Journals

レビュー(Review)
ナラティブ・レビュー:人工呼吸器による呼吸筋筋力低下
Narrative Review: Ventilator-Induced Respiratory Muscle Weakness
Martin J. Tobin, MD; Franco Laghi, MD; and Amal Jubran, MD
17 August 2010 | Volume 153 Issue 4 | Pages 240-245
 人工呼吸器療法中に肺実質に過剰なストレスが加えられた場合,肺損傷が生じる結果となるということに,臨床医は以前から気づいている.逆に,人工呼吸による呼吸筋に対するストレスが過小な場合にも肺損傷が生じうるというエビデンスも存在する.人工呼吸器の設定調整と薬物投与により,呼吸筋がほぼ(または完全に)活動停止に至る場合がある.動物実験では横隔膜の活動を停止することにより筋線維の重度の損傷や萎縮が生じることが示されている.近年のヒトにおけるデータから,人工呼吸により18時間から69時間横隔膜の活動を完全に停止させると横隔膜断面の筋線維は半数以下に減少することが示された.萎縮性の筋損傷は,酸化ストレスの増加から蛋白分解経路が活性化されることにより生じているようである.人工呼吸器による呼吸筋損傷について科学的に解明されておらず,適切な比較試験を行える段階には至ってはいない.そのため,患者マネジメントにおける具体的な勧告案を示すに至っていない.一方で,臨床医は,患者に過度な呼吸努力を課したり逆に過度に呼吸筋を休めるような設定は避けるようアドバイスされている.人工呼吸器上のモニターの気道内圧波形曲線は患者の呼吸努力の様子を如実に表現しているため,臨床医は人工呼吸器の設定を調整する際はこの波形に慎重に注意を払うようアドバイスされている.人工呼吸器による呼吸筋損傷に関する研究はまだ初期段階であり,今後興味深い領域となろう.

(翻訳:松木薗和也)

English Abstract

▲このページのTOPへ