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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
血清脂質値の異常は若年成人において有害か?
Are Abnormal Lipid Levels Harmful in Young Adults?
3 August 2010 | Volume 153 Issue 3 | Pages I-25
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
脂質とは,“善玉”,“悪玉”コレステロールや中性脂肪などの正常なからだの代謝の一部として血液中を循環している脂肪のことです.脂質異常は心臓発作や脳卒中を引き起こす動脈硬化や血管壁の肥厚を生ずる傾向を強くする恐れがあります.動脈硬化のある人は,時々動脈壁にカルシウムが蓄積しています.特殊なCTスキャンを用いると心臓の血管(冠状動脈)内のカルシウムを検出できます.冠状動脈の中に多くのカルシウムが沈着している人は心臓発作や脳卒中になりやすい傾向にあります.中年期での脂質異常は,冠状動脈にカルシウムの沈着を生じ,心臓発作を生ずることが知られています.しかしながら,若年期での脂質異常が有害かどうかについては明らかではありません.なぜならば,心臓発作を発症する若年成人はほとんどいないからです.若年成人期の脂質異常が冠状動脈のカルシウムの沈着に寄与することを示すことができれば,若年成人期の脂質異常は有害であることを示唆します.それは,たとえ短期間では心臓発作の危険が少なくても,より若い人々が健康な生活習慣を維持するように注意すべきことも示唆しています.

この研究の目的は何ですか?
脂質異常のある若年成人が,中年期以降に冠状動脈に石灰化のある傾向が強いか調査することです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
心臓の健康に関する長期の研究に参加した3,258人の若年成人です.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者は,参加者の血清脂質値を15年から20年にわたって測定しました.測定期間の最後には,冠状動脈のカルシウムを測定するためにCTを施行しました.その後に,参加者の冠状動脈の石灰化のある確率を,脂質異常のある人と脂質異常のない人との間で比較しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
若年成人期を通じて血清脂質値の悪い参加者は,中年期以降に冠状動脈の石灰化を認める傾向にありました.

この研究にはどのような限界がありますか?
冠状動脈に石灰化のあるすべての人が心臓発作や他の疾患を発症するわけではありません.ですから,結果は示唆的であり断定的ではありません.研究者が測定した因子以外によってこれらの結果が生じている可能性もあります.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
若年成人期の脂質異常は,中年期以降,冠状動脈の石灰化や動脈硬化を生ずる可能性が高いことが分かりました.20歳から35歳までの若年成人は,何を食べ,どのぐらい運動すればよいかについて知っているべきで―たとえ短期間では心臓発作の危険が少なくても―健康的な食生活や運動を中年期まで延期すべきではありません.

(翻訳:加藤秀章)

English Abstract

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