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レビュー(Review)
系統的レビュー:静脈血栓塞栓症に対する治療を行った患者における再発性静脈血栓塞栓症と大出血イベントの致死率
Systematic Review:Case-Fatality Rates of Recurrent Venous Thromboembolism and Major Bleeding Events Among Patients Treated for Venous Thromboembolism
Marc Carrier, MD, MSc;Grégoire Le Gal, MD, PhD;Philip S. Wells, D, MSc;and Marc A. Rodger, MD, MSc
4 May 2010 | Volume 152 Issue 9 | Pages 578-589
背景: 静脈血栓塞栓症(VTE)患者における抗凝固療法の危険性と有益性の評価に致死率は重要である.

目的: 抗凝固療法中の再発性VTEと大出血イベントの致死率,および抗凝固療法後の再発性VTEの致死率を要約すること.

情報源: MEDLINE,EMBASE(訳注:Elsevier Science社が作成する医学・薬学文献データベース),Cochrane Central Register of Controlled Trials(訳注:英国のCochrane Collaborationが医療情報を収集,提供しており,Cochrane Central Register of Controlled Trialsは,適切にデザインされた臨床試験についての文献を集積したものである),および2008年第二四半期までのOvid interfaceにおけるすべてのEBMのレビュー.

研究の選択: 少なくとも抗凝固療法を3か月間受け,致死的なVTEと致死的な大出血を来した症状を示すVTE患者を報告した69論文(13の前向きコホート研究,56の無作為化比較試験).

データ抽出: 2人のレビュアーが独立して標準的な形式でデータを抽出した.

データ合成: 抗凝固療法開始3か月間の致死的な再発性VTEの出現率は0.4%(95%CI, 0.3%〜0.6%)で,その致死率は11.3%(CI, 8.0%〜15.2%)であった.致死的な大出血イベントの出現率は0.2%(CI, 0.1%〜0.3%)で,そのうちの致死率は11.3%(CI, 7.5%〜15.9%)であった.抗凝固療法後の致死的な再発性VTEの出現率は,1年100患者あたり0.3(CI, 0.1%〜0.4%)で,そのうちの致死率は3.6%(CI,1.9%〜5.7%)であった.

研究の限界: 予測は不均一な試験とコホート集団から成り立っており,患者レベルでの時系列データに基づいていない.抗凝固療法中と抗凝固療法後の致死率の違いは,測定されていない患者の特徴のせいかもしれない.

結論: 再発性VTEと大出血イベントの致死率は,VTE治療の最初の期間は似通っている.再発性VTEの致死率は,抗凝固療法の最初の期間終了後に減少する.再発性VTEと大出血イベントとの絶対比率を足すことによって,致死率とは,臨床家へVTE患者への抗凝固療法の危険性と有益性のバランスをとるための死亡率の代替的測定値を提供することになる.

主たる資金提供源: Canadian Institute for health Research and Heart and Stroke Foundation of Ontario(訳注:カナダ健康研究省とオンタリオ心臓脳卒中財団)

(翻訳:井田弘明)

English Abstract

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