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(更新日 2010年5月6日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
20 April 2010 Volume 152 Issue 8
(監修:小野広一,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
ナトリウム摂取と心血管疾患の負担を減らすための集団治療戦略:費用対効果分析
Population Strategies to Decrease Sodium Intake and the Burden of Cardiovascular Disease: A Cost-Effectiveness Analysis
Crystal M. Smith-Spangler, Jessie L. Juusola, Eva A. Enns, Douglas K. Owens, and Alan M. Garber
ナトリウムの消費は血圧を上昇させ,心臓発作や脳卒中のリスクを増加させる.加工食品中のナトリウム含有量の自発的な減量や,ナトリウム含有量が多い食品に対する課税といった国民のナトリウム摂取を減らすための集団治療戦略は,行動変容戦略よりもより効果的かもしれない.この費用対効果分析は,これらの集団レベルでのナトリウム摂取を減らす治療戦略が,劇的に脳卒中と心筋梗塞の件数を減らし,数十億ドルの医療費を節約するであろうことを示唆する.しかしながら,この分析は,カロリーや脂肪摂取の増加といった,ナトリウム摂取減少に起因する意図しない結果が生じる可能性に関しては考慮していない.
(翻訳:岩本和也)
C反応性蛋白高値と低値から平均値の低比重リポ蛋白コレステロール値を有する高齢者におけるロスバスタチンの一次予防効果:無作為化試験の探索的解析
Rosuvastatin for Primary Prevention in Older Persons With Elevated C-Reactive Protein and Low to Average Low-Density Lipoprotein Cholesterol Levels: Exploratory Analysis of a Randomized Trial
Robert J. Glynn, Wolfgang Koenig, Børge G. Nordestgaard, James Shepherd, and Paul M Ridker
この無作為化試験データの探索的解析から,高感度C反応性蛋白(hs-CRP)の上昇と低〜中等度の低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を有する17,802人の試験参加患者で,観察された初発心血管イベントが70歳以上の患者に不釣り合いに生じる事が明らかとなった.その結果,ロスバスタチンに関連した初発心血管イベントの絶対的減少は若年患者よりも高齢患者に大きかった.しかし,全死亡率は,プラセボを内服した高齢患者と比較してロスバスタチン内服高齢患者において,差は認められなかった.
(翻訳:山本光孝)
感染性心内膜炎患者の臨床的決定に早期脳MRIが及ぼす効果:前向き調査
Effect of Early Cerebral Magnetic Resonance Imaging on Clinical Decisions in Infective Endocarditis: A Prospective Study
Xavier Duval, Bernard Iung, Isabelle Klein, Eric Brochet, Gabriel Thabut, Florence Arnoult, Laurent Lepage, Jean-Pierre Laissy, Michel Wolff, Catherine Leport, and for the IMAGE (Resonance Magnetic Imaging at the Acute Phase of Endocarditis) Study Group
心内膜炎における神経合併症は,疾病の予後および管理を左右する.今回の一施設における研究は,入院後7日以内に施行された脳MRIが,16例にのみ神経学的症候がみられた心内膜炎の疑いおよび心内膜炎と確定診断のついた130症例に,どのように疾病の分類と管理に影響したかについて述べている.磁気共鳴画像(MRI)は,当初心内膜炎と診断がつかなかった53例中14例を確定診断に導き,さらに130例中24例を治療計画の修正へと導いた.これは神経学的症候を認めない患者においてさえも,脳MRIは臨床的に施行する価値があることを示唆している.
(翻訳:市堰 肇)
肺癌スクリーニング検査における偽陽性の累積陽性率:無作為化試験
Cumulative Incidence of False-Positive Test Results in Lung Cancer Screening: A Randomized Trial
Jennifer M. Croswell, Stuart G. Baker, Pamela M. Marcus, Jonathan D. Clapp, and Barnett S. Kramer
進行中の米国肺スクリーニング試験は肺癌スクリーニング検査の有効性を明らかにすることを目的としている.この試験における予備研究から,2回のCT検査後,偽陽性となる累積陽性率が33%であり,2回の胸部エックス線写真後では15%であることが判明した.偽陽性の結果が出た患者の多くは,スクリーニング検査で指摘された病変が癌ではないことを確認するために侵襲的な検査が必要とされる.医師と患者は肺癌スクリーニング検査としてCTまたは胸部エックス線写真を行う場合には偽陽性の確率が高いことを心に留めておかなければならない.
(翻訳:浦野哲哉)
レビュー(Reviews)
ナラティブレビュー:肥大型心筋症の診断と管理における分子遺伝学の利用
Narrative Review: Harnessing Molecular Genetics for the Diagnosis and Management of Hypertrophic Cardiomyopathy
Libin Wang, Jonathan G. Seidman, and Christine E. Seidman
肥大型心筋症(HCM)は,心重量の増加と,拡張機能障害の特徴を持つ遺伝性の疾患である.HCMの顕著な解剖学的特徴が最初に認識されたのは,200年以上前のことであった.しかしこの疾患に対する現代的な理解は,組織病理学的,心筋の血流動態学,そして遺伝学を統合したものに基づいている.このレビューでは,いかにして分子遺伝学による発見が,HCM患者への狙いを定めた探求と治療に,新しい機会を提供しうるのかについて述べる.
(翻訳:加藤 健)
医学と公衆衛生の話題(Medicine and Public Issues)
「U.S. News & World Report」が発表するアメリカの病院トップ50ランキング決定における世評の役割
The Role of Reputation in U.S. News & World Report's Rankings of the Top 50 American Hospitals
Ashwini R. Sehgal
「U.S. News & World Report」が毎年発表する各専門分野におけるアメリカの病院トップ50ランキングは,質の主観的および客観的評価に基づいているとされている.この横断的研究で,Sehgalは2009年度版の相対的順位決定における世評の役割を計測した.平均して,世評のスコアだけに基づくランキングは,各専門分野におけるその当時の「U.S. News」総合ランキングトップの病院と100%一致し,トップ5の病院とは97%,トップ10の病院とは91%,そしてトップ20の病院とは89%一致した.ランキングに大きく影響していると考えられる病院の世評は質の客観的評価と強くは相関していなかった.
(翻訳:柳内秀勝)
論評(Editorials)
我々は食事中の塩分を減らすこともできるし,お金も節約できるし,命を救うこともできる.
We Can Reduce Dietary Sodium, Save Money, and Save Lives
Thomas R. Frieden and Peter A. Briss
食塩摂取を減らすことは,人口全体での健康について大きな改善をもたらす.CDC(Centers for Disease Control and Prevention:訳注:米国疾病予防管理センター)からのこの論評は,政策的な手段により食塩摂取を減らすことができ,お金も節約でき,命を救うことができるという有無を言わせぬエビデンスを示した今号の中の費用対効果の分析について議論している.論説委員らは,より健康的な選択をするように予め設定することで食品環境を変えることが可能であり,それがより大きな健康面や経済的利益をもたらすであろうと信じている.
(翻訳:上野義之)


高齢者の一次予防としてのスタチン薬:誰が高リスクで,誰が高齢で,何が一次予防を示すのか?
Statins for Primary Prevention in Older Adults: Who Is High Risk, Who Is Old, and What Denotes Primary Prevention?
Susan J. Zieman and Pamela Ouyang
心血管イベントの一次予防のために,高齢者にスタチン薬を用いて治療すべきか否かは臨床での難問である.この論評は,高感度CRP(hs-CRP)が上昇し,LDLコレステロールが低値から中等度までの患者に対して一日20 mgのロスバスタチン(rosuvastatin)と対照薬を比較する試験での,70歳以上の患者を用いた探索的解析について論じている.これらの新しいデータは,高齢者に対して利益をもたらす時期の不確定性を解決するための一助となっている.将来の研究は,80歳以上の高齢者について危険性を予知するより正確な指標の作成に焦点を絞り,高感度CRPは加齢により上昇するので,高齢者での高感度CRPは危険度予知について付加的な情報を与えるかについての評価をすべきである.
(翻訳:上野義之)


エビデンスが逸話,政治,感情と相反した場合には:乳癌のスクリーニング
When Evidence Collides With Anecdote, Politics, and Emotion: Breast Cancer Screening
The Editors
U.S. Preventive Services Task Force(訳注:米国予防医療サービス専門作業部会)の乳癌に対するスクリーニングの勧奨(2009年11月17日付)の衝撃的な反響について,本誌は読者調査,編集者への手紙からの抜粋,勧奨作成の著者からの返答,そして背景のレビューの著者からの返事について分かち合うことにした.編集部は,作業部会の仕事の価値と,いかにこれらの勧奨が,予防医療の経験の本質に変化をきたすかについても思案している.
(翻訳:上野義之)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
塩分摂取を減らすことを助ける費用対効果のある方法があるのですか?
Are There Cost-Effective Ways to Help People Eat Less Salt?
(翻訳:山本 卓)
70歳以上の人の心疾患と脳卒中を予防するためのロスバスタチン
Rosuvastatin to Prevent Heart Problems and Stroke in Persons 70 Years or Older
(翻訳:岩永正子)
肺がんのスクリーニング検査における偽陽性の結果
False-Positive Test Results in a Study of Lung Cancer Screening
(翻訳:川口鎮司)
ACP Journal Club
患者ケアのための最良の新しいエビデンス
男性,糖尿病,COPD,貧血,クレアチニンクレアランスが30mL/min未満であることは,心不全診断後の入院加療が予想された.
Male gender, diabetes, COPD, anemia, and creatinine clearance < 30 mL/min predicted hospitalization after heart failure diagnosis
レビュー:心不全の患者への遠隔患者モニタリングは,死亡率,心不全による入院を減少させる.
Review: Remote patient monitoring of patients with heart failure reduces mortality and heart failure admissions
NT-pro-BNPに基づく,あるいは診療ガイドラインに基づく治療は,慢性心不全の長期間ではないが,短期間の死亡率を減少させた.
NT-proBNP-guided and clinically guided treatment reduced short-term but not long-term mortality in chronic HF
カルボキシマルトース鉄剤は,慢性心不全で鉄欠乏の患者の症状,クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を改善した.
Ferric carboxymaltose improved symptoms and quality of life in patients with chronic heart failure and iron deficiency
レビュー:スタチン製剤は,心不全の患者の死亡率を減少させない.
Review: Statins do not reduce mortality in patients with heart failure
ダビガトランDabigatran(訳者注:新規経口直接トロンビン阻害剤)は,再発性静脈血栓塞栓症の予防において,ワルファリンに対して非劣性であった.
Dabigatran was noninferior to warfarin for preventing recurrent venous thromboembolism
期間を延長した経皮的ニコチン療法は,禁煙のための標準期間の治療より有効であった.
Extended-duration transdermal nicotine therapy was more effective than standard-duration therapy for smoking cessation
レビュー:ホルモン療法は,閉経後女性のより若年者の死亡率を減少させる.
Review: Hormone therapy reduces mortality in younger postmenopausal women
レビュー:現在のエビデンスは,糖尿病患者における心血管疾患の一次予防に対して,アスピリンの総合的利益を示さない.
Review: Current evidence shows no overall benefit of aspirin for primary prevention of cardiovascular disease in diabetes
レビュー:フェノチアジン誘導体は,救急診療部の急性の片頭痛を緩和し,いくつかのアウトカムにおいて他の治療薬よりも良好である.
Review: Phenothiazines relieve acute migraine headaches in the ED and are better than other active agents for some outcomes
レビュー:透析を要しない慢性腎臓病患者において,ビタミンDの有効性を示すエビデンスは不十分である.
Review: Insufficient evidence exists on the benefit of vitamin D in patients with chronic kidney disease not requiring dialysis
レビュー:家庭医は,うつ病患者の約50%を正確に診断し,非うつ病患者の81%を正確に分類する.
Review: GPs accurately diagnose about 50% of patients with depression and accurately classify 81% of nondepressed patients
用語集
Glossary
(翻訳:こう康博)

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