Journals

原著(ARTICLE)
長期人工呼吸器装着患者における介護と医療制度利用の一年間の軌跡:コホート研究
One-Year Trajectories of Care and Resource Utilization for Recipients of Prolonged Mechanical Ventilation: A Cohort Study
Mark Unroe, MD; Jeremy M. Kahn, MD, MSc; Shannon S. Carson, MD; Joseph A. Govert, MD; Tereza Martinu, MD; Shailaja J. Sathy, MD; Alison S. Clay, MD; Jessica Chia, MD; Alice Gray, MD; James A. Tulsky, MD; and Christopher E. Cox, MD, MPH
3 August 2010 | Volume 153 Issue 3 | Pages 167-175
背景: 人工呼吸器装着が長期にわたる重症患者は増加の一途を辿っている.急性期病院から後方支援施設への患者移動や他の医療制度への移行の図式はあまり知られていない.

目的: 長期人工呼吸器装着患者の退院後1年間における介護と医療制度利用の軌跡を表すこと

研究デザイン: 1年間の前向きコホート研究

セッティング: ノースカロライナ州ダラム市のDuke University Medical Center(訳注:デューク大学メディカルセンター)集中治療室内の5ユニット

対象: 気管切開時には4日以上,もしくは非気管切開の場合は21日以上に及ぶ人工呼吸器装着患者126名を,その代理人126名と集中治療担当医54名と共に1年間以上にわたり連続して登録した.

測定: 患者もしくは代理人に,入院中と退院後の3・12か月後に聞き取り調査をおこなった.その際に患者生存,機能分類と退院後の施設様式とその期間を調査した.担当医からは入院中に患者予後も確認した.各施設における請求書の控えにより急性期治療と外来治療や施設内移動を算出した.メディケアの請求資料からは急性期治療後の医療経費について分析した.

結果: 103名(82%)の病院生存患者には退院後に総計457か所の施設移動(平均,4施設[四分位範囲,3〜5施設])が行われていた.さらに68名(67%)の患者は少なくとも一度は再入院していた.患者は生存期間のうち平均74%(95%CI,68%〜80%)を病院もしくは後方支援施設で過ごすか,在宅医療助成を受けていた.1年後には11名(9%)の患者がアウトカム良好(機能的にも独立し生存),33名(26%)の患者がアウトカム良(中等度の機能不全ながら生存),82名(65%)の患者がアウトカム不良(全廃ながら生存[4名;21%]もしくは死亡[56名;44%])であった.アウトカムが良好または良の患者群に比べて,アウトカム不良の患者群は高齢で,多臓器合併症を持ち,頻回に後方支援施設に転院する傾向があった(p<0.05総ての群).患者一人あたりの平均医療経費は306,135ドル(SD,285,467ドル)で,集団経費は3810万ドルであった.機能回復にかかわらず生存者ひとりあたりの推定費用は350万ドルに及んだ.

研究の限界: この結論は単独施設の研究成果であり,他の施設に当てはめることは出来ないかもしれない.

結論: 人工呼吸器装着が長期化した患者は複数施設での介護を必要とし,結果として相当な医療経費と深刻かつ長期的な身体障害を残すことになる.生命維持の延長の過程を考慮する際の楽観的な代理人の意思決定には,これらの結果を参照して調和を図るべきと思われた.

主たる資金提供源: なし.

(翻訳:中村浩士)

English Abstract

▲このページのTOPへ