Journals

原著(ARTICLE)
財政的誘因が貧困患者を診る病院へ与える影響
The Effect of Financial Incentives on Hospitals That Serve Poor Patients
Ashish K. Jha, MD, MPH; E. John Orav, PhD; and Arnold M. Epstein, MD, MA
7 September 2010 | Volume 153 Issue 5 | Pages 299-306
背景: 医療の質を改善するために病院へ財政的誘因を与えることは一般的に増加しつつあるが,貧困患者をみる病院のそれによる影響はほとんど知られていない.

目的: 医療の質を改善するための財政的誘因が貧困患者のより多い病院に対して,貧困患者のより少ない病院と比べて,どのような影響を与えるかを調査する.

研究デサイン: 後ろ向き研究

セッティング: 米国の病院

対象: Premier Hospital Quality Incentive Demonstration program(訳注:プレミア病院品質インセンティブ・デモンストレーション・プログラム)に参加した251の病院と全国の3,017のサンプル病院

測定: 医療の質に応じた診療報酬システムの病院と財政的誘因を受けていない全国のサンプル病院での貧困患者をみているという指標であるdisproportionate-share index(訳注:不均衡な負担の指標)と,ベースライン時の医療の質,医療の質の改善度,急性心筋梗塞・うっ血性心不全・肺炎における医療の質との関連

結果: 医療の質に応じた診療報酬システムの病院とそうでない全国の病院では,より多くの貧困患者をみる病院のほうがベースライン時は医療の質が劣っていた.disproportionate-share indexが高値だと,急性心筋梗塞と肺炎についてはその後医療の質の改善が見られたが,うっ血性心不全では見られず,財政的誘因を受けている病院の方が全国のサンプル病院よりも改善度が高かった.3年後には,より多くの貧困患者をみて,財政的誘因を受けた病院で3つのすべての疾患における医療の質が貧困患者の少ない病院のレベルに達したのに対し,財政的誘因を受けていない全国のサンプル病院では改善がみられなかった.

研究の限界: Premier Hospital Quality Incentive Demonstration(訳注:プレミア病院品質インセンティブ・デモンストレーション)の病院は典型的ではない可能性があり,これらの結果がすべての病院に当てはまるとは限らない.

結論: 財政的誘因が貧困患者をみる病院と他の病院との間の医療の質の差を広げるということはない.医療の質に応じた診療報酬システムは,貧困患者をみる病院の医療の質を変えるのに有望な戦略であるかもしれない.

主たる資金供給源: Robert Wood Johnson Foundation(訳注:ロバート・ウッド・ジョンソン基金)

(翻訳:今井直彦)

English Abstract

▲このページのTOPへ