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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
平均より長く人工呼吸器が必要な患者に何が起きるのか
What Happens to People Who Need a Breathing Machine for More Than a Few Days?
3 August 2010 | Volume 153 Issue 3 | Pages I-56
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
人工呼吸器は,集中治療室(ICU)で行われる重要な治療です.ICUで治療される患者さんは,良くなるためにできるかぎりのことをしたいと考え,望みをあきらめたくないので,あるいは医師が人工呼吸器は一時的であると説明するため,人工呼吸器による治療を選択することがしばしばあります.人工呼吸器の治療が1,2週間以上必要な場合は,医師は小さな穴をその人ののどにあけることを勧めます(気管切開術).のどにあけた穴から気管にチューブを挿入して,人工呼吸器による治療をすることは,おそらく患者さんにとって苦痛は少なく,彼らの声帯と気道にとってより安全ですし,その穴はチューブが取り外された場合は,自然にふさがります.しかし,気管切開後に,一部の患者さんは,全身状態が十分に改善し,ICUを出て退院可能となっても,人工呼吸器を必要とします.医師たちの間では,人工呼吸器を外すことができるかどうかに関係なく,平均より長く人工呼吸器を必要とする患者さんは,回復が困難であると長い間考えられてきました.しかし,そのような患者さんの医学的な情報は,研究されてきませんでした.

この研究の目的は何ですか?
平均より長く人工呼吸器が必要な患者さんが,最初の治療から1年後にどのようになるかを調査しました.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
デューク大学メディカルセンターの5つのICUで治療された126人について調査されました.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者は,最初に,ICUで,平均より長く人工呼吸器を必要とする患者さんや,気管切開を受けた患者さんを確認しました.彼らがその後どのようにしているかについて知るために,3か月後と1年後に患者さんまたは家族と面談し,医療記録から治療についての情報を収集しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
調査された患者さん達の病状は概してよいものではありませんでした.患者さん達のおよそ3分の1は,人工呼吸器を取り外すことはできませんでした.56人は死亡していました.そして,1年後に生存していて自立した生活が可能だったのは,わずか11人でした.医師達はそれらの11人の患者さんの経過が良いと予測していました.その他の多くの患者さん達も状態が改善していると予測されていましたが,そのほとんどは十分に生活ができていませんでした.大部分の人々は,追加的な治療のため,施設と病院との間で入退院を繰り返していました.この患者さん達の治療には,年間約350万ドルがかかりました.

この研究にはどのような限界がありますか?
調査された患者さん達は,単一の医療センター病院で治療をされました.他の施設または地域で違う治療が行われた場合は異なった結果が出る可能性があります.一部の研究結果は,研究者によって報告されていますが,検証できなかったり,検証されていなかったりしています.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
最初の病気による治療のため平均よりはるかに長く人工呼吸器を必要とする患者さんは,その後に深刻な状態となります.彼らが生還したとしても,しばしば深刻な障がいにより,様々な治療や介護を必要とします.好ましい結果を望んでいる患者さんや家族と医師は,人工呼吸器を開始する時や,長期間使い続けなければいけない時,この研究結果を考慮しなければなりません.

(翻訳:松田正典)

English Abstract

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