Journals

(更新日 2010年11月29日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
16 November 2010 Volume 153 Issue 10
(監修:湯地晃一郎,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Original Research)
前立腺疾患のない健康な中年男性でのジヒドロテストステロン治療の前立腺の増大に関する長期効果:無作為化プラセボ比較試験
Long-Term Effects of Dihydrotestosterone Treatment on Prostate Growth in Healthy, Middle-Aged Men Without Prostate Disease: A Randomized, Placebo-Controlled Trial
Amanda Idan, Kaye A. Griffiths, D. Tim Harwood, Markus J. Seibel, Leo Turner, Ann J. Conway, and David J. Handelsman
中年男性におけるテストステロン補充療法の多くの有害性と有益性は不明のままである.本研究において,ジヒドロテストステロン(DHT)が遅発性の前立腺の増大を減弱させるか観察するために,114人の中年男性が2年間プラセボ群か経皮的ジヒドロテストステロン(DHT)投与群に割りつけられた.平均的な前立腺のサイズは経時的に増大したが,両群間で有意差はなかった.本研究では,前立腺の増大や症状が発現する前に良性の前立腺肥大の進展を遅らせたり抑制したりする目的で,増幅不可能な純粋なアンドロゲンを使用することは支持しない.
(翻訳:澤木秀明)
薬局において遺棄される処方箋の疫学
The Epidemiology of Prescriptions Abandoned at the Pharmacy
William H. Shrank, Niteesh K. Choudhry, Michael A. Fischer, Jerry Avorn, Mark Powell, Sebastian Schneeweiss, Joshua N. Liberman, Timothy Dollear, Troyen A. Brennan, and M. Alan Brookhart
この横断研究において,研究者らは処方箋の遺棄される率と遺棄を予測する要素を評価するために,小売り薬局チェーンからのデータベースと薬剤給付管理会社からのデータベースとを合併させた.薬局において遺棄された処方箋の割合は低かった.高い一部負担金を必要とする,そして電子媒体により交付される初期治療に対する処方箋は,遺棄される傾向が有意に強かった.処方箋の電子媒体による交付が増加するにつれ,医療ケア供給者は処方箋の遺棄を防ぐ戦略を追求すべきである.
(翻訳:松浦喜房)
討論情報:推定同意の国々での腎移植率について
Informing the Debate: Rates of Kidney Transplantation in Nations With Presumed Consent
Lucy D. Horvat, Meaghan S. Cuerden, S. Joseph Kim, John J. Koval, Ann Young, and Amit X. Garg
臓器ドナーより明示的同意を必要とする国もあれば,明示的同意がない限り臓器提供に同意しているものと推定した法をもつ国もある.明示的同意と推定同意のどちらがより多くの臓器提供につながるかは明らかではない.44か国における1997年から2007年までの研究では推定同意の国では献腎移植の率がより高いものの生体腎移植の率は低かった.腎移植において推定同意を採用あるいはその採用を考慮している国では生体腎移植を増やす方法も考慮すべきである.
(翻訳:今井直彦)
自己間葉系幹細胞は全身性硬化症の虚血肢の血行再建を促す:症例報告
Autologous Mesenchymal Stem Cells Foster Revascularization of Ischemic Limbs in Systemic Sclerosis: A Case Report
Serena Guiducci, Francesco Porta, Riccardo Saccardi, Stefano Guidi, Lidia Ibba-Manneschi, Mirko Manetti, Benedetta Mazzanti, Simone Dal Pozzo, Anna Franca Milia, Silvia Bellando-Randone, Irene Miniati, Ginevra Fiori, Rossana Fontana, Laura Amanzi, Francesca Braschi, Alberto Bosi, and Marco Matucci-Cerinic
本症例報告は,全身硬化症,急性閉塞性虚血と上下肢の壊疽を呈する女性例である.自己の骨髄由来間葉系幹細胞を静脈内注射すると,皮膚の壊死が減少した.注射後の血管造影では,新しい血管網が上肢にみられ,下肢には遠位部に血流をともなった血管新生がみられる.この予備的観察の結果は,困難な全身性硬化症における間葉系幹細胞注入の有益性と有害性について,体系的に評価することが可能であることを示唆するものである.
(翻訳:吉田 博)
学問と専門職(Academia and the Profession)
災害発生時の学生の対応:医療従事者養成校における教訓
Students' Response to Disaster: A Lesson for Health Care Professional Schools
Humberto Reyes
チリ地震の際の医療体制の対応は,災害が起こった際に医療従事者がより良い援助をできるように準備するにはどのようにすればよいかを考えさせる機会となった.この記事は,医学校および他の医療従事者養成校において,学生に対して団結心,熱意,思いやり,社会的責務について鼓舞し,社会的に最も必要とされたときに有用な基本的技術を提供できるように,全ての卒業生に対して保障しなければならないということについて述べている.
(翻訳:池田賢一)
研究と報告の方法(Research and Reporting Methods)
倫理的レビューの簡素化
Streamlining Ethical Review
Joseph Millum and Jerry Menikoff
米国において,ヒトを対象とした研究に関する倫理的レビューの要件は,ヒト(訳注:対象被験者)を保護することなく,研究を遅らせるとして非難されてきた.筆者は,いくつかの研究のレビューを早めるために有用な意見について論じている.その中には,ヒト対象の研究と分類される必要のないもの,倫理的レビューの必要がないもの,そして単一の治験審査委員会(IRB)メンバーによるレビューが必要とされる研究が含まれる.研究者は,単一のIRBを利用することで多施設共同研究のレビュー過程を簡素化することが可能である.
(翻訳:池田賢一)
見解と意見(Ideas and Opinions)
前立腺癌スクリーニングに関する患者中心の議論:現実的なアプローチ
Patient-Centered Discussions About Prostate Cancer Screening: A Real-World Approach
Barak Gaster, Kelly Edwards, Susan Brown Trinidad, Thomas H. Gallagher, and Clarence H. Braddock III
わが国のガイドラインでは,プライマリ・ケアに携わる医療者は,前立腺癌のスクリーニングの便益と危険性について患者と相談するよう推奨されている.しかし,そのような相談をどのように多忙な外来診療に取り入れるかについては,ほとんど何の指針もない.著者らは,キャッチボール方式質問法(Ask-Tell-Ask)を提唱するが,これにより患者ごとに個別化された話し合いや,患者の価値観を基礎にしたアドバイスが促進される.このアプローチには,患者がどのような情報を欲しているのかを明らかにしたり,そういった要望をもとに的を絞った患者教育を行ったり,検査について一緒に決断するといったことが含まれる.
(翻訳:泉谷昌志)
医学の歴史(History of Medicine)
進化する診療録
The Evolving Medical Record
Eugenia L. Siegler
著者は,診療録の形式が医師の記載に与える影響について,ニューヨーク病院における過去一世紀以上にわたる記録をもとに調査した.著者は,診療録が自由記載の患者記録から診療のリアルタイムの記録になった際の質や形式の変化について紹介する.そしてこれらの変化や,それに対する医師の反応は,今日電子カルテによりもたらされた患者記録への脅威に通じるものがある.
(翻訳:泉谷昌志)
医学と公衆衛生の話題(Medicine and Public Issues)
地域拡大センタープログラム:医師が医療ITを使用しやすくするために
The Regional Extension Center Program: Helping Physicians Meaningfully Use Health Information Technology
Emily Maxson, Sachin Jain, Mat Kendall, Farzad Mostashari, and David Blumenthal
2009年に成立した「経済的および臨床的健全性のための医療ITに関する法律(Health Information Technology for Economic and Clinical Health Act:HITECH法)」では,紙媒体から電子カルテへの移行促進準備,電子カルテの採用や適切な使用を支援する目的でメディケアやメディケイド(訳注:低所得者医療補助制度)にとってインセンティブとなる支払いを規定した.また,同法律では医療IT地域拡大センタープログラムを企画した.以下の論文では地域拡大センター施策の理論的説明と同センターが電子カルテシステムを効率的に利用促進させる方法について述べている.
(翻訳:駒井俊彦)
論評(Editorials)
ジヒドロテストステロン:ホルモンなのか自己分泌-傍分泌の信号なのか?
Dihydrotestosterone: Hormone or Autocrine-Paracrine Signal?
Ronald S. Swerdloff and Christina Wang
この号において,Idanと同僚らは,前立腺疾患のない健康な中年男性における,前立腺の肥大に対するジヒドロテストステロン治療の長期効果を調べた無作為化試験を報告している.論説委員らは,我々の,アンドロゲンの薬理作用についての理解や,複数の標的器官におけるアンドロゲンの生物学に関する見識に対し,この試験が寄与したことについて議論している.彼らは,ジヒドロテストステロンは,5α還元酵素が高濃度で存在しない組織においてはホルモンのように振舞うが,前立腺のように5α還元酵素が豊富な組織においては,主に自己分泌-傍分泌の機序で働くと結論づけている.
(翻訳:井口光孝)


処方箋の遺棄:服薬非遵守への別の道
Prescription Abandonment: Another Path to Medication Nonadherence
Michael D. Murray and Jeff Harrison
この号において,Shrankと同僚らは,処方箋の遺棄について調査し,遺棄に関連する修正しうる因子を見いだしている.論説委員らは,処方箋の遺棄を減らす戦略を含め,この記事で得られた知見について議論している.
(翻訳:井口光孝)


医療記録:21世紀における200年ものの挑戦
The Clinical Record: A 200-Year-Old 21st-Century Challenge
Michael S. Barr
この号において,SieglerはNew York病院における医療記録の進歩について調査し,Maxonと同僚らは,地域拡大センタープログラムを通じて電子医療記録が幅広く導入され,有意義に用いられることを援助する中央政府の努力を記述している.論説委員は,これらの記事が,我々が臨床情報や患者の管理への新しいアプローチを提供する未来を思い描くために,過去から学ぶ機会をどのように提供しているかについて議論している.
(翻訳:井口光孝)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
ジヒドロテストステロンゲルの連日塗布は加齢に関連した前立腺肥大を予防しない
Daily Application of Dihydrotestosterone Gel Does Not Prevent Age-Related Growth of the Prostate Gland
(翻訳:山本智清)
薬局で受け取られない処方の特性
Characteristics of Prescriptions That Are Abandoned at the Pharmacy
(翻訳:松木薗和也)
腎移植の同意に関する国際研究
International Study of Consent for Kidney Transplantation
(翻訳:土屋直隆)
ACP Journal Club
早めと遅めの透析導入では,ステージ5の慢性腎臓病の全死亡率に差はない.
Early and late initiation of dialysis did not differ for reduction of all-cause mortality in stage 5 chronic kidney disease
レビュー:より高値のヘモグロビン値を目標とした造血刺激因子の使用は,慢性腎臓病において有害反応のリスクを高める.
Review: Erythropoiesis-stimulating agents targeted to higher hemoglobin levels increase risk for adverse outcomes in CKD
レビュー:いくつかの薬剤は片頭痛を予防するのに有用である;薬剤間の相対的な有効性についてのエビデンスは限られている.
Review: Some drugs are effective for preventing migraine headache; limited evidence exists on the relative effectiveness of drugs
レビュー:アスピリンは成人の急性の片頭痛による痛みを減少させる.
Review: Aspirin reduces acute migraine pain in adults
運動と用手的可動訓練にステロイド注射を加えても,長期にわたる肩の痛みや機能障害は減少しない.
Adding steroid injection to exercise and manual mobilization did not reduce shoulder pain and disability over the long term
レビュー:カルシウム補充は成人において心筋梗塞のリスクを高めるが,死亡率や脳卒中のリスクは高めない.
Review: Calcium supplements increase risk for myocardial infarction but not mortality or stroke in adults
急性内科疾患を伴う患者におけるエノキサパリンのより長期の使用は,静脈血栓塞栓症のリスクを減少させるものの,重大な出血のリスクを増加させる.
Extended-duration enoxaparin reduced VTE but increased major bleeding in patients with acute medical illness.
2型糖尿病患者において,血糖の強化コントロールは標準的コントロールと比べ複合微小血管イベントを減らさなかった.
Intensive glucose control did not reduce a composite of microvascular events more than standard control in type 2 diabetes
血糖コントロールの強化とシンバスタチンへのフェノフィブラートの追加は,ともに2型糖尿病患者における網膜症の進行を遅らせた.
Intensifying glucose control and adding fenofibrate to simvastatin each reduced progression of retinopathy in type 2 diabetes
レビュー:フィブラート系薬剤は心血管系イベントのリスクを減少させる.
Review: Fibrates reduce risk for cardiovascular outcomes
頸動脈狭窄症に対するステント挿入術と内膜剥離術は,脳卒中,心筋梗塞,死亡の複合エンドポイントに差はない
Stenting and endarterectomy for carotid artery stenosis did not differ for a composite of stroke, MI, or death
肝硬変と静脈瘤からの出血を伴う患者への経頸静脈的肝内門脈大循環シャント術(TIPS)の早期使用(レター).
Early use of TIPS in patients with cirrhosis and variceal bleeding
用語集
Glossary
(翻訳:井口光孝)

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