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(更新日 2010年8月9日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
20 July 2010 Volume 153 Issue 2
(監修:林 正樹,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
コンテクストエラーと,患者に応じたケアの不成功:多施設共同研究
Contextual Errors and Failures in Individualizing Patient Care:A Multicenter Study
Saul J. Weiner, Alan Schwartz, Frances Weaver, Julie Goldberg, Rachel Yudkowsky, Gunjan Sharma, Amy Binns-Calvey, Ben Preyss, Marilyn M. Schapira, Stephen D. Persell, Elizabeth Jacobs, and Richard I. Abrams
本研究では,標準模擬患者が医師を受診し,複雑化要因の有りと無しとの状況で医療上の問題点を伝えた.複雑化要因としては,医療保険の喪失といった患者の背景にあるコンテクスト的なものや,併存疾患といった生物医学的なものが挙げられる.医師がどのくらいの頻度で複雑化要因を精査し,適切なケアを提供したかを研究者たちは評価した.医師は,コンテクスト的よりも生物医学的な複雑化要因の方を精査し,生物医学的(38%),コンテクスト的(22%),あるいはその両者(9%)によって複雑化された対象よりも,複雑化されていない対象の方に(73%)適切なケアを提供していた.
(翻訳:塩田哲也)
ホームレスの事前指示書完成における終末期ケアプラン介入の影響:無作為化試験
Effect of an End-of-Life Planning Intervention on the Completion of Advance Directives in Homeless Persons:A Randomized Trial
John Song, Edward R. Ratner, Melanie M. Wall, Dianne M. Bartels, Nancy Ulvestad, Dawn Petroskas, Melissa West, Anne Marie Weber-Main, Leah Grengs, and Lillian Gelberg
この無作為化試験は,262人のホームレスにおいて2つの終末期事前ケアプランに対する介入を比較し,事前指示書を完成した参加者の終末期の志向を調べた.事前指示書に書き込む時に個別指導と支援を行った場合,自分で書き込んだ場合と比べ,事前指示書の完成が有意に増加した(38%対13%).このことは,ホームレスであっても適切なサポートを受ければ終末期ケアプランに参加するであろうということを示している.
(翻訳:岩永正子)
短報:慢性E型肝炎に対するリバビリン治療の症例報告
Brief Communication:Case Reports of Ribavirin Treatment for Chronic Hepatitis E
Vincent Mallet, Elisabeth Nicand, Philippe Sultanik, Catherine Chakvetadze, Sophie Tessé, Eric Thervet, Luc Mouthon, Philippe Sogni, and Stanislas Pol
慢性E型肝炎ウイルス(HEV)感染は,免疫能の低下した患者における新興感染症であり,治療は支持的な方法に限られている.今回のリバビリン治療を受けた2人の慢性HEV感染の症例報告では,肝酵素は正常化し,血中および便中のウイルスは検出感度以下になった.この結果は治療終了後も持続した.この予備的観察は,慢性HEV感染に対する,より長期間のリバビリン治療の比較試験に論拠をもたらすものである.
(翻訳:渡邊清高)
医学と臨床(Academia and Clinic)
臨床研修応募文における盗用
Plagiarism in Residency Application Essays
Scott Segal, Brian J. Gelfand, Shelley Hurwitz, Lori Berkowitz, Stanley W. Ashley, Eric S. Nadel, and Joel T. Katz
この研究は,一つの大規模な臨床研修施設に提出された4,975の臨床研修応募文における盗用の広まりについて調査している.著者らは利用可能なソフトウエアを用い,提出された応募文とインターネット上の文書,出版物,そして過去に提出された応募文のデータベースとを比較検討し,他の出典原稿の内容と実質的に一致する応募文の割合を算出した.その結果著者らは,在学中優秀な成績を修めた志願者を含めたあらゆるメディカルスクールの志願者から,全ての科の臨床研修プログラム用に提出された応募文の5.2%において盗用の証拠を明らかにした.
(翻訳:市堰 肇)

レビュー(Reviews)
ナラティブ・レビュー:全身性毛細管漏出症候群
Narrative Review:The Systemic Capillary Leak Syndrome
Kirk M. Druey and Philip R. Greipp
1960に最初に報告されて以来,全身性毛細管漏出症候群(SCLS)は一過性の内皮機能障害によると考えられる血液濃縮,低アルブミン血症を伴う可逆性の血漿の血管外漏出と血管虚脱を示すまれな疾患である.本レビューはSCLSの診断の概観,急性SCLS発作の診療管理と予防の指針となる現在の考えを提供する.
(翻訳:こう康博)
展望(Perspectives)
「オープンノート」:医師と患者が登録中
Open Notes:Doctors and Patients Signing On
Tom Delbanco, Jan Walker, Jonathan D. Darer, Joann G. Elmore, Henry J. Feldman, Suzanne G. Leveille, James D. Ralston, Stephen E. Ross, Elisabeth Vodicka, and Valerie D. Weber
情報テクノロジーが診療記録へのアクセスを容易にし,社会もその透明性を要求するようになるにつれ,患者は医師の診療録を読みこなす能力を高めさらにその内容に興味をもつのかもしれない.患者に医師の診療録を含む診療記録へのインターネットを介してのアクセス権を与えることに関し,その実現可能性,利点及び有害性を評価するため,医師や看護師よりなるチームが「オープンノート」と呼ばれるシステムの公開評価実験に既に着手している.この夏3つの州で開始される.「オープンノート」では100人以上のプライマリ・ケア医が自身の患者に,安全に管理されたサイトから診療録を読んでもらう.研究者らはこの研究について記載し,計画段階で交わされた医師や患者との会話から学習した内容の共有に努める.
(翻訳:西 慎一)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
骨粗鬆症のスクリーニング:U.S. Preventive Services Task Forceの最新エビデンス
Screening for Osteoporosis:An Update for the U.S. Preventive Services Task Force
Heidi D. Nelson, Elizabeth M. Haney, Tracy Dana, Christina Bougatsos, and Roger Chou
このレビューでは,2002年のU.S. Preventive Services Task Force(訳注:米国予防医療サービス専門作業部会)の骨粗鬆症のスクリーニングの勧告以降に得られたエビデンスを要約して,最新の勧告を情報提供している.スクリーニング試験は公表されていなかった.エビデンスはリスク評価機器が低骨密度や骨折,二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)が両性別においても同様に骨折を予測し,踵骨超音波検査が骨折を予想するが,DEXAとの関連性が乏しいことを示している.試験では,ビスホスフォネート,副甲状腺ホルモン,ラロキシフェン,そして,エストロゲンが女性における初発の脊椎骨折の予防となることを示している.予防的試験は男性においてはなされていない.女性に対する研究が大部分であるが,間接的エビデンスが,骨粗鬆症スクリーニングの勧告に現時点では最も有用である.
(翻訳:金原秀雄)
論評(Editorials)
コンテクストエラー
Contextual Errors
Michael A. LaCombe
この号で,Weinerと同僚らは,適切な患者ケアを計画する上で不可欠である患者を取りまく環境と患者の行動を見落とす際に生じる「コンテクストエラー」の頻度と周囲の状況を評価する.この論評では論文の研究結果を議論し,医学教育への意味合いを提言し,論説者らの印象的だったコンテクストエラーを共有する.
(翻訳:浦野哲哉)


自己紹介文における盗用:憂慮すべき深刻な傾向のひとつの兆候
Plagiarism on Personal Statements:A Disturbing Symptom of a Broader Trend
Maxine A. Papadakis and David Wofsy
本稿でSegalらは5つの臨床研修プログラムに応募した申請者のうち5%を越える自己紹介文に盗用の証拠があると報告した.この論評では盗用の問題は品位の欠如という根深い問題の兆候のひとつであると捕らえており,面接の標準化を通して申請者の将来性を評価できるような新しい選別方法に改良するように提案する.
(翻訳:大島康雄)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
ホームレスにおける終末期ケアプランへの介入と事前指示書の完成
End-of-Life Planning Intervention and the Completion of Advance Directives in Homeless Persons
(翻訳:赤真秀人)
ACP Journal Club
レビュー:チオトロピウムは慢性閉塞性肺疾患の心血管イベントのリスクを増加させない.
Review:Tiotropium does not increase risk for cardiovascular events in chronic obstructive pulmonary disease
臭化イプラトロピウムの最近の使用は慢性閉塞性肺疾患の心血管イベントのリスクを増加させた.
Recent use of ipratropium bromide increased risk for cardiovascular events in chronic obstructive pulmonary disease
2型糖尿病において,厳格な血圧コントロールは標準的な血圧コントロール以上には主な心血管イベントを予防しなかった.
Intensive blood pressure control did not prevent major CV events more than standard control in type 2 diabetes
2型糖尿病において,フェノフィブラートとシンバスタチンの併用はシンバスタチン単独治療以上には主な心血管イベントを予防しなかった.
Fenofibrate plus simvastatin did not prevent major CV events more than simvastatin alone in type 2 diabetes
レビュー:経腸栄養は中心静脈栄養以上に急性膵炎における死亡率,多臓器不全,全身性感染症を減少させる.
Review:Enteral nutrition reduces mortality, multiple organ failure, and systemic infection more than TPN in acute pancreatitis
レビュー:ヘパリンと機械的圧迫法は術後の深部静脈血栓症リスクを同程度に減少させるが,ヘパリンは出血を増加させる.
Review:Heparin and mechanical compression are similar in reducing postsurgical VTE risk, but heparin increases bleeding
集学的治療にNT-proBNPガイド下の管理を加えることで心不全による再入院日数が減少した.
Adding NT-proBNP-guided management to multidisciplinary care reduced heart failure rehospitalization days
レビュー:メトホルミンは2型糖尿病において乳酸アシドーシスのリスクを増加しない.
Review:Metformin does not increase risk for lactic acidosis in type 2 diabetes
子供と若年者に対するインフルエンザワクチン接種はワクチン未接種の母集団においてインフルエンザ感染を減少させた.
Influenza vaccination of children and adolescents decreased influenza infection in nonvaccinated community members
ラソフォキシフェンは骨粗鬆症を有する閉経後女性の脊椎骨折を減少させた.
Lasofoxifene reduced vertebral fractures in postmenopausal women with osteoporosis
磁気共鳴血管造影と静脈造影は肺塞栓症の診断に鋭敏ではあったが,技術的な適切性に欠けていた.
Magnetic resonance angiography and venography were sensitive but had poor technical adequacy for diagnosing pulmonary embolism
正常高値のグリコヘモグロビン値は成人において糖尿病,心血管疾患,脳卒中,死亡率と関連していた.
Higher "normal" glycated hemoglobin levels were associated with increased risk for diabetes, CVD, stroke, and mortality in adults
用語集
Glossary
(翻訳:笠巻祐二)

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