Journals

患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
勃起障害治療薬を使用する男性における性感染症
Sexually Transmitted Diseases Among Men Who Use Erectile Dysfunction Drugs
6 July 2010 | Volume 153 Issue 1 | Pages I-44
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
勃起障害(ED),またはインポテンスは,性交のために十分硬く勃起できないか維持できない不能状態です.心因性または身体的な原因で起こり得ます.身体的な原因には,高齢や大量飲酒,慢性疾患(糖尿病や高血圧など),内分泌異常(低テストステロン状態など),薬物(高血圧やうつ病の治療薬など)の使用などがあります.ホスホジエステラーゼタイプ5阻害薬はEDの治療に使用できる薬剤です.通常処方されるED治療薬には,シルデナフィル(バイアグラ*[ファイザー,ニューヨーク,ニューヨーク州,米国]という商品名で知られています)や,バルデナフィル(レビトラ®[グラクソ・スミスクライン,ブレントフォード,英国]という商品名で知られています)*,タダラフィル(シアリス*[リリー,インディアナポリス,インディアナ州,米国])があります.40%に達する中年および更に高齢の男性は何らかのEDを来しており,その健康状態のための薬剤は一般的によく使用されます.性感染症(STD)の危険性は,これらの薬剤を使用することで可能となる性行動とともに高くなるのかもしれません.STDには,HIVやクラミジア,淋菌,ヘルペス,梅毒などのウイルスや細菌などの感染症があります.ED治療薬を使用している男性におけるSTDの危険性については,解明されていません.
*訳注:日本ではバイエル薬品が販売

この研究の目的は何ですか?
ED治療薬を使用している男性におけるSTDの頻度を明らかにすることです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
少なくとも1回はED治療薬を処方されたことのある33,968人の男性と,処方されたことのない百万人以上の男性です.すべての研究対象者は,1997年から2006年にかけて44の大会社による民間保険に加入していました.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者らはSTDの頻度を解明するために,ED治療薬を処方された,または処方されていない男性に対する請求書作成データベースの情報を使用しました.研究者らは,男性が最初のED治療薬の処方を受けた前後の各1年間について,STDに関する請求書作成コードを調べました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
1997年から2006年にかけて,ED治療薬を新たに処方された男性と,処方されなかった男性とのSTDに関する比較結果から,治療薬を開始される前の1年と開始後の1年において,治療薬を処方された男性では,処方されなかった男性より高率にSTDの発生を認めました.この違いは,STDのうちHIV(AIDSを引き起こすウイルス)と,女性が不妊になりうる感染症であるクラミジア感染によるものでした.

この研究にはどのような限界がありますか?
この研究は請求書作成データを使用しており,ED治療薬を使用する男性と使用しない男性とで異なる,すべての比較方法を説明し得ていません.この研究はED治療薬がSTDを引き起こすことを意味するものではありません.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
ED治療薬の処方を考慮する場合には,医師と患者さんはSTDの危険性やこれらの感染症に罹患しないようにする方法,および他者に感染させない方法について話し合うべきです.

(翻訳:菊地基雄)

English Abstract

▲このページのTOPへ