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原著(ARTICLE)
成長ホルモンが娯楽で運動をしているスポーツ選手の体組成および身体能力に及ぼす影響:無作為化試験
The Effects of Growth Hormone on Body Composition and Physical Performance in Recreational Athletes:A Randomized Trial
Udo Meinhardt, MD;Anne E. Nelson, PhD;Jennifer L. Hansen, RN;Vita Birzniece, MD, PhD;David Clifford, PhD;Kin-Chuen Leung, PhD;Kenneth Graham, BSc;and Ken K.Y. Ho, MD
4 May 2010 | Volume 152 Issue 9 | Pages 568-577
背景: 成長ホルモンは,しばしば男性ホルモンと共に運動選手の間で広く悪用されている.成長ホルモンの競技成績に及ぼす効果は明らかになっていない.

目的: 本研究は成長ホルモン単独あるいはテストステロンとの併用が体組成と身体能力に及ぼす効果を明確にするために行った.

研究デザイン: 本研究は,無作為化の2重盲検,プラセボ対象試験であり,8週間の治療期間とその後6週間のウォッシュアウト期間が設定された.無作為化はコンピュータで行われ,封筒法で割り付けられた.(オーストラリア―ニュージーランド臨床試験登録番号:ACTRNO 12605000508673)

セッティング: オーストラリア,シドニーの臨床研究施設

患者: 96人の娯楽で運動しているスポーツ選手(男性63人,女性33人)で,平均年齢は27.9歳であった(標準偏差5.7).

介入: 男性はプラセボ群,成長ホルモン群(2mg/日の皮下注),テストステロン群(250mg/週の筋注),両者併用群に無作為に割り付けられた.女性はプラセボ群と成長ホルモン群(2mg/日の皮下注)に無作為に割り付けられた.

測定: 体組成因子(脂肪量,除脂肪量,細胞外液量,体細胞量)および身体能力因子(持久力[最大酸素摂取量],筋力[背筋力],瞬発力[跳躍高],全力疾走能力[Wingate値])を測定した.

結果: 体細胞量は,試験開始前の全ての身体能力測定値と相関していた.成長ホルモンは脂肪量を有意に減らし,細胞外液量を増やすことで除脂肪量を有意に増やし,男性ではテストステロンと併用することで体細胞量を増加させた.成長ホルモンは,全身疾走能力を男女合わせた群で0.71KJ(95%CI, 0.1〜1.3KJ;相対増加率3.9%[CI, 0.0%〜7.7%],男性でテストステロンを併用した群で1.7KJ(95%CI, 0.5〜3.0KJ;相対増加率8.3%[CI, 3.0%〜13.6%]と有意に増加させた.他の身体能力測定値には有意な変化を認めなかった.全身疾走能力の改善は,薬剤の投与終了後6週の時点で消失していた.

研究の限界: 成長ホルモンの投与量は,競技スポーツ選手が秘密裏に使用しているより少なかったかもしれない.観察された全身疾走能力の改善が競技成績に結び付くかは不明であり,本研究は症例数が少ないため安全性を結論づけることはできない.

結論: 成長ホルモンの単独あるいはテストステロンとの併用投与は,体組成に影響を与え,全力疾走能力を増加させた.

主たる資金提供源: The World Anti-Doping Agency(訳注:世界アンチドーピング機関)

(翻訳:渡邊祐子)

English Abstract

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