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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
運動競技における成長ホルモンドーピングの効果
Effects of Growth Hormone Doping on Athletic Performance
4 May 2010 | Volume 152 Issue 9 | Pages I-44
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
成長ホルモンは普通に人体で作られ,成長や代謝に重要です.成長ホルモンが欠如した人には注射可能な成長ホルモンを使用することができます.多くの健康な運動選手は成長ホルモンが欠如していなくてもその薬が筋肉を大きくし,身体能力を向上させると信じて使用しています(成長ホルモンドーピング).しかしながら,成長ホルモンが身体能力を向上させることを証明した科学的な研究はありません.

この研究の目的は何ですか?
成長ホルモンが運動競技能力に影響を及ぼすかどうかを検討しました.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
103名の,最低1年間は日頃から娯楽で運動している18歳から40歳の健康な運動選手を対象としました.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者らはまずはじめに,心肺機能と重りを持ち上げる,跳躍する,自転車競走するといった身体能力を測定しました.次に無作為に対象の半分に成長ホルモンの注射を,もう半分に食塩水の注射を8週間受けるように割り振りました.また同時に男性の半分を無作為にテストステロンか食塩水の注射も受けるように割り振りました.研究者らは,8週間後と運動選手が薬か食塩水の注射を受けるのを終えた14週間後に身体能力を測定しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
成長ホルモンは運動選手の自転車競争能力を高めましたが,心肺機能や,重りを持ち上げたり,跳躍する能力には効果がありませんでした.自転車競走能力に対する効果は,テストステロンも受けた男性では2倍近くになっていました.運動能力は,参加者が成長ホルモンやテストステロンを受けるのを止めて6週間後に元に戻りました.成長ホルモンを受けた運動選手では筋肉量は増えませんでしたが,体液が貯留して腫れており,関節の痛みが食塩水の注射を受けた人と比べてより高頻度でした.

この研究にはどのような限界がありますか?
研究者らは,運動選手が使っているとされる成長ホルモンの量よりも少ない量を,より短い期間使用しました.従って,運動能力に対する薬の影響はこの研究よりもさらに大きいかもしれません.また副作用もより重篤かもしれません.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
成長ホルモンの注射は,単独かテストステロンと組み合わせて投与することで運動競走能力を高めるようです.その薬は人に対して体液の貯留も引き起こします.この研究は成長ホルモンによって特定の運動能力が向上することの初めての証明です.この効果は競走に参加する運動選手にとって競技上有利に働くかもしれません.

(翻訳:古賀丈晴)

English Abstract

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