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(更新日 2010年8月30日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
17 August 2010 Volume 153 Issue 4
(監修:松浦喜房,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
医療過誤開示プログラム施行前後における賠償責任の要求と費用の変化
Liability Claims and Costs Before and After Implementation of a Medical Error Disclosure Program
Allen Kachalia, Samuel R. Kaufman, Richard Boothman, Susan Anderson, Kathleen Welch, Sanjay Saint, and Mary A.M. Rogers
ミシガン大学ヘルスシステムは,2001年より医療過誤を完全に開示し,患者に補償を提供している.他のヘルスシステムは,医療過誤を開示することにより事態がより悪化することを恐れ,同様なプログラムを採用することをためらっている.この研究により,同プログラム施行後,施行前と比べ,新たな賠償責任請求の件数,月あたりの訴訟件数,解決までの時間,費用がいずれも減少していることが判明した.これは,賠償責任の要求と費用を増加させることなく,補償つきの医療過誤の開示が可能であることを示している.
(翻訳:井口光孝)
移植腎の虚血後機能不全を予防するための臓器ドナーへのステロイド前投与:無作為化比較試験
Steroid Pretreatment of Organ Donors to Prevent Postischemic Renal Allograft Failure: A Randomized, Controlled Trial
Alexander Kainz, Julia Wilflingseder, Christa Mitterbauer, Maria Haller, Christopher Burghuber, Paul Perco, Robert M. Langer, Georg Heinze, and Rainer Oberbauer
献腎ドナーからの移植腎のレシピエントでは透析療法を要する急性腎不全の頻度が高い.今回の多施設研究では無作為に献腎ドナーを生理食塩水あるいはメチルプレドニゾロンを臓器摘出の少なくとも3時間前までに経静脈的に投与し,メチルプレドニゾロンの前投与が腎移植レシピエントにおける急性腎不全の発症頻度や持続期間を減少させるか否かについて検討した.メチルプレドニゾロンの前投与がなされた移植腎では腎生検所見上免疫反応と炎症所見の抑制がみられたが,急性腎不全はメチルプレドニゾロン前投与群および生理食塩水前投与群の両群の腎移植レシピエントにおいて,同様に認められた.
(翻訳:田村功一)
慢性C型肝炎ウイルス感染患者の診療の質:コホート研究
Quality of Care in Patients With Chronic Hepatitis C Virus Infection: A Cohort Study
Fasiha Kanwal, Mark S. Schnitzler, Bruce R. Bacon, Tuyen Hoang, Paula M. Buchanan, and Steven M. Asch
メディケアは最近,慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者の診療の質を評価する基準を提案した.この指標を用いて行った国内データの分析において,HCV感染患者のうちたった20%しか推奨された医療を受けていなかった.実施率がもっとも低かったのはワクチン接種率であり,もっとも高かったのは,HCVのジェノタイプ分析であった.注目すべき点として,総合診療医と専門医の双方から治療を受けている患者は,それぞれ単独の治療を受けている患者よりも,より高い確率で推奨された医療をうけている傾向が見られた.このことは総合診療医と専門医の協同が,HCV感染患者の診療の質向上につながる可能性があることを示唆している.
(翻訳:山本智清)
医学と臨床(Academia and Clinic)
事前ケア計画における「計画」の再定義:終末期の意思決定に備える
Redefining the "Planning" in Advance Care Planning: Preparing for End-of-Life Decision Making
Rebecca L. Sudore and Terri R. Fried
従来の終末期ケア計画は,いよいよ具合が悪くなる前に,患者が治療に関する決定を下しておくことを目的としていたのであるが,多くの人にとって,終末期に自分がどのような医学的介入を望むかを予測するのは困難であった.本稿の著者らは,これに代わる終末期ケア計画へのアプローチを提唱している.そのアプローチとは,患者とその関係者が,特定の介入に関して事前に決定しておくのではなく,可能な限り最良な医学的判断をその瞬間に下せることに注目したものである.著者らは,外来診療の際にこの新しいアプローチを行うために,臨床家がとることのできる現実的な手法について概説している.
(翻訳:泉谷昌志)

レビュー(Reviews)
ナラティブ・レビュー:人工呼吸器による呼吸筋筋力低下
Narrative Review: Ventilator-Induced Respiratory Muscle Weakness
Martin J. Tobin, Franco Laghi, and Amal Jubran
人工呼吸療法は肺実質および呼吸筋に対して力学的な影響を及ぼし,結果として肺損傷をきたすことがある.本レビューでは,動物実験モデルおよび人での人工呼吸器による呼吸筋損傷のエビデンスについて論じ,また臨床でのマネジメントについても触れている.筆者らは,臨床医は人工呼吸器の設定を調整する際には気道内圧波形の曲線を注視するよう提案している.
(翻訳:松木薗和也)
系統的レビュー:回旋筋腱板断裂に対する非手術と手術治療
Systematic Review: Nonoperative and Operative Treatments for Rotator Cuff Tears
Jennifer C. Seida, Claire LeBlanc, Janine R. Schouten, Shima S. Mousavi, Lisa Hartling, Ben Vandermeer, Lisa Tjosvold, and David M. Sheps
Agency for Healthcare Research and Quality(訳注;米国ヘルスケア研究・品質局−AHRQ)による比較効果イニシアチブの支援で行われた系統的レビューが,回旋筋腱板断裂に対する手術と非手術治療のエビデンスを示す137の研究を確認した.エビデンスは,回旋筋腱板断裂の患者が数回の手術や非手術治療の後に,機能の改善を示していたが,多くの治療のエビデンスは弱いものであった.その上,比較データがわずかで,よりよい治療を明らかにすることができなかった.
(翻訳:金澤雅人)
展望(Perspectives)
ハイチ地震後の大学病院の医療提供
An Academic Center's Delivery of Care After the Haitian Earthquake
Amir K. Jaffer, Rafael E. Campo, Greg Gaski, Mario Reyes, Ralf Gebhard, Enrique Ginzburg, Michael A. Kolber, John Macdonald, Steven Falcone, Barth A. Green, Lazara Barreras-Pagan, and William W. O'Neill
Miami大学Miller医学部とプロジェクトMedishareは,2010年1月12日の地震後,ハイチにおける大規模な救援活動を展開した.自然災害に近接する大学病院は,固有の医療資源の動員,公的な組織的監視を伴う在宅や現場での集中管理チームの確立,政府と民間の救援組織の協力関係などを含む組織的なプロセスを通して,効果的な医療活動の実施を支援することができる.
(翻訳:吉田 博)
論評(Editorials)
訴訟を伴わない患者の補償:期待できる進展
Patient Compensation Without Litigation: A Promising Development
A. Russell Localio
最近の訴訟では,漏洩されることのない過誤報告(confidential error reporting)を介して患者の安全性を促すことが求められているが,米国の過失・無過失傷害補償システムは依然として機能していない.この号でKachaliaと同僚らは,医療過誤の公開と被害患者への補償に関するミシガン大学ヘルスシステムモデルを示している.この論説では論文の知見と意味を考察するが,これらの知見を確かめ,他の機関へも同様のプログラムの採用を促すためには,より多くの良質なデータが必要であると結論づけている.
(翻訳:勝田秀紀)


利益相反開示のさらなる統一を目指して:ICMJE利益相反報告書式の改訂
Toward More Uniform Conflict Disclosures: The Updated ICMJE Conflict of Interest Reporting Form
Jeffrey M. Drazen, Peter W. de Leeuw, Christine Laine, Cynthia D. Mulrow, Catherine D. DeAngelis, Frank A. Frizelle, Fiona Godlee, Charlotte Haug, Paul C. Hébert, Astrid James, Sheldon Kotzin, Ana Marusic, Humberto Reyes, Jacob Rosenberg, Peush Sahni, Martin B. Van Der Weyden, and Getu Zhaori
The International Committee of Medical Journal Editors(訳注:医学雑誌編集者国際委員会-ICMJE)は2009年10月に利益相反開示の統一書式を公開した.ICMJE加盟雑誌は書式を導き,他の雑誌にも利用を促し,そしてフィードバックを求めた.最新の会議において,委員会は受理された貴重な意見を検討し書式を改訂した.この論評ではwww.icmje.orgで入手できる改訂版の書式について論ずる.
(翻訳:土屋直隆)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
患者に対して過誤を認めることは訴訟増加につながるでしょうか?
Does Admitting Mistakes to Patients Lead to More Lawsuits?
(翻訳:湯地晃一郎)
ACP Journal Club
レビュー:関節洗浄は変形性膝関節炎の疼痛軽減にも機能改善にも有効ではない.
Review: Joint lavage does not reduce pain or improve function in knee osteoarthritis
レビュー:BNP(B型ナトリウム利尿ペプチド)レベルを指標に治療を行うことで,慢性心不全の死亡率は減少する.
Review: Therapy guided by B-type natriuretic peptide levels reduces mortality in chronic heart failure
心房細動における心血管イベントの発生予防に関して,レートコントロールをゆるやかに行うことは,厳格にコントロールを行うことと比較してほとんど同様の効果である.
Lenient rate control is as effective as strict rate control for preventing cardiovascular events in AF
肺癌のスクリーニングにおいて偽陽性となる可能性は,低線量CTの方が胸部X線検査よりも高かった.
Low-dose computed tomography was associated with higher risk for false-positive lung cancer screening than chest radiography
アミルメタクレゾールや2,4-ジクロロベンジルアルコールのトローチは,急性咽頭痛の改善にプラセボよりも有効であった.
Amylmetacresol and 2, 4-dichlorobenzyl alcohol lozenges were better than placebo lozenges for relief of acute sore throat
テラプレビル併用療法は治療無反応の慢性C型肝炎ウイルス感染において持続的なウイルス陰性化を示した.
Telaprevir combination therapy induced a sustained virologic response in nonresponsive chronic HCV infection
リファキシミンは,肝硬変患者において肝性脳症からの寛解をプラセボ群よりも長期に維持した.
Rifaximin maintained remission from hepatic encephalopathy longer than placebo in patients with cirrhosis
早期気管切開は,急性呼吸不全に対して呼吸器導入となった成人の呼吸器関連性肺炎(VAP)の発生率を減少させなかった.
Early tracheotomy did not reduce ventilator-associated pneumonia in adults ventilated for acute respiratory failure
デキサメタゾンの使用は細菌性髄膜炎の死亡率や神経後遺症の発生率を減少させなかった.
Dexamethasone did not reduce mortality or neurologic sequelae in bacterial meningitis
臨床および住民の母集団における2型糖尿病はHb A1c値5.5%以下を除外し7.0%以上を含めた.
HbA1c levels ≤ 5.5% ruled out, and levels ≥ 7.0% ruled in, type 2 diabetes in clinical and community populations
レビュー:クリニカルパスは院内合併症の発生率を減少させるが,院内死亡率や再入院率を減少させない.
Review: Clinical pathways reduce in-hospital complications but not in-hospital mortality or readmissions
レビュー:持続的腰痛や機能障害のある腰痛の進展を予測する方法が存在する.
Review: Some instruments predict development of persistent, disabling low back pain
用語集
Glossary
(翻訳:駒井俊彦)

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