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クリニックにて(In the Clinic)
急性副鼻腔炎
Acute Sinusitis
7 September 2010 | Volume 153 Issue 5 | Pages ITC3-1
 アメリカでは毎年何百万人もの人が急性副鼻腔炎に罹患する.急性副鼻腔炎は患者が医療機関を受診する理由の中で最も多いもののひとつであり,年間300万人以上が受診する.鼻腔および副鼻腔両者の症状を引き起こすため,この疾患のより適切な表現は急性鼻副鼻腔炎である.このレビューでは簡素化を目的に鼻副鼻腔炎を副鼻腔炎"という表現を使う.空気で満たされた副鼻腔は4対(前頭洞,上顎洞,篩骨洞,蝶形骨洞)存在する.急性副鼻腔炎は典型的には上顎洞で起こる.副鼻腔炎は症状の期間が4週間より短い場合を急性,4週間から12週間の場合を亜急性,12週間より長い場合を慢性と呼ぶ.副鼻腔炎は鼻詰まりおよび鼻腔閉鎖のために起こると考えられ,通常はウイルス感染もしくはアレルギー性鼻炎によって起こるが,ときには他の刺激によることもある.副鼻腔が炎症を起こし,粘液が適切に排出されないと,細菌やまれには真菌が繁殖しやすい環境ができる.特にアレルギーや喘息をもち慢性的な鼻閉があるひとは急性副鼻腔炎にかかりやすいかもしれない.しかし,そのような状態でなくても誰でもかかる可能性はある.急性副鼻腔炎を考えさせる症状としては,頭痛,鼻閉感,顔面痛,疲労,咳などの症状があり,全て日常の活動に支障をきたすものであるが,重症化することは稀である.
 通常,臨床徴候と症状をもとに診断をつける.画像検査は初めのうちは薦められていない.培養検査で診断するための前鼻鏡検査もしくは副鼻腔穿刺および吸引は,プライマリ・ケア医は一般的に行わない.最適な予防方法,治療に関してはエビデンスを欠く.ウイルス感染によって症状が引き起こされる頻度が高いにも関わらず,急性細菌性副鼻腔炎と推定された患者に対して医師が大ざっぱに抗菌薬を過剰処方していることはよく知られている.さらに,5人中4人は2週間以内に治療なしで回復する.抗菌薬の過剰処方はおそらく,副鼻腔炎の診断そのものと,ウイルス性・細菌性の区別が難しいことを反映している.細菌性副鼻腔炎のリスクは,症状が少なくとも7日から10日間持続する前までは低い.1950年から2007年の期間に行われた急性細菌性副鼻腔炎に関する57の無作為化比較試験のコクランレビューによると,抗菌薬治療は7日目から15日目までの治療の失敗のリスクを減少させたが,副作用と有意に関連があった.治療が無効で副鼻腔炎が持続した場合,もしくは症状が重症なとき,副鼻腔穿刺,画像診断や他の診断テストが治療方針を決めるのに役立つ可能性がある.そのような場合,専門家による評価が必要になるかもしれない.

(翻訳:千原晋吾)

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