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NIHカンファレンス(NIH Conferences)
系統的レビュー:高齢者の認知機能低下のリスクおよび実行可能な予防策に関連した要因について
Systematic Review: Factors Associated With Risk for and Possible Prevention of Cognitive Decline in Later Life
Brenda L. Plassman, PhD; John W. Williams Jr., MD, MHSc; James R. Burke, MD, PhD; Tracey Holsinger, MD; and Sophiya Benjamin, MD
3 August 2010 | Volume 153 Issue 3 | Pages 182-193
背景: 多くの生物学的,行動学的,社会的,環境的な要因が,認知機能低下の遅延または予防に寄与するかもしれない.

目的: 高齢成人の認知機能低下に対する推測上のリスクおよび防御要因についてのエビデンスを要約すること,および認知機能を保持するために行われることの効果についてのエビデンスを要約すること

情報源: MEDLINE,HuGEpedia(訳注:ヒトゲノム疫学ネットワーク百科事典),AlzGene(訳注:アルツハイマー病遺伝子データベース),コクランライブラリーデータベースに収載された,1984年から2009年10月27日までに英語で発表された系統的レビュー記事.

研究の選択: 参加者300名以上の観察研究,および50歳以上の一般人を対象とし,少なくとも1年以上フォローされている成人参加者が50名以上の無作為化比較試験を選択した.適切かつ高規格な系統的レビューであれば,それも適格とした.

データ抽出: 1人の研究者が,研究デザインや結果,質に関する情報を抽出し,他の研究者が確認した.エビデンスの質に関する総体的な評価基準は,GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)criteria(訳注:GradeWorking groupによる医学論文エビデンスレベル評価のための判定基準)を用いて割り当てられた.

データ合成: 127件の観察研究と22件の無作為化試験と16件の系統的レビュー(栄養学的要因,医学的要因,薬学・社会学・経済学・行動学的要因,毒物への環境学的な曝露,遺伝学等の学術分野)が調査された.いくつかの要因は,すでに認知機能低下との関連があると支持できる十分なエビデンスがあった.観察研究によると,選択された栄養学的因子と認知機能・体力と他のレジャー活動との関係は不十分であった.現在のタバコ使用量・アポリポプロテインEイプシロン4遺伝型・ある医学的状況は,リスク増強と関連していた.1つの無作為化試験によれば,小さいが持続する有益な効果が認知機能訓練によって得られることがわかった(良質のエビデンスあり).また,ある小規模の無作為化試験では,身体的運動によって認知機能が維持されるということが報告されている.

研究の限界: 曝露に関する分類法や定義が一様ではなかった.いくつかの研究によれば,特殊な曝露と認知機能低下の間に何らかの関係があると演繹的に評価できるようデザインされていた.レビューは英語で書かれた論文しかあたっていないこと,分類別の結果(アウトカム)が優先されていること,小規模な研究は無視していることから,解釈が限定される.

結論: いくつかの重要となりうる有益な要因が,認知機能低下のリスクあるいは防御因子に関するエビデンスの解析からわかった.しかし,そのエビデンスの総体的な質は低いといわざるをえない.

主たる資金提供源: Agency for Healthcare Research and Quality(訳注:米国ヘルスケア研究・品質局-AHRQ),National Institute of Aging(訳注:[米]国立老化研究所),Office of Medical Applications of Research, National Institutes of Health(訳注:[米]国立衛生研究所の研究医学適応局)を通じて支出された.

(翻訳:西岡亮治)

English Abstract

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