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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
患者さんに対して過誤を認めることは訴訟増加につながるでしょうか?
Does Admitting Mistakes to Patients Lead to More Lawsuits?
17 August 2010 | Volume 153 Issue 4 | Pages I-28
「患者さんへのまとめ」は,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
医療において過誤はしばしば生じます.医療過誤で訴えられる恐れ,あるいはきまりの悪さから,医師と病院は過誤を認めることに対して伝統的に消極的でした.しかしながら近年,安全と医療の質を改善するのに過誤は良い機会であることを医師は認識しつつあります.2001年から,ミシガン大学ヘルスシステム(University of Michigan Health System:UMHS)は,全ての医療従事者に対し,自らが犯した,あるいは目撃した過誤を報告することを推奨しています.UMHSはまた,過誤が起こったこと,誰が過誤を起こしたか,どのように生じたか,を患者さんとご家族に伝える方策を有しています.もし内部調査で,過誤により生じた障害に対し医師に過失があると判断した場合,このシステムは患者さんやご家族に経済的補償を提案します.この方策は,誠実さと医療の質を向上させますが,一方で,開示された過誤に対してもし患者さん・ご家族・弁護士がより多くの補償を結果として求めるならば,UMHSにとって高くつく可能性があります.

この研究の目的は何ですか?
UMHSに過失がある場合に,過誤を患者さんに開示し補償を提示する方策の導入後,法的請求と費用がどう変化したかを評価するためです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
研究者らは患者さんを研究したわけではありません.代わりに,彼らはUMHSに対する法的請求数と費用について調査しました.

どのような研究が行われましたか?
補償を求める新たな法的請求の数,実際に補償された補償の数,請求が和解に至るまでの期間,請求に関する大学側の費用負担について研究者らは調査しました.彼らは方策の導入前,導入後それぞれについて調査結果を比較しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
すべての研究調査の結果(補償を求める新たな法的請求の数,実際に補償された補償の数,請求から和解に至るまでの期間,請求に関する大学側の費用負担)が,導入前に比べて導入後に減少していました.

この研究にはどのような限界がありますか?
ミシガン州における法的請求数は本研究の後半期間で一般的に減少傾向であったため,UMHSプログラムの導入が変化に特定の影響を与えたかどうか言及するのは不可能です.UMHSの医師らは,医療過誤保険が大学によって支払われている被雇用者です.本研究は,個人診療所開設の開業医,あるいは雇用者であり自分で医療過誤保険を支払っている医師にはあてはまりません.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
医療過誤が生じたとき患者さんにそれを伝え,障害に対して補償を提示する方策を,米国の主要医療施設がとった時期に,法的請求数と費用は減少しました.そのような方策が必ずしもより多くの医療訴訟と法的費用を生じさせる訳ではないことを本研究の結果は示唆しています.

(翻訳:湯地晃一郎)

English Abstract

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