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原著(ARTICLE)
青年期にみられる至適でない脂質値とその後の冠動脈石灰化:CARDIA(青年期の冠疾患リスク発現)研究
Nonoptimal Lipids Commonly Present in Young Adults and Coronary Calcium Later in Life: The CARDIA (Coronary Artery Risk Development in Young Adults) Study
Mark J. Pletcher, MD, MPH; Kirsten Bibbins-Domingo, PhD, MD; Kiang Liu, PhD; Steve Sidney, MD, MPH; Feng Lin, MS; Eric Vittinghoff, PhD; and Stephen B. Hulley, MD, MPH
3 August 2010 | Volume 153 Issue 3 | Pages 137-146
背景: 脂質異常症は中年期から老年期の成人で冠動脈疾患を引き起こすが,青年期の脂質暴露との因果関係は不明である.

目的: 青年期の至適でない脂質値が,中年期に持続して動脈硬化性変化を生じるか否かについて検討する.

研究デザイン: 前向きコホート研究

セッティング: 米国内の4都市

対象: 1985年から1986年にかけてCARDIA(青年期の冠疾患リスク発現)研究のため登録された18歳から30歳までの黒人と白人の男女5,115例中3,258例

測定: 低比重リポプロテイン(LDL)と高比重リポプロテイン(HDL)コレステロール,中性脂肪,冠動脈石灰化.CARDIA研究で20年間繰り返し測定された血清脂質値を用いて,20歳から35歳までの間の時間平均累積暴露脂質レベルを推測した.これらの測定は後年45歳(SD 4)以降に評価された冠動脈石灰化指数と関連付けられた.

結果: 2,824例(87%)が青年期にLDLコレステロール異常値(≥2.59 mmol/L[≥100 mg/dL]),HDLコレステロール異常値(<1.55 mmol/L[<60 mg/dL]),または中性脂肪異常値(≥1.70 mmol/L[≥150 mg/dL])を有した.20年後の冠動脈石灰化の有病率は,至適なLDLコレステロール値(<1.81 mmol/L[<70 mg/dL])に維持された対象例では8%,LDLコレステロール値が4.14 mmol/L(160 mg/dL)以上であった対象例では44%であった(p<0.001).この関連性は,人種および性別が異なっても同様で,35歳以降の曝露脂質レベルや他の冠疾患危険因子を補正した後の冠動脈石灰化のオッズ比はLDLコレステロール値が1.81 mmol/L(<70 mg/dL)未満と比較して,1.81-2.56 mmol/L(70-99 mg/dL)で1.5(95%CI,0.7-3.3),2.59-3.34 mmol/L(100-129 mg/dL)で2.4(CI,1.1-5.3),3.37-4.12 mmol/L(130-159 mg/dL)で3.3(CI,1.3-7.8),4.14 mmol/L(160 mg/dL)またはそれ以上で 5.6(CI,2.0-16)であった.LDLとHDLコレステロール値は,ともに脂質降下薬物治療を受けている者や臨床的な脂質異常を有する者を除外した研究対象で冠動脈石灰化と独立した関連を示した.

研究の限界: 冠動脈石灰化は将来の冠動脈疾患の有力な推測因子であるが,臨床アウトカムではない.

結論: 青年期の至適でないLDLとHDLコレステロール値は,20年後の冠動脈硬化症に独立して関連する.

主たる資金提供源: National Heart, Lung, and Blood Institute(訳注:米国立心肺血液研究所)

(翻訳:新沼廣幸)

English Abstract

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