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原著(ARTICLE)
移植腎の虚血後機能不全を予防するための臓器ドナーへのステロイド前投与:無作為化比較試験
Steroid Pretreatment of Organ Donors to Prevent Postischemic Renal Allograft Failure: A Randomized, Controlled Trial
Alexander Kainz, PhD; Julia Wilflingseder, PhD; Christa Mitterbauer, MD; Maria Haller, MD; Christopher Burghuber, MD; Paul Perco, PhD; Robert M. Langer, MD, PhD; Georg Heinze, PhD; and Rainer Oberbauer, MD, MSc
17 August 2010 | Volume 153 Issue 4 | Pages 222-230
背景: 移植後急性腎不全は献腎ドナーからの移植腎のレシピエントの約25%に発症する.移植腎における炎症と急性腎不全のリスクとの関連性が指摘されている.

目的: 献腎ドナーへの副腎皮質ステロイド投与が,プラセボと比較して,腎移植レシピエントにおける急性腎不全の発症頻度や持続期間を減少させるかどうかについて検討する.

研究デザイン: コンピューターでブロック別無作為化を行い,中央主導で割り付けを行った並列の無作為化試験であり,2006年2月から2008年11月にかけて行われた.研究者らにはどの群に割り付けられたかは伏せられていた.(Controlled-trials.com registration number:ISRCTN78828338)

セッティング: オーストリアとハンガリーにある3つの腎移植施設.

患者: 脳死ドナー306名および腎移植レシピエント455名.

介入: 臓器摘出の少なくとも3時間前までに,献腎ドナーはメチルプレドニゾロン1000 mg(136ドナー)あるいはプラセボ(0.9%生理食塩水)(133ドナー)を経静脈的投与された.

測定: 移植後1週間以内での透析療法の1回以上の施行によって定義された急性腎不全の頻度を1次エンドポイントとした.2次およびその他のエンドポイントには急性腎不全の持続期間や血清クレアチニン濃度曲線が含まれていた.介入による免疫反応や炎症所見の抑制の程度は移植腎組織を用いてゲノムワイドに解析された.

結果: ステロイド投与ドナー群からの腎移植レシピエント238名のうちの52名(22%),およびプラセボ投与ドナー群からの腎移植レシピエント217名のうちの54名(25%)において急性腎不全が発症した(差,3%[95%CI,-11〜5%]).両群において移植後1日目に移植腎が1つずつ失われ,プラセボ群では2日目に心停止によりレシピエント1例が死亡した.急性腎不全の持続期間の中央値は,ステロイド投与群では5日間(四分位範囲,2日間),プラセボ投与群では4日間(四分位範囲,2日間)であった(P=0.31).また,両群は移植後1週間では同様な血清クレアチニン濃度曲線を呈した(P=0.72).さらにゲノムワイド解析の結果では,副腎皮質ステロイド投与を受けた献腎ドナーからの移植腎生検組織における炎症所見と免疫反応の抑制がみられた.

研究の限界: ドナーとレシピエントは白人が主体であり,すべて中央ヨーロッパにある3つの移植施設に由来するために,一般化可能性が制限されうる.

結論: 副腎皮質ステロイド投与による献腎ドナーにおける全身的な炎症抑制は,腎移植レシピエントにおける献腎移植後の急性腎不全の発症頻度および持続期間を軽減しない.

主たる資金提供源: Austrian Science Fund(訳注:オーストリア科学財団-FWF)and Austrian Academy of Science(訳注:オーストリア科学アカデミー)

(翻訳:田村功一)

English Abstract

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