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(更新日 2011年1月11日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
21 December 2010 Volume 153 Issue 12
(監修:鈴木克典,総合監修:吉田直之)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Original Research)
エキナセアによる感冒の治療:無作為化試験
Echinacea for Treating the Common Cold: A Randomized Trial
Bruce Barrett, Roger Brown, Dave Rakel, Marlon Mundt, Kerry Bone, Shari Barlow, and Tola Ewers
エキナセアは感冒のハーブ治療としてよく用いられるが,その効果については議論が続いている.この無作為化比較試験では,盲検化または非盲検化エキナセア投与患者は,盲検化プラセボまたは投薬なしの患者と比較して罹患期間や重症度において有意な改善を示していない.この研究はエキナセアには感冒の症状や期間を短縮する効果が無いことを示すが,予想を上回る感冒症状のばらつきがエキナセアの有効性に関する疑問に対して確定的な答えを出すための検出力を制限している.
(翻訳:吉澤弘久)
米国における積極的HIVスクリーニングと抗レトロウイルス治療の費用対効果と集団アウトカム
The Cost-Effectiveness and Population Outcomes of Expanded HIV Screening and Antiretroviral Treatment in the United States
Elisa F. Long, Margaret L. Brandeau, and Douglas K. Owens
米国におけるHIV感染の罹患率は年余にわたって変化が無いままである.HIVの検査と治療を同時に積極的に実施すればどちらか単独の方策を実施するよりも新規感染を減少させる上でより有益で費用対効果に優れるものの,新規感染者の減少は僅かなものに止まることが,今回の費用対効果分析で明らかになった.しかし,検査と治療の両者を受ける患者においてさらにリスクとなる行動を半減させれば,新規感染者数の著明な減少がみられる.本分析は米国のHIV流行規模を実質的に低減させるためには検査,治療と共に行動変容を誘導する複数のアプローチを併せて行う必要があることを示唆している.
(翻訳:高田 徹)
米国の成人におけるトランスパルミトレン酸と代謝性危険因子および糖尿病の新規発症;コホート研究
Trans-Palmitoleic Acid, Metabolic Risk Factors, and New-Onset Diabetes in U.S. Adults: A Cohort Study
Dariush Mozaffarian, Haiming Cao, Irena B. King, Rozenn N. Lemaitre, Xiaoling Song, David S. Siscovick, and Gökhan S. Hotamisligil
代謝アウトカムについて脂肪酸の影響は複雑であり,内因性に産生されたものか特定の食事により外因性に得られたものかに影響される可能性がある.この観察研究では,全脂肪乳製品の消費についての自己報告がトランスパルミトレイン酸(乳製品の消費で一番に得られる脂肪酸)と関連があり,これは代謝的には好ましいことであり,Cardiovascular Health Studyの成人で2型糖尿病の発症が低下している.トランスパルミトレン酸が有効な健康因子かどうか評価をされるには更なる研究が必要である.
(翻訳:植田秀樹)
医学と専門職(Academia and the Profession)
岐路に立つ臨床研修:2010年現在の勤務時間規則
Residency Training at a Crossroads: Duty-Hour Standards 2010
Kevin G. Volpp, William Friedman, Patrick S. Romano, Amy Rosen, and Jeffrey H.
2003年,Accreditation Council for Graduate Medical Education(ACGME(訳注:卒後医学教育認定評議会))は全米のレジデントに対して単一の勤務時間規則を実施した.今日まで得られたエビデンスは,この規則が患者アウトカムを改善も増悪もしなかったことを示唆している.2010年6月,ACGMEは新しい勤務時間規則集を2011年7月に実施することを提案した.本稿は勤務時間規則を策定する手段に関する答えのない多くの疑問を議論し,運用しながらの実験と評価を重視したもっと柔軟で大胆な方針の方が臨床面と教育面の両面でアウトカムを改善しやすいだろうと提案している.
(翻訳:千葉 大)
系統的レビュー:勤務時間,睡眠時間の確保,当直と患者のケア,レジデントの健康,教育との関係
Systematic Review: Association of Shift Length, Protected Sleep Time, and Night Float With Patient Care, Residents' Health, and Education
Darcy A. Reed, Kathlyn E. Fletcher, and Vineet M. Arora
研修プログラムがACGME(訳注:卒後医学教育認定評議会)の最新の勤務時間規則に準拠するようになりはじめていることから,新しい規則の妥当性のレビューは有用である.この系統的レビューでは,勤務時間,睡眠時間の確保(訳注:勤務時間内の仮眠),当直と患者のケア,レジデントの健康,教育の関係について,臨床現場のレジデントを対象に検討している.研究では,勤務時間の短縮による利点が一部示されているが,最適な勤務時間について十分な対処はされていなかった.研究には手法の限界があり,多くのアウトカムの一般化は不明瞭であることから,勤務時間,睡眠時間の確保,当直についての具体的な勧告については,エビデンスの限界を認める必要がある.
(翻訳:川上寿一)
レビュー(Reviews)
メタ解析:スタチン療法は高比重リポ蛋白コレステロール低値と心血管リスク増加の間の関係を変えない
Meta-analysis: Statin Therapy Does Not Alter the Association Between Low Levels of High-Density Lipoprotein Cholesterol and Increased Cardiovascular Risk
Haseeb Jafri, Alawi A. Alsheikh-Ali, and Richard H. Karas
このスタチンに関する20個の大規模無作為化比較試験のメタ解析により,治療中の低比重リポ蛋白コレステロール値,年齢,高血圧,糖尿病と喫煙による補正後のスタチン内服患者と対象患者の両者において高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)値と心筋梗塞リスクの間に有意な反比例の関係が見いだされた.これらの知見により高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)低値または高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)低値に関連するその他の因子は,スタチン内服患者で観察された心血管病の残存リスクを説明し,かつこの観点から高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)値の適正について更なる研究の必要性を強調するかもしれないことが示唆された.
(翻訳:山本光孝)
研究と報告の方法(Research and Reporting Methods)
高齢者に対する予防勧告へのアプローチの見直し
Reconsidering the Approach to Prevention Recommendations for Older Adults
Rosanne M. Leipzig, Evelyn P. Whitlock, Tracy A. Wolff, Mary B. Barton, Yvonne L. Michael, Russell Harris, Diana Petitti, Timothy Wilt, and Al Siu , for the U.S. Preventive Services Task Force Geriatric Workgroup
U.S. Preventive Services Task Force(USPSTF)(訳注:米国予防医療サービス専門作業部会)の勧告は,特定の病気,明確な介入,そして改善された医療効果のエビデンスに焦点を絞ったエビデンスによる臨床予防モデルに基づいている.このモデルを高齢者集団に当てはめることは,いくつかの理由で問題となってきている.2005年にUSPSTFは,高齢者において予防するために必要なものをよりはっきりさせるUSPSTFの方法論とプロセスを改善するため高齢者のワークグループを開催した.この論文では,転倒防止を例として使ってUSPSTFがどのようにしてこれらの新しいアプローチを適用し始めたか議論している.
(翻訳:井田弘明)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
高齢者の転倒を予防するためのプライマリ・ケア関連の介入:米国予防医療サービス専門作業部会のための系統的エビデンスレビュー
Primary Care-Relevant Interventions to Prevent Falling in Older Adults: A Systematic Evidence Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Yvonne L. Michael, Evelyn P. Whitlock, Jennifer S. Lin, Rongwei Fu, Elizabeth A. O'Connor, and Rachel Gold
高齢者の転倒は高頻度に見られ,かつ回避可能である.U.S. Preventive Service Task Force(訳注:米国予防医療サービス専門作業部会)の推奨するプロセスを支持するため,この系統的レビューは,高齢者の転倒を予防するために,プライマリ・ケア医が利用できる外来における介入の有益性と害を記述する.このレビューが見出したことは,次のようなことである:地域に居住する高齢者にとって,ビタミンD補充・運動または理学療法プログラム・いくつかの包括的な多元的転倒評価とさまざまな管理介入のような臨床的介入は,転倒を減らし,安全に思えることを現在の研究は示唆している.
(翻訳:村上 純)
論評(Editorials)
高齢者にとって適切な予防勧告をする
Making Prevention Recommendations Relevant for an Aging Population
Mary E. Tinetti
この号で,転倒予防におけるU.S. Preventive Services Task Force(USPSTF 訳注:米国予防医療サービス専門作成部会)の勧告を基準に行われる系統的レビューは転倒予防の介入の有益性と害を評価し,そして掲載されている論文では高齢者と彼らを世話するプライマリ・ケア提供者に関連があるレビューと勧告を行うUSPSTFの試みが記載されている.この論評ではこれらの論文について議論して,USPTF外貨にこの仕事に関係を確認する大きな段階を踏んでいるか議論している.
(翻訳:山本 卓)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
感冒に対するエキナセアの効果
Echinacea for the Common Cold
(翻訳:加藤哲朗)
食物中トランスパルミトレイン酸と糖尿病
Dietary Trans-Palmitoleic Acid and Diabetes
(翻訳:沖 将行)
ACP Journal Club
促進的,教育的介入はプライマリ・ケアにおける職員のインフルエンザワクチン接種を増加させた.
A promotional, educational intervention increased staff influenza vaccination in primary care
早期の緩和ケアは新規に転移性非小細胞肺癌(NSCLC)と診断された患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を改善した.
Early palliative care improved quality of life in patients with newly diagnosed metastatic NSCLC
行動心理学的介入は介護者の満足度と認知症を有する患者における機能のいくつかの測定を改善した.
A biobehavioral intervention improved caregiver well-being and some measures of functioning in patients with dementia
レビュー:ポリエチレングリコールは小児と成人における慢性便秘に対しラクチュロースより効果的である.
Review: Polyethylene glycol is more effective than lactulose for chronic constipation in children and adults
レビュー:段階的弾性ストッキングは入院患者における深部静脈血栓症を減少させる.
Review: Graduated compression stockings reduce deep venous thrombosis in hospitalized patients
テストステロンは運動制限のある高齢者における有害事象を増加させた.
Testosterone increased risk for adverse events in older men with mobility limitations
レビュー:アンギオテンシン受容体遮断薬は癌のリスクを増加させるが,癌関連死は増加させない.
Review: Angiotensin-receptor blockers increase risk for cancer but not cancer-related death
前立腺特異抗原を用いた集団ベースのスクリーニングは前立腺癌死亡率を減少させた.
Population-based screening using prostate-specific antigen testing reduced prostate cancer mortality
レビュー:ステロイド,超音波,電磁場治療,そして夜間の固定は手根管症候群に中,短期の効果がある.
Review: Steroids, US, electromagnetic field therapy, and nocturnal splinting have moderate, short-term effectiveness for the carpal tunnel syndrome
高齢者で,ロジグリタゾンはピオグリタゾンと比較して脳卒中,心不全,そして死亡率のリスク増加に関連した.
In older patients, rosiglitazone was associated with increased risk for stroke, heart failure, and mortality compared with pioglitazone
ビスフォスフォネートの使用は食道癌や胃癌のリスク増加に関連しなかった.
Use of bisphosphonates was not associated with increased risk for esophageal or gastric cancer
プロトンポンプ阻害薬にクロピトグレルを追加することは心筋梗塞(MI)後の心血管系(CV)リスクの増加に関連しなかった.
Adding clopidogrel to proton-pump inhibitors was not associated with increased CV risk after MI
用語集
Glossary
(翻訳:山本 卓)

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