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原著(Original Research)
前立腺疾患のない健康な中年男性でのジヒドロテストステロン治療の前立腺の増大に関する長期効果:無作為化プラセボ比較試験
Long-Term Effects of Dihydrotestosterone Treatment on Prostate Growth in Healthy, Middle-Aged Men Without Prostate Disease: A Randomized, Placebo-Controlled Trial
Amanda Idan, BSc, MHSc; Kaye A. Griffiths, AMS, DMU; D. Tim Harwood, PhD; Markus J. Seibel, MD, PhD; Leo Turner, MMed, RN; Ann J. Conway, MBBS; and David J. Handelsman, MBBS, PhD
16 November 2010 | Volume 153 Issue 10 | Pages 621-632
背景: 良性の前立腺肥大は加齢とともに増加する.その結果,実質的に老人の生活の質を低下させうる.外科手術はしばしば症状を調節することが求められる.増幅不可能な純粋なアンドロゲンの長期投与が前立腺の増大を減弱させる可能性があり,それゆえ,手術の需要を減らし,遅延させる可能性があるという仮説がたてられてきた.

目的: ジヒドロテストステロン(DHT),すなわち増幅不可能で非芳香族の純粋なアンドロゲンが中年男性の晩年の前立腺の増大を減弱させるという仮説を検証すること.

研究デザイン: 無作為化プラセボ対照並行群間試験.(オーストラリアニュージーランド臨床試験登録番号:ACTRN12605000358640)

セッティング: 外来診療研究センター

患者: 既知の前立腺疾患のない50歳以上の健康男性114人.

介入: 経皮的ジヒドロテストステロン(DHT)70mgかプラセボジェルを毎日,2年間.

測定: 前立腺容積は超音波検査により計測された.骨塩量(BMD)と体組成は二重エネルギーX線吸収法により計測された.血液サンプルと質問表は6か月毎に回収された.反復測度のための混合モデル分析によりデータは解析された.

結果: 24か月にわたって,研究期間中,経時的に総前立腺容積(29%[95%CI,23%〜34%]と中心前立腺容積(75%[CI,64%〜86%];P<0.01),前立腺特異抗原値は増加したがDHTは効果がなかった(P>0.2).ジヒドロテストステロン治療はプラセボ群に比し,24か月後に脊椎のBMD(1.4%[CI,0.6%〜2.3%];P<0.001)を低下させたが,股関節部のBMD(P>0.2)は低下させず,また2年目には血清の1型プロコラーゲンのアミノ末端基プロペプチドを増加させた.ジヒドロテストステロンは血清のDHT値とその代謝産物(5α-androstane-3α,17β-diol and 5α-androstane-3β,17β-diol)を増加させたが,血清のテストステロン値,エストラジオール,黄体ホルモン,卵胞刺激ホルモン値を抑制した.ジヒドロテストステロンはヘモグロビン値(7%[CI,5%〜9%]),血清クレアチニン値(9%[CI,5%〜11%]),除脂肪体重(2.4%[CI,1.6%〜3.1%])を増加させたが,脂肪体積(5.2%[CI,2.6%〜7.7%])は低下させた.(すべてP<0.001)DHT群でのプロトコールに基づく中断は,DHT群における無症候性のヘマトクリットの増加(n=8)と前立腺特異抗原値上昇(n=3;前立腺癌はなかった)のためであり,治療を中止すると消失した.DHTによる重篤な副作用は出現しなかった.

研究の限界: 前立腺の増大に関して有益な所見や有害な所見はなかったが,前立腺癌の自然歴に有害な影響をもたらす可能性を除外できない.

結論: 24か月にわたるジヒドロテストステロン治療は前立腺の増大に関し,全く有益な作用や有害な作用をもたらさなかったが股関節部のではなく,脊椎の骨塩量を低下させた.これらの知見は,中年男性に非ステロイド性の純粋なアンドロゲンを拡大させて使用する際に重要な意味をもつ.

主たる資金提供源: BHR pharma(訳注:BHR製薬)

(翻訳:澤木秀明)

English Abstract

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