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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
帯状疱疹ワクチンの普及を妨げるもの
Barriers to the Use of a Vaccine to Prevent Shingles
4 May 2010 | Volume 152 Issue 9 | Pages I-36
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
帯状疱疹は,典型的には局所的な痛みを伴う発疹で発症し,やがて水疱化,破裂,痂皮化へと進展して治癒します.この一連の過程には数週間かかります.発疹が治癒した後は,治療困難な激しい痛みに悩まされ続ける人もいます.帯状疱疹を発症させるウイルスは,水痘を起こすウイルスと同じであり,水痘を経験した人だけが,帯状疱疹を発症します.帯状疱疹を予防するワクチンは,帯状疱疹の発症とその痛みを約半分にまで抑えるということが研究によって明らかになっています.FDA(訳注:米国食品医薬品局)は2006年に帯状疱疹ワクチンを承認し,専門家たちは,水痘を経験し,十分な免疫能があり(生きたウイルスを含むワクチンであるため),60歳以上の人々には(帯状疱疹は高齢者に多いため),接種を推奨しています.問題は,接種対象者の10%未満の人しかワクチンを接種していないということです.

この研究の目的は何ですか?
帯状疱疹ワクチンの接種対象者のうち,実際に接種する人がなぜそんなに少ないのかを調査するためです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
301人の内科医と297人の家庭医です.

どのような研究がおこなわれましたか?
電子メールまたは普通郵便にて医師たちに調査書が送られました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
72%の医師たちから回答が得られました.そのうち,93%の医師たちは患者さんにワクチンを提供できる状態にありました.49%の医師たちはクリニックにワクチンを常備し,その場で患者さんに提供,36%は患者さんに薬局で購入するように依頼してクリニックで接種,33%は患者さんをワクチンの接種ができる薬局に紹介していました(これらのうち複数のオプションを持つ医師たちもいます).12%の医師たちは,かつてはクリニックでワクチン接種をしていましたが,今は中止しているということでした.医師たちは,帯状疱疹ワクチンが普及しない理由としての経済的な事情を指摘しています.帯状疱疹ワクチンは,約$200と他のほとんどのワクチンと比較して高価であり,保険でカバーされないこともあるからです.メディケアは,医師に対して支払いがなされる他のほとんどすべての医療サービス(パートB)とは異なり,薬局に対して支払われるという形(パートD)でこのワクチンの接種を認めていますが,ほとんどの医師たちはそれについて知りません.

この研究にはどのような限界がありますか?
結果のうちいくつかは自己申告によるものであり,客観的な観察に基づくものではありません.それゆえ,回答した医師たちの意見が他の医師たちの意見を反映しているとは必ずしも言えません.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
より多くの接種対象者がワクチンを接種するために,費用の支払い方法を変更する必要があるかもしれません.

(翻訳:井上直紀)

English Abstract

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