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原著(ARTICLE)
ClinicalTrials.govに登録された薬物試験における結果報告
Outcome Reporting Among Drug Trials Registered in ClinicalTrials.gov
Florence T. Bourgeois, MD, MPH; Srinivas Murthy, MD; and Kenneth D. Mandl, MD, MPH
3 August 2010 | Volume 153 Issue 3 | Pages 158-166
背景: 臨床試験実施過程と結果の透明性を促進するために,臨床試験登録が広く行われている.

目的: ClinicalTrials.gov(訳者注:1997年のFDA Modernization Actの法案成立に伴い,米国National Institutes of Health[訳注:国立衛生研究所]がFDA[訳注:米国食品医薬品局]との協同の元にNational Library of Medicine[訳注:米国国立医学図書館]を通じて展開してきたウェブ・サイト.米国内のみならず世界各地の政府および個人・企業が支援する広範な疾患および状態に関する臨床試験について最新の情報が提供されている.http://clinicaltrials.gov/ct2/homeに登録された薬物試験の性質を記述し,これら試験の資金提供源が試験薬剤への好ましい結果と関連があるか否かを検討した.

研究デザイン: 2000年から2006年の間に行われたコレステロール低下薬・抗うつ薬・抗精神病薬・プロトンポンプ阻害薬・血管拡張薬の安全性と有効性に関する臨床試験に関する観察研究

セッティング: ClinicalTrials.gov,1999年に導入されたインターネット・ウェブを基盤に展開されている臨床試験レジストリー

測定: 観察対象とした5つの薬物カテゴリーに関する試験の出版論文を確認し,試験記録と論文から試験登録のタイミング・試験デザインの各要素・資金提供源・出版日付・試験結果といったデータを抽出した.主たる資金提供源を企業・政府機関・非営利組織または非政府組織に分けて評価を行った.

結果: 546試験のうち,346試験(63%)で企業が,74試験(14%)で政府機関,126試験(23%)で非営利組織・非政府組織が主たる資金提供源であった.企業が資金提供した試験は第3相または第4相試験がより多く(88.7%;P<0.001 他の群と比較して),比較試験においては実薬を対照とする割合が高く(36.8%;P<0.001 他の群と比較して)多施設研究がより多く(89.0%;P<0.001 他の群と比較して),試験登録者数がより多かった(サンプルサイズ中央値306名;P<0.001 他の群と比較して).全体として362試験(66.3%)が結果を公表している.企業が資金提供した試験の85.4%が試験薬剤に好ましい結果を報告しているのに対して,政府が提供した試験では50.0%,非営利組織・非政府組織が提供した試験では71.9%であった(p<0.001).非営利組織・非政府組織からの資金提供であっても,企業が関与した非営利・非政府資金源から資金提供を受けた臨床試験では,企業が関係していない組織からの資金提供を受けている場合にくらべて好ましい結果がより多く報告されていた(85.0%対61.2%,P=0.013).試験完了後24ヶ月以内に試験結果が出版された割合は,企業が資金提供した試験の32.4%から企業が関与しない非営利組織・非政府組織が資金提供した試験の56.2%と幅があった(P=0.005 他の群と比較して).

研究の限界: 臨床試験の出版状況は必ずしも確定できなかった.この結果,分類の誤りが生じた可能性がある.資金提供源と試験結果報告との関連に関わる因子をさらに調査するための試験プロトコルや包括的な試験結果に関する追加情報を入手することはできなかった.

結論: 本研究で検討した登録薬物試験のサンプルにおいて,企業に資金提供を受けた試験は他の資金源から資金提供を受けた試験に比べて,試験完了後2年以内に出版される割合が低く,試験対象薬に好ましい結果を報告する割合が高かった.

主たる資金提供源: National Library of Medicine(訳注:米国国立医学図書館)and National Institute of Child Health and Human Development(訳注:[米]国立小児保健発達研究所),National Institutes of Health(訳注:国立衛生研究所).

(翻訳:紺谷 真)

English Abstract

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