉谷昌志)

Annals Home Page

▲このページのTOPへ