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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
2年間にわたる減量の比較―低炭水化物食か低脂肪食か―
Comparison of Weight Loss at 2 Years on a Low-Carbohydrate Versus Low-Fat Diet
3 August 2010 | Volume 153 Issue 3 | Pages I-35
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
低炭水化物食は,減量を望む人々の間で人気があります.過去の研究では,低炭水化物食では低脂肪食に比べ,より早く減量できることが示唆されていますが,1年後の時点でははっきりした差はありません.加えて,1年以降の減量は小幅になる傾向にあります.しかしながら,これらの研究には,患者さんの生活スタイルの変容を助ける行動療法プログラムが含まれていません.食事に行動療法プログラムを組み合わせると,さらなる減量が可能になるかもしれません.

この研究の目的は何ですか?
低炭水化物食群と低脂肪食群に分け,それぞれ生活スタイルの変容を助けるプログラムを組み合わせ,2年後に減量について比較しました.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
Body Mass Index(BMI)30〜40kg/m2の307名です.BMIとは,適切な体重の指標で,キログラム単位で表した体重を,メートル単位で表した身長の二乗で割って算出されます.BMI計算機は,National Heart, Lung, and Blood Institute(訳注:米国立心肺血液研究所)で入手できます(www.nhlbisupport.com/bmi).標準BMIは18.5〜24.9 kg/m2で,25〜29.9 kg/m2は過体重となり,30 kg/m2以上は肥満となります.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者らは,患者さんを,低炭水化物食を摂る群あるいは低脂肪食を摂る群に分けました.低炭水化物食群は,毎日20グラム以下の炭水化物を3か月にわたり摂取し,その後は,それぞれが望む体重に達するまで,毎週5グラムずつ炭水化物の摂取量を増加させました.低脂肪食群は,摂取カロリーを1200〜1800kcalまで減らし,脂肪が総カロリーの30%を超えないようにしました.すべての患者さんが,運動や他の生活習慣を変容させる教育プログラムに参加しました.このプログラムは,20週間は週1回行われ,その後の20週間は隔週となり,さらに月1回となって2年間継続しました.研究者らは,開始時と3,6,12,24か月後に体重についての情報を集めました.また,コレステロール値,血圧,骨密度,有害事象についての情報も集めました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
2年後に,患者は平均して7kg(7%)減量しました.2群に有意な差はありませんでした.低炭水化物食群は,2年後の比較で,心血管病のリスクにおいては,低脂肪食より好ましいという結果でした.

この研究にはどのような限界がありますか?
この研究には,脂質異常症や糖尿病の患者さんが含まれておらず,この結果はそのような患者さんにはあてはまらないかもしれません.また2年間で多くの脱落者を出しました.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
低炭水化物食でも低脂肪食でも,生活スタイルの変容を助けるプログラムを組み合わせると,2年後には,同程度の減量を達成することができました.さらに,低炭水化物食群は,心血管病のリスクのすべてではありませんが,一部のリスクを多少は改善させるかもしれません.しかし,これらの改善が将来の心血管病の進展に影響するかどうかは明らかではありません.

(翻訳:櫻井政寿)

English Abstract

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