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原著(ARTICLE)
肝硬変患者におけるグルタミナーゼ遺伝子プロモーター領域の変異と肝性脳症の出現に関して:コホート研究
Variations in the Promoter Region of the Glutaminase Gene and the Development of Hepatic Encephalopathy in Patients With Cirrhosis:A Cohort Study
Manuel Romero-Gómez, MD, PhD; María Jover, PhD; José A. Del Campo, PhD; José L. Royo, PhD; Elena Hoyas, MD; José J. Galán, PhD; Carmina Montoliu, PhD; Eugenia Baccaro, MD; Mónica Guevara, MD, PhD; Juan Córdoba, MD, PhD; Germán Soriano, MD, PhD; José M. Navarro, MD; Carmen Martínez-Sierra, MD, PhD; Lourdes Grande, MD, PhD; Antonio Galindo, MD, PhD; Emilia Mira, PhD; Santos Mañes, PhD; and Agustín Ruiz, MD, PhD
7 September 2010 | Volume 153 Issue 5 | Pages 281-288
背景: 肝性脳症は肝硬変の主要な合併症であり,予後の悪化と関連がある.

目的: 肝硬変患者における肝性脳症の発症の原因となりうるヒトグルタミナーゼ遺伝子の変異を同定すること

研究デザイン: コホート研究

セッティング: スペインの6つの病院の外来

患者: 観察コホートとしての109名の一連の肝硬変患者,実証コホートとしての177名の患者,そして107名の健康対照群

測定: 患者は,脳症発症,肝移植,死亡,ないし研究終了まで3か月または6か月ごとに経過観察を受けた.

結果: 遺伝子学的解析によると,グルタミナーゼ遺伝子のTACCないしCACCハプロタイプが顕性脳症の発現リスクと関連していることが判明した.グルタミナーゼ遺伝子変異検索の結果,遺伝子の繰り返し配列(マイクロサテライト)をプロモーター領域に認めることが明らかになった.平均29.6か月の経過観察期間に,観察コホートのうち28名(25.7%)に脳症が出現した.多変量Coxモデルを使って決定した,独立した予後予測因子は,Child Turcotte Pughステージ(ハザード比 1.6[95%CI,1.29〜1.98];P=0.001),軽微な脳症出現(ハザード比 3.17[CI,1.42〜7.09];P=0.006),2つの長いマイクロサテライト配列を持つこと(ハザード比 3.12[CI,1.39〜7.02];P=0.006)であった.実証コホートにおいて,2つの長いマイクロサテライトを持つことと,顕性脳症の間に関連が認められた(ハザード比 2.1[CI,1.17〜3.79];P=0.012).機能解析を行ったところ,長いマイクロサテライト配列を遺伝子導入した細胞において高いルシフェラーゼ活性を示し,長いマイクロサテライト配列がグルタミナーゼの転写活性を増強させる可能性が示唆された.

研究の限界: 他の遺伝子,アレルの変異が肝性脳症の臨床像に関連している可能性がある.

結論: 本研究は肝硬変患者における脳症出現に関連する遺伝的因子を同定した.

主たる資金提供源: Instituto de Salud Carlos III, Spanish Ministry of Health(訳注:スペイン厚生省 サルーカルロスIII研究所)

(翻訳:今村隆明)

English Abstract

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